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水森飛鳥と短いようで長い修学旅行Ⅰ(カオスな班決め)


 さて、学園祭が終わったと思ったら、次に待っていたのは、二年生最大の行事と言ってもいい『修学旅行』である。


「班行動かぁ」


 正直、班行動なんてしたくない。

 三泊四日という日程の修学旅行だが、二日目はクラスメイトと班行動、三日目はクラスを越えての班行動である。

 後者がカオスな事になりそうな気もするが、七夕祭の時と同様に気づかない振りをしておくべきだろうか。


「というわけで、一緒の班になろう? 飛鳥」

「分かってると思うけど、二人じゃ無理だからね? 咲希」


 ホームルームで突撃してきた桜峰さんに、そう返す。


「大丈夫。御子柴君も加えるし、三日目は郁斗君や(あきら)君も一緒だし」


 おい。よりにもよって、そのメンバーかよ。

 そして、カウントされている我が幼馴染には合掌である。

 ……ん? 私もカウントされてる時点で、自分にも合掌しとくべきなのか? これは。


「別に、夏樹を加えても良いけど、本人に聞いてないでしょ。それ」

「そこはほら、飛鳥の方が良い気がするんだ」


 いや、言いたいことは分からなくはないんだけどさ。夏樹にも友人はいるわけで、わざわざそっちを断らせてまで、こっちに付き合わせることは無いと思うんだけども。


(私に負担を掛けたくないとか言って、来そうなんだよなぁ)


 しかも、鳴宮君も来ると知れば尚更(なおさら)

 つか、空気悪くなるから、二人揃って来ないでほしい。


「一応、声は掛けてみるけど、先約があったら諦めなよ?」

「はーい」


 こういう時は素直で良いんだけどなぁ。


「で、後は部屋割りかぁ」


 私はともかく、桜峰さんはなぁ。女子と話してるところを見たこと無いし、下手に離れたりすると、いくら私が聞き耳を立てたとしても、何をされるか分からない。

 むー……、しょうがない。


「奏ちゃん。真由美さん」


 しょうがないと言っておきながら、結局、私が頼ったのはこの二人でした。

 二人とも、立ち位置は中立だし、余計な心配をする必要が無いから、私のストレスも少なくて済む。


「部屋割りの件だけど、その、一緒じゃ駄目かな?」


 暗に桜峰さんを示しながら言えば、「飛鳥も大変だねぇ」と真由美さんに言われる。


「ほら、下手に組むとさ」


 逆に気になって仕方ないのだ。


「けど、飛鳥ちゃん。班でも一緒なんだよね?」

「……まあ」


 仕事放置気味とはいえ、仮にもサポートキャラだし、下手に断るとそれこそ怖いし。

 それに、こういう時じゃないと、多分いろいろと見ることが出来ないだろうし。


「胃薬、私たちも持って行こうか?」

「……はは」


 奏ちゃん、それ多分フラグ。


「ま、良いんじゃない? 一度話してみたかったし」

「半年過ぎて、一度も会話したことが無いって言うのもねぇ」


 真由美さんと奏ちゃんが、そう話し合う。


「……そっか。もう半年過ぎたんだ」


 この二人よりは、桜峰さんに接触していた方だとは思うけど、期間に関しては、一種の目安として見ていたからなぁ。

 改めて、不安そうにこちらを見詰(みつ)める『彼女』を見て思う。

 頼まれた期間の終了まで、あと数ヶ月なのだと。

 彼女を逆ハーレムではなく、たった一人とくっつけて、神崎先輩(たち)の望む終わり方(エンド)を本当に、私は迎えられるのだろうか。

 この箱庭世界に閉じ込められ、元の世界に戻れなくなった雛宮先輩たちの分も含めた、ループの終わりをーー


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