水森飛鳥たちと説明会Ⅱ(御子柴雪冬・鷹藤晃の話Ⅱ)
さて、『協力者』と言ったが、誰でも良いわけではなかった。
並行世界とはいえ、世界を越えるのだ。
それなりの肉体の強さや耐久性。もしくは女神の目を誤魔化せる頭の回転力。さらに、宿せる異能等……条件は様々であった。
「まあ正直、条件なんて後付けなんだけどね」
「えっ」
「だって、そうでしょ? 『並行世界を救うために協力してくれ』なんて言われて、引き受けられる?」
引き受ける・引き受けない以前に、「こいつは何言ってるんだ?」となり、それが知り合いであれば、「○○が変なことを言っていた」となりかねない。
「だから、協力者となりえる人間を、内心では急ぎながらも、慎重になりながら選んだ」
「それが――私たち」
これだけ言えば、私たちの立場は伝わったことだろう。
「そんな中で、最初に応じたのは私」
世界転移しても神様から与えられた知識があるとはいえ、知識は知識。実際に目にしたことや、感じたことでしか分からないことは、体験するしかない。
そして、こちらのことを察知したであろう女神が、一体どのようなことをしてくるのか。経験し、検証し続けた。し続けるしかなかった。
「そんな中で、鷹藤君がやって来た」
鷹藤君に目を向ければ、名前を出されると思っていなかったのか、驚いたような顔をされる。
鷹藤君が来たことにより、女神の目は彼に向けられ、その間に対策やら何やら立てることは出来た。
「けれど、さすが『神様』としか言いようがなくてね。立てた作戦のほとんどは無駄にされちゃった」
けれど、その後の事は簡単だ。
身動きが取れないように封じ込められる前に、簡単な対策をし。このまま生かされるであろう鷹藤君にすべてを託して、『御子柴雪冬』というイレギュラーは、あの場所に封じられることとなった。
「そして――リセットが起こり、次の人たちへと回った」
そして、2番手に目を向ければ、分かったとばかりに語り手は引き継がれる。
「――『最初の御子柴さんたちで駄目だった。』けれど、試行錯誤していたのにも関わらず、女神を出し抜くどころか、隙すら作れないのであれば、世界の解放なんて夢のまた夢」
彼女は告げる。
「だから、今度は別の方法で挑むことにした」
――記憶の介入。
本来いないはずの存在を割り込ませることによって、『物語』の流れを変えることにしたのだ。