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プロローグ 彼の世界について
何処までも白く、君は歩いてゆけるのだから。
汚れた僕の手など、はやく
振り払って。
※※※
僕が小学校にあがる少しまえに、この限りなく無意味で愚かな戦争は始まった。
理由はしらない。
知っていたとしても何も変わらないし、どんな理由があっても世界を壊していい訳がない。
だから、知らないままでもいいと思っていた。僕が通っているのは私立のそこそこ頭のいい中学で、比較的、戦争の影響をあまり受けていない。
政府官僚の子供が多く通っているから、と近所の主婦と母親が話しているのを聞いたことがあるが、それとは少し違う。
重要な子供を特別扱いしているには違いないが、それは純粋に親が子供を思っての行動ではないのだ。
むしろ、真逆の感情で僕らは守られ、そして生かされている。
ここに通っている子供は、『希少種』だ。
この言葉の意味を理解するのに一年かかり、そして受け入れるのにまた一年かかった。
そしてこの最悪の義務教育の最後の一年、僕は一番大切なものを守る為に戦わなければいけないんだ。『希少種』として、人ではない悪魔として。
僕らはそれでも、守る為に戦う・・・・・・