奉納の舞闘
ぱわーぷれい~外伝始まります
気長に更新をお待ちください
いやマジで・・・
「奉納の舞闘」
・・・この世界はまだ常識の概念と言う名の結界に守られていた。
その中で生きる国によって事情は異なるが、大多数の人々はそれぞれに悩みや苦痛はあっても、それがすぐ死に直結するようなものでもなく比較的平和に暮らす卵の中の世界。
だが・・・その結界はある者に壊されることになり、世界に幾つもの新たな法則をもたらすことになる。
それが世界の・・・常識の殻を破り幾多もの進化の時を能えた
だが、人々はその者を称えることはないだろう。
その者の名はバン・ウォール・・・
世界の人口の約5分の1をこの世から消し去り、一時世界を混乱に陥れた張本人であるこの者を人は「魔王」と呼び、または「恐怖の大王」と記述した。
時は西暦1999年7月とある預言者が残した予言の時、今の我々の世界とは別の地球で起こった災害である。
舞台は常識的概念の破壊されし世界・・・
H県N市M山山頂部
『カンカカン・・・カカカン・・・カーン!』
乾いた木を叩く澄んだ音が山間に響く。
音の出所を辿っていくとそこは寂れた神社の境内。
そこそこに広い境内で二人の男女が舞を舞う。
一人は美丈夫な長身の男ジーパンに白いTシャツは汗に濡れ。
太鼓の撥程の長さの木切れを右手に体格に似合わず小刻みに動いている。
180cm弱の長身にアンバランスな人好きのするやさしそうなタレ目がちな瞳は楽しそうに笑っていた。
対する女は1mほどの竹刀ぐらいの太さの光る棒を振るう。
受けては流し・・・流しては舞回る踊るような動作に彼女のサクラ色の着物が舞う度に『ブオン!』と必殺の威力を秘めた一撃が追加される。
男に対し女は頭二つ分は小柄。
その容姿は20代前半にも見えるし達観した仕草、妖艶な色気からもっと上の年季もうかがえる美女。
異常なことに紫袴から伸びた小さな革靴の足が先ほどから一度も着地していない。
それは彼女の容姿が人間離れした美貌と人にありえない金色に光る獣の目を見て人外の者と納得する。
そんな彼女は汗一つかかず表情に笑みが浮かび、まるでこれが愛しい男との逢瀬を楽しむ様にも見えた。
数合そんな打ち合いが続き
「ハアッ!!!」
女の気合一閃光が男の持つ防いだ獲物を両断した。
そのまま男を真っ二つ・・・にはならず既に男は獲物を宙に放ちいつの間にか女の真横に移動している。
「咲もなかなか逃げるのがうまくなったの・・・降参かの?」
女は光を持たぬ袖で口元を隠し悩ましげに「フフフ・・・」と嗤う。
「そりゃ~避けてるってんだよヒメ、な~にお楽しみは・・・これからだ」
『パーーーン!』
対する咲と呼ばれた男は拍手一つ打つと右手を刀印に結び、空に向かって己の左肩から逆袈裟一閃!
その軌跡に先ほどの木切れと同じ大きさの光の棒が現われる。
その棒を素早く右手に掴み不敵な笑みを浮かべるバトンのように『ヒュヒュヒュ!』と回転させ『パシッ!』っと捕らえ構えの動作と同期させ一瞬の静止。
『ダン!!』
次の瞬間獲物を振り上げ左手は刀印、右片手袈裟懸け同時に印を胸から真横に空を切り右手と同じ光を創る。
袈裟懸けは回避され無防備な背中にヒメの斬撃が迫る『パシッ!カアン!!』
咲の右脇から突き出た光の短根が的確に光の刃に合わされ防いでいた。
ヒメは「ほう・・・」と感嘆の笑みを浮かべ瞬間振りぬかれた右肘を後方に大きく宙返りしながらかわした。
二人の間合いは5m弱二人にとってはいつでも踏み込んで攻撃に移れる距離。
お互い余裕の笑みを浮かべて対峙は続く・・・「疲れた終わりにしようかの」
ヒメの一言で周りの空気は変わった。
「ふい~~~いい汗かいた~・・・しかしヒメさんも歳か?」
「たわけ! 女に歳の話をするでないあのまま続けたらここが更地になるわ」
「たわけ!」の所でヒメの投げた光が高速で迫るが咲は不敵に笑いながら軽く光で薙いだ。
『カシャーン・・・』とガラスの砕けるような澄んだ音と共に光は霧散して消える。
肩を『コキコキ』と鳴らし光で肩を叩きながら本殿に向かい両手から光を消す。
置いていた荷物をあさり酒瓶を出す、更に杯を二つ出すと片方を姫に投げた。
「流石にこの地を守る『粃花姫』が逆に壊しちゃ立つ瀬がねえか?」
「そういうことじゃ」
フワリと杯を受け取り艶やかな笑みを浮かべるヒメは10代後半か20代前半に見える。
日に輝く金髪は長く腰辺りできれいに切りそろえ前髪も計ったように揃えている。
目はツリ気味に大きめ花を思わせる唇は小さくサクラ色、この世のものとは思えぬ緋色の瞳は妖艶に輝いている。
眉線は細くスッときれて整った顔立ちを引き締めて飾っていた。
ただ杯を細い指で遊び咲の横に侍るように座るヒメの笑顔は何よりも喜びの心情を現し和んでいる。
汗を拭くためシャツを脱いだ咲を眩しそうに眺め
「早うせい、酒も早う我に飲まれたがっておるぞ」
袖で口元を隠しコロコロと笑う。
「汗くらい拭かせろ・・・ヒメだって汗臭いのはイヤだろ?」
ゴシゴシと乱暴に拭っていく手をそっとヒメの白い手が押さえ
「惚れたオノコの汗じゃ不快に思うものか・・・どれ、背中はふけぬじゃろう? かしてみい」
スッとタオルを掠め取り甲斐がいしく丁寧に背中を撫でていった。
「あ~すまん・・・」
赤くなる咲にフフと笑い
「体だけはでかくなっても咲・・・お主は変わらぬのう~♪」
「ほっとけ・・・」
「それにしてもお主も強うなったの」
「鍛えてますから♪」
「どこの鬼の言葉かや・・・」
おどける咲にヒメは呆れて笑う。
空いた杯に注しつ注されつ酒を飲む(未成年の飲酒は禁じられています)
「我の神技の光る器も見て憶え」
「あれは難しかった・・・3日かかった」
普通は数十年かかる物である。
「地気(竜脈)の技もいつの間にか使う」
「俺に才能があるとか言ってソウマの爺さんが教えてくれた」
「まて、それは初めて聞くぞ・・・そうか・・・異界の化け物爺が余計なことを・・・」
酒の肴にあっけらかんと応える咲に嘆息するヒメだった。
シシハナヒメは思う。
生まれは鬼として遠方に生まれ大妖として恐れられ果てに神として奉ることを条件に豊穣の鬼神となる
特に昔は荒れていた訳でなく来る敵を祓って祓って祓い続けたら近場の怪かしの大将となっていた。
喰うは元々自然の気を喰らう為特に人肉、怪かしを喰うことなく近年までのんびりと山中にいてたまに供えの酒を飲むのが楽しみだった。
数千年ほど寝たりおきたりを繰り返し50年ほど前にこの世の摂理が何者かに変えられたところから異界の怪物共が度々現われるようになる。
煩わしいのでそれらを祓っている時にこの紫季 咲という子供にあった。
それは何の力も無い只の人の子だったが生意気にも敵から我を守ろうとした。
あの頃のこやつは生意気にもヤマトオノコの気概を見せ一瞬であるが気迫で我を驚かしてくれた。
特に「おねえちゃんに手を出すな!」と小さな体で震えながらも我を後に守ろうとしたところは今でも肴にできる昔語り。
生意気にもほんに愛いやつであった。
その後自分よりも我が格段強いと知って泣きながら我より強くなると喚いていたが・・・まさかホントになるとは思わなんだ。
どうやら咲には武の才があるようで、こと武芸ごとに関したら見て憶えることに天部の才を発揮する。
我以外の妖かし達を相手にその技を取り込み妖力、神通等さえも見て己の技へと昇華させた。
前に聞けば
「雷なら雷、火なら火それを妖力でなく気脈の力で代用したらできた」
と簡単にいいよった
我が普通はできるものでもないと言えば
「できたものは仕方が無い困る物でも無いし便利に使わせてもらおう」
と涼やかに笑っておった・・・。
このところ咲も漢らしく育ち、そんな咲が最近好ましく思うのは化生とは言えやはり我も女というところか。
「さあてと・・・じゃあそろそろ行くわ」
酒も半分となった頃咲はそういい立ち上がった。
ほんに大きゅうなって・・・。
思わずその大きな身体に見惚れていたが
「それじゃあなヒメ、ちっとばかし今度来るのは間が空く」
そんな咲の言葉にヨヨヨ・・・とシナをつくって。
「このようにお主を慕う女子を置いてまた遠出かえ?
ほんに憎らしい女泣かせが・・・」
着物の袖で顔を隠し泣いて(うそ泣き)見せる。
「ヒメにとっちゃ~すぐに会えるさ美味い地酒でも土産にすっから待っとけ」
「ほんにツレナイのう~・・・2升じゃ!」
「OK~2升な・・・行って来る」
そういって荷物を片手に山を駆け下りる咲を見つめて
「帰って来ればそれでよい・・・」
つぶやき見送った。
本編、外伝ともご意見等お待ちしてます
中傷や作者をいたぶるのは
「おねげえですから止めてケレ」
と本人がイタクほざいてますのでお願いします
上記の文は冗談の成分を含んでいます中毒性があったらごめんなさい