第九話「洞窟で迷子わぁ大変! 後編」
洞窟の暗闇を抜け、ようやく出口らしき光が見えた。
「おおっ、あれが出口か?」
五分は目を輝かせながら言う。
しかし現実は虚しいもの。
その光の先には、まばゆく輝く宝石が散りばめられた洞窟が広がっている。
「あんまりだあァァァ!」
出口に出られなければ、宝石も価値は見いだせないのである。
「でも、宝石きれいだなあ…これ、首飾りとか作ったらモテモテになりそうじゃない?」
クリチーはうっとりしながら言う。
「いや、それよりこの洞窟、デートスポットに使えそうだね
僕たち迷子だけど!」
「そりゃ迷子にされたら、デートもクソもないわ!」
バッサリ斬り捨てられる。
──しばらく歩き続けると、今度こそ本物の出口らしき場所にたどり着いた。
爽やかな日差しが差し込み、そよ風が心地よく吹いていた。
五分がボロボロに破れた服装で、震えながら呟く。
「うぅ……長かった、や、やっと…出口だ!」
「そんなに遭難して無いよ……」
「"そうなん"だけに?」
「そうなんです。」
『あっはーはっはっはー!』
五分とクリチー歓声を上げ、爆笑する。
「こいつらなんなんだよ……」
さくらが呆れながら、とぼとぼ光へ歩き出した。
だが──、
目の前には巨大な蜘蛛の巣が広がり、真ん中には巨大な蜘蛛がぐっすりと眠っていた。
「上手い話にはトゲがある……かぁ」
絶望したように、呟く。
「と、とにかく寝てるんだし、起こさないように、そっと通ろう」
さくらが引き締まった声で指示を出しながら、そっと歩いていった。
「あの蜘蛛が起きたら俺たちの宝石狩りは終わりだ……気を引き締めろっ!」
五分は勢いよく叫んでしまう……
「宝石狩りどころか、生きて帰れるか怪しいわ!」
さくらも勢いよくツッコミを叫ぶ。
お互いいつものノリと癖で叫んでしまう……!!
「バ、バレた?!」
果たして、無事にこの洞窟を抜けられるのか──!