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プロローグ

時空管理局——それは、あらゆる時代の秩序を守るために存在する組織。その一員である男は、数え切れない時空犯罪を取り締まってきた。しかし、彼にはどうしても抗えない願いがあった。


恋人の死——それだけは、受け入れられなかった。


平成10年、彼女は事故で命を落とした。どれだけの時を重ねても、その喪失感は埋まらなかった。だから、男は掟を破った。時空を超え、昭和の時代まで巻き戻り、彼女の母親に真実を告げた。


「娘さんは、平成10年に死ぬ。未来を変えてほしい」


しかし、その行為は重大な犯罪だった。時空管理局に捕まり、懲役5億年の刑を言い渡された。


それから3億年。


変わらぬ牢獄。数え切れない時間の果てに、男はついに己を無に帰すことを決めた。


——その時、目の前に少女が現れた。


「私が今度は、貴方を助ける番だよ。」


その小さな拳が鉄扉を砕き、時空の歪みさえも粉々にした瞬間——世界の秩序は崩れ始めた。


「どうして……お前は……」


男は思わず言葉を漏らした。3億年もの間、無音と無情に囲まれてきた彼にとって、喋ることさえも久しい感覚だった。


目の前の少女は、まるで自分を助けることが当然だと言わんばかりに微笑んでいた。その瞳には、何億年もの孤独を見抜くような光が宿っている。


「私はあなたの味方だよ。」


少女はそう言うと、崩れ落ちた鉄扉の向こうへと手を差し伸べた。男は迷った。信じていいのか。これが新たな罠ではないのか。


だが、3億年ぶりに感じた自由の風が、迷いを吹き飛ばした。


男は手を取り、少女とともに牢獄を後にした。


しかし、時空管理局はすでに動いているはずだった。時空犯罪者——いや、今や宇宙秩序の最大の敵である自分達を、決して見逃すはずがない。


二人は闇の裂け目を飛び越え、時空の狭間へと逃げ込んだ。その瞬間ーーーー。


「見つけたぞ、時空犯X-006。」


空間がひび割れ、数十体の黒い影が現れた。管理局の精鋭部隊だった。


「やっぱり来たか……!」


男は歯を食いしばり、少女をかばうように立ち塞がった。しかし、少女はただ静かに前を見据えていた。


「大丈夫。私がやる。」


『XCHANGED』


少女の手の中で、何かが輝いた。小さなコリブリハンドガンが、徐々に巨大な物体に変わっていく。その変化を目の当たりにし、男は息を呑んだ。彼女の能力「XCHANGED」は、武器と武器を交換する能力。ほんの数秒で、コリブリは重量感のある超大型対物ライフルに変貌し、少女の小さな体には似合わぬほどの巨大な銃を構えた。


「行くよ。」


少女は、銃身を一息で水平に構えた。時空管理局の兵士たちは一瞬で彼女の動きを察知し、警戒の姿勢を取ったが、それも束の間だった。


「ぶっ壊れろ!」


少女が叫ぶと、そのまま引き金を引いた。


銃口から放たれた一発の弾は、圧倒的な破壊力を持ち、時空を歪ませながら管理局の兵士を貫いた。

少女はその後も素早く次々と攻撃を仕掛け、全ての兵士を圧倒していった。


男は目を見開いた。


「お前……何者なんだ……?」


少女は微笑み、ひと言だけ告げた。


「私は、あなたの未来。」


「そして、絶望だよ。」



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