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第2話 柊家殺人事件②

ブックマークと評価、よろしくお願いします。

俺は柊を守ると決意した次の日、再び柊の病室を訪れた。

部屋に入ると、冬美さんの笑顔で出迎えられる。


「こんにちは。

 昨日はありがとう、君のおかげで夏美の精神は安定している。

 今日は私とお話をしに来てくれたの?」


「聞きたいことがあってさ。

 冬美さんと柊は何か交代するルールとかあるのか?」


昨日は聞けずじまいだったことを聞いてみる。

自由に交代しているようには見えたけど。


「ルールとかはないね。

 自由に交代できる。ただ、私が表に出ている間の情報を夏美は共有できない。

 単純に寝ている状態だからね、私が後で話しているから問題はないけど。

 逆に夏美が表にいる間の情報は私に共有されている。」


「そっか。

 お医者さんはそのこと知っているのか?」


「知っているよ。

 でも、刑事には話してないから知っているのは後は君だけ。」


「な、何で?刑事さんには秘密に?」


「それは、二重人格だと私が犯人と疑われる可能性があるのが半分。」


「もう半分は?」


「それは、、、。」


一呼吸置いて、冬美は口を開く。

ま、まさか事件を解決するためにとかなのか。


「知られるのが恥ずかしい。

 私も乙女だからね。いい女は秘密の1つくらいは持っておくものだと言うし。」


「そ、そうなのか。」


まぁ確かに人によってはバカにしてくるやつもいるかもだもんな。


「まぁ夏美の負担も考えて事情聴取は全て私が受けているから心配しなくていい。」


「冬美さんは平気なのか?両親が亡くなって。」


「平気、ではないけれど。

 私にとってはあくまで記憶の中の人物だからね。

 夏美ほどではないさ。」


「そうか。

 もし話相手が必要ならいつでも連絡してくれ。結構暇だしな。」


「ありがとう。

 君は面白いな、いい遊び相手になってくれそうだ。」


な、なんだろう。

仲良くしようってことだよな?笑顔が怖い、、、。


その後、夏美に代わってもらいたわいもない話をした。

今の学校の話とか、最近面白かったテレビとか。完全に以前の元気が戻ったというわけではないが、昨日に比べたら大分元気になったようだ。


「じゃあもう夕方だし、帰るわ。

 明後日の退院の日には迎えに来る。」


「うん、色々ありがとう。

 宿題はちゃんとやってね。」


「いや、さすがにやってるわ。

 じゃあな。」



俺は、そのまま病院を後にした。

その後に何が起こったのか、俺は後日知ることになる。







優斗に私たちの事情を話した日の夜、現場責任者の刑事が私の病室を訪れた。

「じゃあ、俺は帰るから。

 もし何か思い出したことがあれば表の刑事に伝えてくれ。」


「はい、本日はありがとうございました。」


刑事が扉に手をかけたその時、私はある推理を話し始める。


「そういえば、刑事さんは本日何をされていたんですか?

 昼間は病院にはいらっしゃらなかったようですけど。」


「ん?

 ああ、聞き込みだよ。地味だが、大事な仕事だ。」


「そうですか、てっきり犯人の痕跡を消していたのかと思ってました。」


少し沈黙の時間が訪れる。

先程までとは違い、平静を装った様子で刑事が続ける。


「何を言ってるんだ?

 俺は刑事だろう、そんなことするはずがない。」


「そうですね、普通に考えればそうです。」


「たく、子供の冗談に付き合うつもりはない。」


刑事はその場を後にしようとする。


「待ってください。

 理由はありますから。

 まず一つ目、あなたは初めから私に話を聞く際に『何か覚えていることはあるか』と聞きました。」


「ああ、それの何がおかしい。」


「ベテランの刑事さんがそのような曖昧な聞き方をするでしょうか。

 何かではなく、誰か尋ねて来なかったかとか何か普段と違うことはなかったかと聞くべきです。

 相手は子供、曖昧な聞き方で情報が得られるわけがない。

 それは、きっと私がすぐに気絶させられたことを知っていて得られる情報があまりないと知っていたから。」


「刑事ごっこか。まぁ最後まで付き合ってやるよ。」


そう、これは子供の戯言。無実の刑事が慌てて逃げるのは不自然でしかない。


「二つ目、あなたは優斗が私の病院を訪れてくれた際に2人きりにするのを簡単に許しました。」


「ああ?

 お前だって信頼してる上に子供だから問題ないって言ってたろ。」


「はい、私にとってはそうです。

 しかし、あなたにとっては子供とはいえ遺体の第一発見者。

 身体検査くらいしてもよかったはずです。」


「それは、まぁ確かに油断していた。だが、それで俺が犯人の共犯者と決めつけるのはどうかな?」


刑事は余裕の表情を見せる。

では、最後に仕上げをしよう。


「昨日、私は家に防犯カメラがあることをあなたにだけ伝えました。

 そして、あなたは事件のあった時間帯の動画を消した。」


「ち、そんな罠をかけていやがったとは。

 だ、だが誰がお前の話を信じる?お前の言うことなんて誰も。」


私は自分のスマホの通話画面を見せる。

「今、別の刑事さんにあなたの発言は筒抜けです。

 それに、残念ながら防犯カメラには誰も写っていなかったので骨折り損でしたね。」


「は、ははははは。」


急に笑い出した。

ドンッ。

勢いよくドアが開かれる。

「話は聞かせてもらった。

 田中 謙三、あなたには署までご同行を。」


カチャ。

田中さんは拳銃を取り出して、それを入ってきた刑事に向ける。


「黙れひよっこ。

 お前らに捕まるくらいなら、、、。」


田中さんは拳銃を自分のこめかみに突きつけ、引き金に手をかける。

そして、私にだけ聞こえるような声量で言った。

「お前が助かったのは偶然じゃない。

 それだけは教えてやる。」


ドン!!!


田中さんは、その場に血を流して倒れた。


「偶然じゃない、か。

 あの子に伝えられそうな話じゃないわ。」


こうして、共犯者は謎を残したまま亡くなった。


そして、6年後の今。

この事件は未解決のままだ。



次回、高校で事件が。

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