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11-2 話の続き

「おかしなこと、と言いますと?」


 自分は彼に聞く。


「明らかに文章の中で矛盾していたりだとか、ヴォイニッチ手稿に絡めようとして、あっちの世界の名前を『ヴォイニッチ』って言ってしまうみたいな? そういう話はちょっと創作なのかなって思います、個人的にはですけどね」


 ヴォイニッチ手稿(Voynich Manuscript)とは1912年にイタリアで発見された奇妙な手稿である。その名は発見者にちなみ、たくさんの未知の生物や天体図を模したようなものの絵及びその後に書かれた謎の言語のテキストである。言語はデタラメではなく統計的にある程度の意味を持つらしいことが示されているという。


 世界の名前を「ヴォイニッチ」と設定してしまうと、発見者の名前が世界の名前だということになってしまう。もちろん、ヴォイニッチは実は異世界から来ているという設定とすれば破綻はしないが、無理があるのは間違い無いだろうということらしい。

 

 自分は、ありがとうございます、と伝え、彼に次の質問を投げた。


「掲示板に書き込みしようと思ったきっかけってありますか?」


 僕はそう聞いてみる。彼は、友人Sに勧められたと言っていた。その友達が、僕のブログを紹介してくれた人のようだ。


「なるほど、ありがとうございます。Sがどのような方だったか聞いてもよろしいですか?」


 話を聞く限り,どうやらSは中学校の頃吹奏楽部関係で仲良かった女性のようだ。Sはすぐに吹奏楽部を辞めてしまったが、その後も交流は今まで続いているらしい。Sはそういった「不思議な話」や「怖いわけではないが、よくわからない話」が好きなようで、そのような話題に対するアンテナを張っているタイプの人だったとのことだ。


「彼女がたまに『こんな夢を見た』と言ったことがあるんですけど、それが的中することも多くて、虫の知らせと言いますか、予知夢のようなものを見る頻度が多い方でしたね。彼女は理系、それも数学系に進むような方だったので、あくまで偶然的な産物だと捉えていたようですが、個人的にはそう言った嗅覚が強い方なのかなと思っています」


 不思議な話もあるものだ。自分はその程度に捉えていた。


「Sは僕が事故を起こす前、『僕が何か知らない世界にいた』という夢を見たらしいんですけど、その夢の内容を聞いてみると、自分がいた世界に一致していて怖かったですね」


 僕は彼の話を自分なりに真剣に聞いていた。不思議な体験をしたというバックボーンが自分にある以上、彼の話も真実のように感じられた。僕は彼に聞いてみる。

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