表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/49

後輩との握手

※「目覚めたら男爵家令息の騎士に食べられていた件」の番外編と関係のある話なので、アリス以外とのやりとりは意味が分からないかもしれないです。ごめんなさい。



「そうか、君が」

 ハースに握手をされている後輩は、明らかに戸惑っていた。

「ええ、そうなんです」

 その後輩の隣にいる愛らしい顔の後輩が笑ってしっかりと頷く。


 アリスは困惑していた。廊下で遭遇した途端始まった、謎の握手。

 アリスは後輩が理解しているのか気になって顔を見た。

 後輩と目が合ったが、すぐにアリスから目を逸らされて、考えていることは読み取れなかった。


「俺は応援しているから」

 ハースが大きく頷く。後輩の困惑した顔は更に曇った気がした。

「ありがとうございます」

 そしてなぜ、愛らしい顔の後輩が返事をするのかも、アリスにはさっぱりわからない。

 やはり後輩も分からないのだろう。首を傾げている。


「ねえ、ハース。何の話をしているの?」

 アリスの疑問は、当然の疑問だった。

「やだな、アリス。これは男同士の秘密の話だよ」

 ふふ、とハースは笑ったし、顔の愛らしい後輩は頷いたが、もう一人の後輩は頷かなかった。


「だって、こっちの方、戸惑ってるわ」

 だが、アリスの視線に後輩がニコリと笑う。

「いえ、戸惑ってませんよ」

 その笑顔に、嘘があるようには見えなかった。

「そう? ……それならいいんだけど」

 どうやらアリスだけ置いてきぼりらしい。


「本当に、応援しているから」

 しっかりと目を見るハースに、後輩はしっかり頷いた。

 アリスだけ理解はできていない。

「有難うございます!」

 そして、満面の笑みなのは愛らしい顔の後輩。やっぱりアリスにはさっぱりわからない。


 歩き出したハースが、アリスの顔を覗き込む。

「どうかした?」

「私にはさっぱり分からなかったわ」

 肩をすくめるアリスに、ハースが、ふふ、と笑う。

「アリスがやきもちを焼いてくれるなんて、嬉しいね」

 ハースの言葉に、アリスはムッとする。

「そんな話じゃないわ!」


 どう考えても、そんな話じゃなかったはずだ。

「だって、俺が秘密の話をしているのが、何だか嫌だったんでしょう?」

 ハースの言葉に、うーんとアリスは考え込む。

「そう、かしら?」

 何だか違うような気もするし、違わないような気もする。

「俺に秘密を作られるのが嫌ってことなんだから、やきもちってことだよ」


 嬉しそうなハースに、アリスはまあいいかと、肩をすくめた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ