33/49
一面の雪
「アリスおはよう」
「おはよう、ハース。雪がきれいね」
朝起きると、雪が一面に積もっていた。ハースはその中を雪を踏みしめてやって来たらしい。足跡が続いている。
「そうだね。雪でアリスを好きだって表現しようと思ったんだけど、やっぱりやめたよ」
ハースが冷たくなった手で、アリスの手に触れる。
アリスが気恥ずかしくなってうつむく。
「どうしてって、聞いてくれないの?」
「……そんなこと聞かなくても、知っているもの」
アリスの鼻だけではなく、耳も赤くなる。
「そうかな? 俺のアリスへの気持ちが雪みたいに溶けてなくならないって、理解してる?」
アリスの顔が真っ赤になる。
「理解してるわ」
ハースが、満足そうに頷いた。




