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テストの後
「ねえ、アリス。今のテストどうだった?」
ケリーが暗い顔をしてアリスに尋ねる。
アリスは肩をすくめた。
「そうね。難しかったわね」
「そうよね! それに、試験前にはもう難しいって話は知ってたわよね! ……どうして余裕があったの?」
ケリーがアリスを不思議そうに見る。
「先輩たちの脅しは信じないでいいってハースが言うから」
それだけ言うと、アリスは首をかしげた。
ケリーはあの落ち着いたアリスの様子に納得する。
「アリスもハースのこと信じてるから、なのね」
ケリーの言葉に、アリスが顔を赤くする。
「でも、テスト問題、本気で難しかったわよね?」
ケリーの言葉に、アリスがうなずく。でも、とそのあとに言葉が漏れる。
「ハースが会話のなかで説明してくれてたことが一杯あって、役に立ったわ」
どうやらハースはアリスの家庭教師役も担っているらしい。
ケリーはちょっと羨ましくなった。
でも、アリスの後ろでメモを書き書きしているハースを視界に入れると、やっぱりいいや、と思った。




