誕生日プレゼント
「やっぱり、こうあるべきだよ」
アリスは、ハースの言っていることがさっぱり理解できなかった。
「ねえ、意味がわからないわ」
「やっぱり、俺の誕生日プレゼントは、アリスだよね」
ウンウン、とハースがアリスを前に頷いている。
「ねえ、本当に意味がわからないのよ」
アリスが困った顔で告げる。
「だって、アリスはメルル嬢に『俺にリボンをつけてあげたい』とか一瞬でも思ったでしょう?」
アリスはギクリとする。
でも、いやいやと首をふる。
「そんなこと思ってないわ」
「でも、はいって言ったら俺がどんな反応するかなー、とかちょっとは思ったでしょう?」
アリスは目をそらした。否定はできなかった。
「アリスは、俺がどんな気持ちでその姿を見てたと思う?」
アリスもさすがに試そうとしたのは、悪かった気がしてきた。
「ごめん、なさい」
「いいよ。だから、これはおあいこね」
チュッと、ハースがアリスの唇に触れる。アリスの顔が真っ赤になる。
「……でも、おかしいと思うの」
「おかしくないよ?」
「絶対、おかしい」
「どうして?」
「まず、私は男子寮にいちゃいけないと思うの」
ここはハースの寮の部屋だった。
アリスの言葉に、ハースがニコリと笑う。
「大丈夫、学院長の許可は得てるから」
「それもおかしいわ」
「大丈夫! アリスは持ち込み可ってなってるから」
ハースがニコリと笑う。
全然大丈夫じゃない! と思うアリスは、ハースによって、体にリボンが巻き付けられている。
でも、一人ハースは満足そうに頷いた。




