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大罪の神器  作者: Teko
王都編 双子の聖女
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17 久しぶりの光景

 

「えっと今日の買い出しは……っと」


 フェルトは千切ったメモを片手に、商業区の市場を歩いている。

 そのフェルトは通りすがる人達に一目置かれる。


「本当に荷物持ちさせられるんスね」


「まあな。アンタ達も食べるんだ、いくら護衛の仕事っていう貸しがあってもこれくらいはな」


 そう文句を垂れながらついていくレックスと、昨日から警戒心が強いダミエルが同行している。


 周りからすれば、かなり異質な光景。

 本来であれば聖堂騎士であるダミエル達は聖女ラフィの護衛についているのが一般人の知るところ。

 しかもまだ聖女祭手前の時期であり、護衛が割かれることなんて考えられない話。


 しかし、その実態はケルベルト子息と共にエメローラ姫殿下を救った平民のひとり、フェルトの側にいるという光景は驚きでしかなく、注目の視線を浴びることとなる。


 だがそんなことなど気にしないフェルトは、市場の食材を『強欲の義眼』で見透しては、状態の良いものを吟味し、


「すみません。これとそれと……これ」


「……あ、あいよ」


 店員も聖堂騎士と同行していることに疑問を抱き、動揺を隠せない様子ではあったが、せっせと指示された食材を袋へ詰めていく。


「それにしてもやっぱ注目されてるッスね」


「それがアンタ達の建前の狙いだろ? 良かったじゃないか。これだけ俺に聖堂騎士がついてるって宣伝できれば、ブラックギルドからの襲撃もしづらいだろ?」


 周りの雑音に混じって、聞こえないだろうとフェルトはあっさりとそう発言すると、


「ちょっ!? お、お前なぁ……」


 勿論というべきか、レックスは動揺する。

 すると店員が袋を突き出す。


「あいよ」


「サンキュー」


 フェルトは食材の入った袋を受け取り、それと交換するように釣り銭が出ない金額を手渡し、その場を去る。


 するとフェルトはその真意を隠しているということを指摘する。


「下手に隠そうとすると変なボロが出るぞ。自然体でいればバレないもんさ。ま、俺の場合はボロが出てくれた方が助かるけど?」


「……助言とは本当に余裕ッスね」


「そりゃあ? 俺、やましいことないから」


 余裕を見せるフェルトをより警戒した視線を浴びせるダミエル。

 するとフェルトはやり過ぎたかと、少し困った表情でダミエルに振り向く。


「ちょっとさ。アンタ警戒し過ぎだって。言ったろ? 大人しくしといてやるってさ」


「……覚悟しておけとも言っていたはずだ」


 するとフェルトは、フフンと少し生意気な様相を見せて、


「まーねー」


 再び余裕の表情を取り、市場を進む。


 ダミエルは昨日の出来事をアスベルに報告した。

 結論として出た答えは、警戒を緩めることなく、監視を怠るなということだった。

 当然のことだった。

 フェルトの説得力は昨日のオルディバルとの会話や寮内で行われた密談で理解している。

 ほぼ全てのダミエル達の情報を知るフェルトの説得力は凄まじいものとなるだろう。


 だからかダミエルはフェルトから目を離すような真似はすまいと鋭い眼光を向ける。


 ――そんなかたちで商業区の買い出しは終わり、学園区へ戻ろうとしたフェルト達だったが、


「「「「「――きゃああああっ!!」」」」」


 黄色い悲鳴が商業区のカフェより聞こえてきた。

 これまた異様な光景である。


 フェルトはうるせーなと思いながら振り向き、そのカフェを見ると、そこのテラス席から見覚えのある後ろ姿があった。


「いやぁ、蝶々ちゃん達とこうしてお茶をするのはやはり有意義だ。まったく……ごめんよ、今まで放っておいたりして」


「いえ! ケルベルト様はお忙しくてらしたから、仕方ありませんわ」


「そうですわ! 寧ろわたくし達にこのようなお時間を下さるなんて――」


 ヘイヴンはその彼女の唇にそれ以上は言わなくていいと指を添える。


「そんなことを言ってはいけないよ。蝶々ちゃん達の時間は一番大切なものさ。それを奪っているのは僕だよ? 自分を悲観してはいけないな……」


 そこからの顎クイ。


「僕の可愛い蝶々ちゃん♡」


「「「「「――きゃああああっ!! ケルベルト様ぁ!!」」」」」


 その様子をフェルト達は気付かれないほどの距離で見ているが、各々の反応は違うものであり、ダミエルはなるほどとウワサ通りという見方を。

 レックスは初めて見るのか、少しほおけた表情をし、フェルトは久しぶりに見たと物凄く呆れた表情をしている。


「確かあの人って……」


「ああ。ケルベルト家のご子息、ヘイヴン・ケルベルト殿だな。社交会でもあんな感じで目立っていた方だ」


「えっ!? ダミエルさん、知ってんスか?」


「俺……んんっ! 私は貴族だからな。面識はあまり無いが挨拶くらいならな」


 少し緩んでしまったのか、一人称を言い直したダミエルだが、フェルトに尋ねる。


「確か、ご友人でしたよね?」


「いや、知人だ」


「えっ? でも……」


「知人だっ!! あんなのと一緒にしてほしくない」


「「……」」


 ふたりは素直じゃないフェルトを認めたくないんだと言いたげな視線を送っていると、フェルトはズカズカとそのカフェに向かった。


「ちょっと! フェルト・リーウェン!?」


 レックスの呼び止める声も店員の挨拶にもくれず、フェルトはテラス席のヘイヴンの元へと直行。


 そして――、


「さあ! 君達の話を聞かせておくれ。今までお相手できなかった分、存分――にっ!?」


 後ろから頭を蹴っ飛ばした。


「「「「「きゃああっ!! ケルベルト様ぁ!?」」」」」


 だがヘイヴンは受け身を取って、スタッと着地すると、髪をかき上げながら振り向く。


「フッ……一体どこのどなたかな? 僕に嫉妬して蝶々ちゃん達を怖がらせようとする悪い……おや?」


「別にてめーの言う、蝶々ちゃんとやらに手出ししようなんて考えてねーよ。ただ、見ててムカついたから蹴っ飛ばしただけだ」


「なんだ、フレンドか」


 やれやれという素振りで呆れるヘイヴンだが、フェルトからすればまったくそれをお返ししたい気持ちでイラッとしている。


 貴族の息子を蹴り飛ばすフェルトにポカンとするダミエルとレックス。

 平民が貴族を足蹴りするということにも驚いたが、それ以上に――お前ら仲良いだろとツッコミたそうだった。


 すると、


「「「「「――きゃああっ!! リーウェン様よぉ!!」」」」」


「……どーも」


「「「「「きゃああああっ!!!!」」」」」


 フェルト側にも黄色い悲鳴が浴びせられる。

 だが、そのフェルトは少々嫌気が差している様子だった。


「……貴方も何ですね」


「……まあ、表向きはコイツを中心に俺らも活躍したってことだからな。だが……」


「だが?」


「俺の場合、一部の貴族嬢達には真実も告げられてんだよ」


 フェルトは大きなため息を吐いた。


「それは何故ですか?」


「俺達が助けた貴族嬢達が広めてんだよ。特にチェンナの奴……」


「あ……」


 ダミエルは、確かに救われた側の貴族嬢達が黙っているはずがないと思った。


 あくまで一般的に知らされているのは、国王であるオルディバルの発言であったためであり、本人、特にヘイヴンがそう言っていることにも起因しているのだが、助けられた側の貴族嬢達の発言にも信憑性があるため、ウワサが拮抗しているのだと思われる。


 貴族嬢達からすれば話題のひとつだろうが、貴族達の反感を抑えるために真実を隠したオルディバルや面倒事を嫌うフェルトのような人達には迷惑でしかなかったりするが、揉み消すにも女性社会のウワサの広がり方は男の手には余るもので、どうしようもなかったりする。


「それは大変ですね」


「まあ最初の火消しが良かったのか、陛下にはあんまりらしいが、俺はこうだからな」


 そうフェルトが示したところには、熱い視線を送る貴族嬢達の姿があった。


「リーウェン様のご活躍、しっかりと聞きましたわ」


「何でも極悪なギルドの方と刃を交えたとか」


「しかも知略を尽くし、悪徳大臣の陰謀をも見破った知的なお方……」


 彼女らがフェルトの活躍のウワサに熱を上げていると、


「確かに、フレンドの才覚が遺憾なく発揮されていたね。伊達に僕より優れていないさ!」


「ケルベルト様がお認めになられてますものぉ〜!!」


「流石ですわぁ〜!!」


「――お前も余計なこと言うなっ!!」


 ヘイヴンは寧ろ、オルディバルより口止めされてたんじゃないかとツッコんだ。


「まあいいじゃないか。彼女達には王子様が王女を救う英雄譚が好きなのさ」


「……言いたいことはわからんでもないがね」


「それでフレンド……」


 ヘイヴンはフェルトの後ろにいる聖堂騎士を見た。


「そこのおふたりは?」


 するとダミエルがペコリとお辞儀した。


「お久しぶりです、ケルベルト様。わたくしを覚えておりますか?」


「勿論ですとも、ラージェン殿。息災で何より」


 フェルトはふたりは顔見知りなのかと、今気付いた。


「聖堂騎士としてのお仕事も中々大変でしょう」


「そうでもありませんよ。何分、アスベルがしっかりしておりますから……」


「ああ、そうでしたね」


 ふたりは他愛無い会話を続けているが、ヘイヴンの腹の内は違う。

 フェルトよりアスベルがクーデターを企てようとしていることを知っており、このダミエルも一枚噛んでいる可能性も高いと判断できる。


「それで? ラージェン殿はどうしてフレンドと行動を共に……」


「その前にひとつよろしいですか?」


「何でしょう?」


「フレンドとは? お名前で呼ばれないので?」


 するとヘイヴンはニッコリ。


「愛称のようなものです」


「はは……」


 その返答に思わずフェルトも苦笑い。

 自分から蔑称言い出しただけに反論もできない。


 まあするつもりもない。


 そんな素朴な疑問も早々に答えると、ヘイヴンからの質問にも答えようとするが、護衛の対象として、関係のあるヘイヴンはともかく、周りには貴族嬢達が囲んでいる。

 どうしたものかと、ダミエルは少し考え込んでいると、


「俺の護衛だとよ」


「!」


「護衛?」


 フェルトがあっさりと答えた。


「リーウェン様……!」


「下手に隠すよりいいだろ。それに女性社会の情報網は甘く見ない方がいいぞ。ここで下手に言い澱んだりしてると、変なウワサが流れるだろうし、もしかしたら確信を突かれるかもよ?」


「……それはそうかもしれませんが……」


 実際、ヘイヴンは女性との対話から情報を得るような真似事をしている。

 本当に女性の情報網は侮れない。


 だからこそフェルトは敢えて告げること、そして、


「お嬢様方もこのことは秘密で頼むな。聖堂騎士様が困っちまうからさ」


「「「「「はい! 勿論ですわ!」」」」」


 ちゃんとこちらが困ると口止めすれば、いくら貴族嬢でも迷惑はかけられないと言うことも聞いてくれるだろう。


「それで? 護衛っていうのは?」


「それこそ今さっきお嬢様方がおウワサしてたブラックギルドが原因でな。この聖女祭の準備期間含めて襲ってくるかもしれないって、アスベル・カルバドスが指摘してきたんだとよ」


「ほう……」


 ヘイヴンは目を細めて、意味深に捉えていると、周りの貴族嬢達は心配そうに話し合う。


「確かにそうですわね」

「ブラックギルドの方々は捕まっていないとか」

「それならお命を狙ってくることも考えられますわね」


「つまりは飛空艇を壊した借りでも返しにくると言われたわけだ」


「まあな。それでこのふたりが護衛についてるってわけ」


「それは随分と警戒心の強いことだ。しかも君を守るということに違和感が……」


 そう言うとヘイヴンはフェルトをチラリと見る。


「いや、確かにやり過ぎたね。飛空艇をあれだけ派手に壊した挙句、君は確かにあの殺し屋に気に入られているみたいだったし、カルバドス氏の警戒も尤もじゃないか?」


 ヘイヴンはすぐに、へらっとした表情に変わった。


「まあ気持ちはわかるんだが、やっぱ男ふたり引き連れるってのにはなぁ……」


「そうだね。折角のお祭りだというのに、淑女(レディ)が側にいないというのは……」


 ヘイヴンは貴族嬢達の間に座る。


「可哀想だね!」


「……だ・ま・れっ!!」


 明らかな挑発的な嫌味に今度は顔面を蹴ろうとするが、受け止められる。


「つーか、祭り前から女をひけらかしてるてめえに、そんなこと言われたくない」


「ははっ! 僕は前々からこうだろ?」


「ああ、そうでした!」


 店に迷惑もかけられないので、フェルトは足を引っ込めた。


「まあとにかくそういうことだ。ちなみにお前側に今、ついてないのは――」


「君らが平民で、僕らが貴族だからだろ?」


「おう」


「貴族は民を守るものだからね。建前を守るなら君らが最優先だろうね」


 するとヘイヴンがダミエル達にニッコリ笑う。


「どうか僕のフレンドから目を離さないよう、お願いしますね。フレンドは中々無茶をしたり、どこか簡単に行ってしまいますからね」


 ヘイヴンはしっかり護衛を頼むよと、ダミエル側を尊重した。

 そのことにダミエルは多少の疑問を感じたが、


「勿論です。お任せ下さい」


 フレンドと呼んでいるあたり、本心から出た言葉なのだろうと礼儀正しく返答した。


「おいおい、ヘヴン。余計なこと言うなよな」


「そうかい? 君は独断行動も多いからね」


「んだと!」


 だがダミエルは何かしらの違和感を拭いきれなかった。

 先程見せたヘイヴンの意味深な捉え方をしていた表情が引っかかったのだ。


 だが、こうして自分達を後押ししていることや独断行動などのフェルトの行動の一部を話してくれるあたり、仮にフェルトの思惑に一枚噛んでいるとすれば、あまりに無防備なやり取りだとも捉えられる。


 ヘイヴンには警戒しろとアスベルから言われていたが、杞憂に終わりそうだとダミエルはとりあえず安堵する。


 何せふたりのやり取りは、普通の友人関係から出る他愛無い会話であり、何かをする素振りもない。

 それどころかフェルトに関しては、足蹴りなどを入れる始末。


「おふたりはとても仲が良いのですね」


「ええ」

「そうか?」


「え、ええー……」


 ふたりの返答の違いに、思わずレックスも呆れた疑念が垂れ流れた。


「そういえばフレンド。ふたりを引き連れている理由はわかったが、そもそも何をしてたんだい?」


「買い出しだよ」


 フェルトは千切れたメモをひらひらと見せる。


「このふたりを連れてるもうひとつの理由はただの荷物持ちだ」


「おやおや、聖堂騎士を荷物持ちさせるとは……」


「この人らだって食うんだ、働かざる者食うべからずってな。で、その買い出しの途中、たまたま馬鹿な声が聞こえてきたから、足蹴り(あいさつ)に来ただけだ」


「随分な挨拶だったね」


「そうか?」


「しかし君の料理か……。国に戻ってからの祝賀会で振る舞ってもらったが……」


「何だよ? 貴族様のお口には合わなかったってか?」


「いーや。素晴らしい料理だったさ。それを含め、とても忘れられない夜になったよ」


 ヘイヴンらしい言い回しではあるが、フェルトの素直な反応としては、


「……気持ち悪いなぁー。やべーもんでも食ったか?」


「随分な言い草だ。僕としてもあの旅はとても良い経験になったってことさ。普通に貴族をしていては中々得られないことが沢山あった。そしてその終演としてのあの祝賀会は新鮮だった。貴族の社交会とは違うものだったからね」


「だろうな。貴族共の思惑が渦巻く腹黒パーティーと一緒にすんな」


 それを貴族嬢達がいる前で言うかなとヘイヴンは苦笑いを浮かべた。


「バーチェナさん達から聞きましたわ。とてもサバイバルな経験をされたとか」


「ええ。砂漠を延々と歩いたり、中々独特な食文化に触れたとか」


 ファバルス王国はこの国の人間が行くには、行くというやる気が必要になるほどの距離だ、転移魔法陣でも用意されてるならまだしも、ユクシリア大陸はそもそもの魔力磁場が酷いため、手軽に行ける場所ではない。

 そこの文化が独特という評価を受けるのも納得の一言だ。


「そうだね。ああいう旅は一度はするものだね。蝶々ちゃん達が攫われたことに関しては、とても許されることではないけれど、やはりあの経験で深まったこともあるんじゃないかい? そうだろ、フレンド?」


「そーだな。お前への不信感が募った」


 意外な一言に、そう言うと思った反面、やはりちょっと困惑するヘイヴン。


「……一応、理由を聞こうかな?」


「向こうの大臣が用意してた毒に詳しかったり、ここでこんなに女をはべらかしてるくせに、向こうでも結構な女に話しかけてたみたいだし、中々薄情なんだなーって」


「フッ……愚問だね。蝶々ちゃん達を愛でるのは男として生まれたものの義務さ! 愛と尊重を持って接するのが――」


「はいはい。お前マジでそのうち後ろから刺されるから、その時は、あーあってお前の墓前で言ってやるよ」


「おや? 墓前に来てくれるのかい? 嬉しいね」


「……ポジティブ過ぎんだろ、てめぇ」


 ネガティブよりはいいさと、髪をかき上げながら答えるヘイヴンに、もう辟易したとフェルトはこの場を去ろうとする。


「まあいいや。俺はもう行くよ」


「おや? 折角なら一緒にお茶くらいしていけばいいのに。買い出しは大体終わったんだろ?」


 ヘイヴンは主にレックスが両手に持っている荷物を見てそう語った。

 周りの貴族嬢も是非、お話したいと期待に溢れた眼差しを送るが、


「あのな、料理には下ごしらえってのがあんだぞ? それに俺の料理はちょっと時間もかかるしな」


「ほう?」


 基本的にフェルトの料理は現代世界(向こう)の料理の再現が中心。

 そのためには材料の選別や調理法など、現代世界(向こう)とは微妙に材料の質が違ったりするため、実験みたいな感じで進んでいく。

 一度、レシピを完成させられれば早かったり、卵炒飯みたいに簡単なものなら良いが、新規に再現となると時間はどうしてもかかる。


「というわけで俺は帰るが……ヘヴン」


「何だい?」


「先日の事件のこともあったんだ、その周りのお嬢様方をちゃーんと送り届けるんだぜ。頼んだぞ」


「……」


 それを聞いたヘイヴンはほんの少し間を置いて、


「フッ……了解だ。任せたまえ」


 いつも通りのキザ顔で返事をした。


「おう。それじゃあな。……おふたりさん、時間を取らせて悪かったな。行こうぜ」


「別に構いませんよ。それではケルベルト殿、我々もこれで失礼致します」


「ええ、ラージェン殿。そちらの方も、フレンドをよろしく」


 レックスは自分に言われるとは思ってなかったのか、慌てた様子で軽くお辞儀をすると、フェルトの後をついていく。


「じゃ、帰るか。折角だし、ふたり共、料理も手伝ってくれよ」


「「えっ!?」」

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