16 密談
「――美味え!!」
そう叫びながら、ユーザと同じようにフェルトの料理にがっつくレックスの姿が男子寮にあった。
それを呆れたため息を吐きながら、ダミエルも口にした。
「……! 確かに。これは……」
「美味いか?」
「え、ええ。このカレーライスとかいうもの、この辛味が食欲をそそると言いますか、それでいてこれだけの野菜を摂取できるというのも、中々合理的だ……」
「そ、そりゃどうも」
フェルトは、まさかそこまで分析するとはと苦笑いを浮かべた。
「しかしまさか、聖堂騎士様が僕らの護衛をした下さるなんて、光栄です」
グエルはそう言って丁寧にお辞儀をする。
「いえ。我々が勝手に言い出したことです。どうかお気になさらず」
「そうそう! それに俺達こんな美味いもんにありつけたんス。むしろ感謝っスわ!」
「……この馬鹿が。少しは遠慮しろ」
「別に構わないですよ」
フェルトとしては別の収穫があるというこで、この反応は有り難かったりする。
「俺の作る料理はみんなには未知みたいで、素直に感想をもらえるのは有り難いんですよ。たまには違う面子に感想をもらいたいんで、よろしくお願いしますよ」
「なるほど。とはいえ、多少の遠慮はするものだ。品性が無い」
「そんなん今更ッスよ〜」
「レックス」
フェルトは今の聖堂騎士がどんな集まりなのかを知っているため、ダミエルのその冷ややかな視線には納得がいく。
「す、すみません……」
「まあまあ、ダミエルさん。肩の荷を下ろしたい時だってありますよ。食事の時くらいさ」
「心遣い感謝致します、リーウェン様。しかし、食事時は尚油断ならぬ場所。気を引き締めてもらわなければ……」
ギロッとダミエルはレックスを睨む。
「ひっ……!」
「それに私は上司として部下を教育する立場にありますから、多少なりとも厳しくなくては……」
「はは。大変ですね」
こちらの世界でも社会人としての上下関係はハッキリあるのだと理解した瞬間だったりする。
「いや、大変なのはリーウェン様の方では? 毎日、食事を作っているのでしょう?」
「いや。みんな手伝ってくれるから、そんな苦労はしてないな」
するとダミエルは少し首を傾げる。
「この学園区には学食もあったと思いますが、ここの寮では食事を作ることがルールなのですか?」
その質問に、アルスが渇いた苦笑いで答える。
「いえ。そんなことはないのですが、リーウェン君の料理が美味しいもので、学食に行かなくなってしまったんですよねぇ……」
以前までは学園区の食堂に通っていたようだが、フェルトが料理を振る舞うようになってから、この男子寮の食生活は完全に変わってしまった。
実際、フェルトがユクシリア大陸にいる間、割と残った寮生は困っていたという。
「ですから、材料費を貰って俺が買い出しに行ったりしてるんですよ」
「リーウェン君は目利きも効くようですから」
「そうですか……」
その目利きという部分には心当たりがある様子を浮かべるダミエル。
神眼を普段使いすることで慣らしているのだろうと思った。
「とはいえ護衛してくださる聖堂騎士様にぃ、金を取ったりはしませんからご安心を……」
「いえ。むしろ支払わせてほしい。大人として必要なことだ」
正直、フェルトは些かの疑問をダミエルに感じる。
ここまで真面目な人間が何故、アスベル側についているのかと。
大方の検討としてはやはり『傲慢の左足』が強力故に、利用しようという打算があるということくらい。
「いや、その代わりと言っては難ですが、買い出しに付き合ってくださいよ。どうせ護衛でついてくるんでしょ?」
「しかし……」
「いいから、いいから」
するとユーザが、バッと手を上げる。
「なあ! なあ! 明日は卵炒飯がいい! 折角なら聖堂騎士さん達にも食べてもらおうぜ!」
「……お前、好きだなぁ、アレ」
「おう!」
するとダミエルとレックスは首を傾げる。
「卵……?」
「チャーハン?」
「そう! 卵炒飯! このカレーって奴みたいにライスを使った料理でな。黄金に輝いてんだぜぇ……」
男子寮生達は食い意地を張ったいつものユーザに呆れて笑う。
「これもそうですが、リーウェン様はライス、米を使った料理をなさるのですね」
「聖都でもあんまり使われないのか?」
「ええ。主食はパンですね」
「ふーん。まあ俺の村は元冒険者の集落ってのもあって、色んな文化を持ち合ってるからな」
「なるほど。それで……」
それでも米文化は少ないものだった。
フェルトとしては、異世界で料理開拓でもできるんじゃないかと思ったくらいだったりする。
現代世界の食文化は異世界に渡ったフェルトには、とても素晴らしいものだったと再認識するものとなった。
だからこそ、その再現は中々楽しいものだった。
「しかし、聖女様の護衛は大丈夫なのですか? 確かにブラックギルドが僕らを襲撃してくる可能性を考えると、聖女様にも被害が飛び火しそうですから、僕らを護衛してくださることは有難いですが……」
「そうですね。そういう予防も兼ねてですからね。キーエンス君だったかな? 大丈夫です。アスベルを含めた聖堂騎士がちゃんと警戒してますから、問題ありません」
フェルトは、まあそのブラックギルドが襲ってくる可能性はほぼ無いと思っており、聖堂騎士の真意を知っていてか、見えないところで、フンと呆れた鼻息を鳴らす。
「そうですか。ならいいのですが。……では改めて、よろしくお願いします」
「いえ、こちらこそ」
ふたりの歓迎会という食事会は終わり、これから護衛という聖女祭が終わるまで続く、フェルトの監視が始まるのだった。
***
「フェルト・リーウェンは?」
食事も風呂も終えた寮生の一同は各部屋に戻り、消灯される寮内だが、聖堂騎士のふたりはこれからがお仕事の時間。
ダミエルはフェルトの部屋の扉横にいるレックスに尋ねた。
「部屋にいるッス。出た気配もありませんし、中にいる気配がします」
「そうか」
一応、表向きは護衛という仕事。
行き過ぎた行為は周りから不審がられるため、あくまで護衛の範囲を抜けない程度に監視を行うふたり。
「でもいいんスか? こんな悠長に監視してても」
「怪しまれないためにはこの程度でいい。下手な行動は他の寮生に怪しまれる。やっとでさえ、フェルト・リーウェンにはほぼこちらの情報が筒抜けなんだ、これ以上、不利な状況になるわけにはいかない」
「……そんなもんスか」
「それとあんまり監視と口にするな」
「は、はいッス……」
するとレックスは、ちらりとフェルトの部屋の扉を見る。
「何とかならないッスか? 説得とか何とか……」
「そんな希望があるならやっている。向こうから突き放してきたんだ。交渉の余地はない」
フェルトが間接的に【絶対服従】を知っていると伝えた時点で、対立関係になっていると語るダミエル。
すると、
「――ま、その通りだな」
「「!?」」
ふたりは声のする扉の方を見ると、隙間の中からフェルトがニッコリ笑っている。
その反応を見てダミエルは語る。
「……やはりわかった上で護衛を受け入れたのか?」
「監視、だろ?」
「……!」
ダミエル達は深刻な表情へと変わっていく。
「おいおい。アンタ達の望み通りの展開だろ? そんな顔しなくたっていいだろ」
「……貴方がそんな飄々とした態度でなければ、もう少し喜ぶんですがね」
「開き直ってるだけかもよ。実際問題、今朝、陛下にアンタ達の話ができてれば良かったんだが、先手を打たれちまったからな」
「それはどうでしょう? それも貴方の何かしらの狙いなのでは?」
その質問にフェルトは軽く笑う。
「ははっ! 考え過ぎだって」
「いや、考え過ぎということはないでしょう。聖女ラフィのことについて知っているようですからな」
「……! ふーん。まあ、こんな対応するんだ。ちゃんとメッセージは受け取ってくれたようだね」
「ええ。あのおふたりがおっぱい派であるということはしっかり」
「ははっ! まさか全部聞いたのか?」
「……」
これ以上の会話は情報になるとダミエルは黙った。
するとフェルトがどうなったかを推察する。
「まあ全部は聞いてないだろうな。じゃなきゃ、もう少し対応も違っただろ」
「それはやはり……!」
ダミエルからすれば、ゴルド達とはその後の話もあったという発言。
ダミエル達からすれば欲しい情報だが、
「バーカ。聞きたきゃ、今拷問されているであろうあのふたりにでも聞きゃいいさ」
「拷問? ライクとゴルドにはそんなことしても無駄って――」
「レックスッ!!」
レックスが逆に情報を提供した。
「へえー、拷問してないんだ。てっきり何としても吐かせようとしたのかと思ったぜ」
「……我々が監視という対応を取っている時点で気付いていたくせに、よく言う……」
「あっ! バレた? まあそれでも心配はしてたんだぜ? 自業自得とはいえ、拷問にかけられるのは心が痛むってな」
「自業自得?」
「そりゃそうだろ。アンタ達がネフィ派のあのふたりをわざと泳がせてたんだろ? あのふたりだってそれは知ってたはず。なのに俺と接触したらどうなるかなんて、それも予想できたはずだ。それで拷問されれば自業自得だろ?」
「そうだな」
「ま、でもこれでアンタ達がほとんど俺達の情報が無いってのもわかったから、結果オーライか」
「「!?」」
ふたりはその発言に驚く。
図星を突かれたダミエルは恐る恐る尋ねる。
「そ、それはどういうことかな?」
「この監視と拷問をしてないって時点でそれがわかるよ。そんな難しい話じゃない」
するとフェルトは推察を語る。
「アンタ達が俺達が何を話し、企んでいるのかという情報を当事者であるライクやゴルドから聞き出せば済む問題だろ? でもそれができない理由は【絶対服従】が効かないことと拷問が通用しないこと。前者はラフィが性癖暴露トークを一時間以上、聞けないだろうということ」
「い、一時間もしたんスか!?」
「ああ。インパクトが凄い方が最初に語られそうだからな。根掘り葉掘り聞いた」
この手段にはさすがの敵サイドであるダミエル達は、ライク達に同情心が湧いた。
「そして後者は、アンタ達が知らないその前者の話の後の話で希望を持ったふたりが話すことがないとわかってのこと。アスベルはそう判断したんじゃないか?」
「……」
アスベルの性格も読み切られていると、ダミエルはより深刻な表情をする。
「そしてこの対応だ。アンタ達は何としても俺達が何を企んでいるのかという情報が欲しい。だが直接的には入手が難しいと判断したアスベルは、情報の取得を狙うと同時にその妨害をするため、俺には監視を、ふたりを拷問してないなら、恐らく泳がせてこちらも監視を置いてるのかな?」
「……その質問には答えられないな」
「でしょうね。答えなくていいよ。ほぼ答えは出てる」
「……」
だからこそダミエルには過ってならなかった。
ここまで読み切れるのなら、恐らく監視がつくことも想定内だと。
だとするなら受け入れる理由が思い浮かばなかった。
だから、
「なら、何故受け入れた?」
「監視? さっきも言ったろ? 開き直った――」
「いや、そこまで読み切れる貴方なら、監視がつくことも想定内のはず。開き直ったは些か安直過ぎる」
「……そうか? 普通に考えれば、いくら俺でも真夜中に王室には伺えないし、俺にだって生活があるから、謁見するにも時間帯はある程度決まってる。そうじゃなくたって俺は一般人だぜ? アンタ達と違い、正式な肩書きがあるわけじゃないんだ、おいそれと謁見の場なんて用意されるかよ」
「それはどうでしょう。神眼の持ち主殿」
ダミエルはオルディバルも神眼の経緯は知っているのだから、特別扱いするのではないかと語るが、
「アンタ達じゃあるまいし、少なくとも陛下は神眼で特別扱いはしてねえよ」
ただ、これが『大罪の神器』と知られれば話は変わってくるだろうとフェルトは過る。
「それにアンタ達は監視で遠巻きから様子を見ようという保守的な対応を見るに、強行手段は取るとは判断できないから、俺が開き直ったって不思議じゃねえだろ?」
「それは……」
肯定することはまた情報を提供することになるとダミエルは言い澱む。
「ま、あのふたりには悪いがこうなった以上、大人しくしといてやるよ」
「……」
ダミエルはもう疑心暗鬼に陥っていると自覚が湧いてくる。
フェルトのこの諦めたような発言と態度も一切信用ができなくなっている。
今の発言もこちらの油断を誘うためのものとしか思えなかった。
するとそんな疑いの眼差しをやめないダミエルにフェルトは笑いかける。
「そんなに心配なら監視すればいいだろ? そのためにわざわざ陛下の良心をついて護衛なんて言い出したんだろ?」
「そ、それはそうだが……」
この監視自体がフェルトの罠であるとも思えてならないとダミエルは素直になれない。
「ま、トイレとか風呂までは監視するなよ。それ以外はオッケーだからさ」
「あ、当たり前ッスよ! そんなプライベートくらい守りますよ」
「良かった。そこまで良識が無いのかと思ったぜ」
するとダミエルが少しでも情報が欲しいのか、
「……貴方はどこまで知っている?」
遠回しに聞いても意味もないということから、直接尋ねた。
その言葉にはふたりも少し面食らったように驚く。
するとフェルトは不敵な笑みを浮かべる。
「――どう答えて欲しい?」
「……!!」
ダミエルはダンっと怒りを表すように、フェルトの扉横の壁を叩いた。
そして一応は密談のためか、今まで同様小さな声ではあるが、明らかな焦燥感を持った声で語る。
「人を欺いて楽しいか!? その眼で見たものの情報をチラつかせて、人を弄ぶのが楽しいか!?」
「……」
フェルトはこの発言や表情から、ダミエルはアスベルのやっていることを少なくとも本心では良しとしていないことがわかった。
だからこそ尋ねる。
「それ――ネフィを陥れたアンタ達のセリフか?」
「――!?」
「アンタ達がやっていることを全ては理解してない。これは本当だ。だがラフィの【絶対服従】を使い、クーデターを起こそうとしていること、そしてネフィを利用しようとしたことは、昨日アスベルが自白したしな」
「……」
確かにアスベルはあくまでラフィを平和の象徴にするべく、ネフィを利用すると自白はした。
だがその真意を語っては勿論いない。
「そしてそのネフィを【絶対服従】の力、いや、そうでなくてもあの左足を調べたであろうアスベルが双子の聖女を利用しないと考える方が不自然だ。何せ神物なんだ、試すなら神の力、聖力を持つ聖女に試せばいい。……ふたりいるんだ、ひとりくらい潰しても問題無いって考えたんだろ?」
「……」
ダミエルはその当時のアスベルの真意こそわからないものの、そう言われると、アスベルの性格を鑑みて、そうであるとも判断できてしまう。
「しかも当時のネフィは十二のガキだったんだろ? 随分と酷なことしやがるじゃねえか。あのふたりしか来なかったことに、俺はある確信を得たよ」
「確信?」
「お前達が徹底的に貶めたせいで、ネフィは諦めたんじゃないかってな」
「!」
ヘイヴンからネフィは根が真面目な性格だと聞いているフェルト。
そんな彼女なら助けて欲しいとお願いするなら、直接自分で出向くと考えたからだ。
間接的だと説得性に欠けるし、出向いた方が誠実性が伝わる。
しかしそうしなかったのは、何かしらの理由で抜け出せなかったとも考えられるが、聖堂騎士に護衛されてや夜中とはいえ、外を歩いていたところを見ると、別に外出することに何か問題があるようには思えなかった。
ならばもうフェルトの中で、答えはひとつしかなかった。
それは絶望に耐えきれず、ネフィが諦めてしまったということだった。
「そんな奴らの一味であるアンタがそんなことを言うとはね」
「……」
「たとえ【絶対服従】に逆らえなかったり、利害は一致しており、利用するためだけだったから目を瞑ったにせよ、そんな発言はするもんじゃねえよな?」
「……まったく正論だ」
「だからな……」
フェルトはその扉の隙間にもう少し顔を近づけて語る。
「せいぜい疑心暗鬼の沼にハマりな。これからどっぷり追い詰めてやるから覚悟しとくんだな」
「……それはやはり動くということか?」
「さあな。言い切ったからこそ動くと思うのか、それともハッタリなのか。好きに判断しなよ」
「……」
「これからネフィが味わった絶望の一端を教えてやるってアスベルに伝えておきな。どうせ報告とか行くんだろ?」
「……わかった。伝えておこう」
フェルトは宣戦布告を終えると、
「じゃ、お互い腹の探り合い、頑張ろうぜ。ま、俺にはやましいことなんてないけどな」
バタンと扉を閉めた。
すると緊張の糸が張っていたのか、レックスが安堵の表情を浮かべ、その糸が切れた様子を見せる。
「ふうー、ま、マジでビビったぁー」
「ああ……」
ダミエルは改めて敵に回すべき存在でなかったと、気を緩められないでいた。
すると、
「あっ! 言い忘れてた」
「「!?」」
再び扉が開く。
「寝込みを襲ってくんなよ」
「……そんなあからさまなことはしない」
ダミエル達は一応護衛という名目でここにいる。
ブラックギルドに襲われたと偽装もできるだろうが、それでもフェルトを直接襲うというのには、実力も踏まえてリスクでしかない。
だがフェルトは予想とは違う指摘をもした。
「それもそうだが、俺、ガキの頃にハゲのおじさんにベッドで馬乗りになられたことがあってな。マジでトラウマもんだから止めろな」
「「……」」
思わずふたりとも固まった。
当然の反応であり、ふたりの想像は幼い男の子好きのおっさんに襲われたということが浮かんだ。
「は? う、馬乗りって……」
「安心しろ。アンタ達が今、思い浮かべてることじゃねえよ。ダマスって神父は知ってるか?」
「え、ええ、まあ。ま、まさか……あの男が!?」
「そう。この神眼欲しさに寝てる俺に向けて馬乗りになって義眼を奪おうとしたんだよ」
「あ、ああ! そういうことか……」
ふたりはホッと安堵するが、ここでダミエルが疑問を投げかける。
「確かにダマス神父は神眼のことを大層喜んで口にしていましたが、確か亡くなられたと……」
「ああ、亡くなったよ。死因は一応、表向きは魔物に殺されたことになってる」
「表向きは……?」
するとフェルトは少し冷ややかな視線を送りながら、ゆっくりと扉を閉め始める。
「本当のところはどうだろうな。ま、ひとつ言えるのは、アスベルの奴は『大罪の神器』の装備者を選定したという判断は正解だったってことさ」
「……!?」
ダミエルは今の話とこの発言からあることを悟った。
ダマス神父は神眼に触れたことで亡くなったのだと。
そして、フェルトの左目もラフィの左足も同格のものではないかと。
フェルトの部屋の扉は閉まっていく。
「――待ってくれ! フェルト・リーウェン! それはどういう……!」
「アンタ達の読み通り、俺のこの眼とラフィの左足は同じ物だってことだ」
「!?」
「敵にするなら、お前達が今までやってきたことがそのまま返ってくると思うんだな。いや、使用者に力量の差がある以上、てめえらの方が不利か」
「……!」
フェルトは明らかにラフィを見下す。
だがその意見にはふたりとも否定することはない。
普段のラフィを見れば、軽く想像しただけでもわかることだった。
「楽しみにしとくぜ。腹の中が透けて見える俺に、どこまで抗うのかな」
フェルトはそう意味深な言葉を述べて、今度こそ扉を閉めた。




