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大罪の神器  作者: Teko
王都編 双子の聖女
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02 帰ってきた故郷

 

「ん〜〜〜〜っ!! 空が気持ちいいーっ!!」


 のびのびーっとクレアが甲板に上がって背筋を伸ばしている。

 確かに気持ちいい青空だ。

 砂漠の国の空とは違い、カラッとした暑さの無い涼やかな風は確かに心地良いのだが、


「俺達の心は憂鬱だよなぁ〜」


「もう諦めなよ」


「うるさい! 救われる側はいいよな!」


「拗ねないでよぉ〜」


 帰ったところで、ギルヴァートの雷が落ちるとなると、帰るのは非常に憂鬱になるわけだ。

 少しくらい拗ねさせてほしいと思うフェルト。


「ねえ、見て」


「ん?」


 フェルト達は下の海を見てみると、船が沈んでいる。


「おい、アレって……」


「わたくし達が攫われた飛空艇ですね」


「ほお? アレから脱出したのか? 凄いのぉ」


「はは。よく生きてたよ」


 海の中から黒い塊となって見える飛空艇を見ると、万が一脱出できなかったことが過り、生きた心地がしない。


「しかし、ようやくここまで戻ってきたんだね」


「長かったぁーっ!!」


「だな」


 すると向こうから複数の飛行物がこちらへ飛んで来る。

 どうやらグリフォン隊のようだ。

 一騎のグリフォンの騎士はバルデルセンの国旗を掲げていた。


 そしてそのグリフォン隊のひとり、おそらく隊長だろうか、甲板にいるフェルト達のところへゆっくりとグリフォンを降下させると、その騎士が降り立った。


「失礼致します! わたくしは王都バルデルセンのグリフォン騎士隊の者であります! 殿下より伝法を預かっており、参上致しました」


 実は向こうにいる際に、ギルドを通して手紙を渡してたりしてた。


「うむ。ご苦労じゃのぉ。妾はファバルス王国第一王女のタルターニャ・ファバルスじゃ」


 するとその騎士は跪いた。


「これは王女様でしたか。これは失礼致しました」


「よいよい。主らの目的はこの者らであろう?」


 その案内の元、エメローラは前へ出た。


「お久しぶりですね」


「……! 姫殿下! ご無事で何よりでございます! 陛下は元より、皆、とても心配しておりました!」


「ええ。ありがとう」


 安心したのか、ふうとひと息つくと、その騎士はビシッと勇ましく敬礼する。


「これよりわたくし達、グリフォン騎士隊はファバルス王国の飛空艇のご案内兼警護の任につかせて頂きます。よろしいでしょうか?」


「うむ! 頼むぞ」

「ええ。お願い致します」


「は!」


 その任務を真っ当すべく、その騎士はすぐにグリフォンへ乗り込み、上空へ飛び、ファバルス王国の飛空艇を警護するように周りを囲んだ。


「もうこれで安心よな?」


「ええ。本当にありがとうございます、ターニャ」


「よいよい。主らを無事に帰すと約束したであろう? それに妾、グリフォンを見るのは初めてじゃ! 中々逞しいのぉ! ……このような体験もできておる。お互い様じゃ!」


 気にするなとニカッと中々良い笑顔を頂きました。


 まあ確かに待っているものを考えると、帰るのは中々憂鬱にはなるが、やはりこうして故郷に帰れるってのは、やっぱり有難かったりするもんだ――。


 ***


 ――数時間後、フェルト達はついにオルドケイア大陸へと戻ってきた。


 その玄関先とも言える港町では錚々(そうそう)たる飛空艇の数がズラリと並んでいた。

 フェルト達が先輩のグリフォンに乗ってた時には、こんなには並んでなかったはずだがと圧倒されていると、


「お、お父様……」


 何やらエメローラが呆れている。

 やはりというべきか、娘を心配した国王陛下が大袈裟に歓迎してのことのようだ。


 そんな物々しい雰囲気の中、ファバルス王国の飛空艇も着地し、フェルト達はオルドケイア大陸の地を再び踏みしめた。


「おおっ!! 帰って、来たぞおーーーーっ!!」


 堪らずユーザが叫ぶ。


「や、やめろ! この馬鹿!」


 そしてツッコむグエル。

 各々、喜び方は違えど、やはり再び故郷の地を踏むこと、空気を吸うことは、喜ばしいことなんだと骨身に染みるようだ。


 そして向こうから沢山の足音が連続してくる。


「!」


 それは国王陛下を中心に貴族の方々が向かってきているようだ。

 整った服装や攫われた貴族嬢達を考えれば、そんな人達が向かってきているというのは、当然と言えるだろう。


「お父様!」


「ローラ!!」


 国王陛下は人目も気にすることなく、娘であるエメローラを抱きしめた。


「おおっ……!! ローラ!! 無事で……無事で良かったぞお!!」


「お、お父様!? わ、わかりましたから、ちょっと落ち着いて……」


 聞く耳持たないようで国王陛下は「ローラ、ローラ」と繰り返すばかり。

 そして堪らず、


「――お父様っ!!」


 エメローラが耳元で叫ぶと、ハッと我に帰ったようで、スッと離すと、こほんと咳き込み、


「よく、無事だったね。エメローラ」


 威厳のあるキリッとした表情に変わったが、


「……今更遅いです。お父様」


 娘エメローラに呆れられながらのツッコミパンチをもらった国王陛下だった――。


 貴族嬢達も各自の家族との再会を喜びあう中、国王陛下が音頭を入れる。


「皆、自分達の子らと再会できたこと、誠に喜ばしいことであると同時に、我は皆に謝罪をせねばならない。本来であるならば、王宮(我々)で事を収めねばならぬところ、至らぬばかりに貴殿らの子らを危険な目に遭わせてしまった。本当に申し訳なく思っている。勿論、このようなことは二度と起こらぬよう、対策し、起こさぬことを約束しよう」


 王宮側は結局、笑顔の(スマイル・)娯楽提供者(エンターテインメント)召喚魔(ダミー)に引っかかって、おそらくアルス達が連れていった連中の部下達を見て、やっと事の次第の解決先を見つけたに違いない。

 そして沈んだ船を見たところ、おそらくではあるが、フェルト達がいない間、結構一悶着あったんだろう。


「そして何より、此度の事件の解決に大きく貢献した者達……前へ出よ!」


 自分達のことだよなと、フェルト達は陛下の前へ。

 するとヘイヴンは当然のように、サッと跪いたため、フェルト達も合わせるように跪いた。


「皆も知っておると思うが、王立バルデルセン魔法騎士総合学校のグリフォン隊の学生達の情報をきっかけに、事の真相が見えてきたことを話したと思う。そしてそれを指示し、我が娘エメローラを救うばかりか、攫われた娘達の救出を行い、かつ他国より無事に舞い戻って来られたのも、このヘイヴン・ケルベルトを中心としたこの男子学生達の活躍にある!」


 唯一名の出たヘイヴンが立ち上がり、拍手に答えるよう、貴族達にぺこぺことお辞儀を繰り返した。


 何故かユーザも立ち上がろうとしたが、


「何でお前まで立とうとしたんだ?」


「いや、合わせた方がいいのかなって。それに陛下おかしいよ。中心だったのはフェルトなのに……」


「いいんだよ、これで……」


 フェルトは不満に思うユーザを押さえた。


「本当にいいのかよ?」


「良いも何もねえよ。よく考えてみろ。今回の事件、王宮の失態が目に見えたかたちだったろ?」


「うん」


「それなのに、その解決をしたのが田舎の山育ちの平民の学生を中心なんて国王陛下が口にしてみろ、集まった貴族達の癇癪(かんしゃく)を買うだろうが」


 陛下達も、おそらくアルス達を事情聴取した中で、フェルトを中心に行動を起こしていたことくらい聞いているだろう。

 だが、それを正直に被害者である貴族達に語るような馬鹿なことはできない。


「つまりリーウェン君が言いたいのは、国王陛下と貴族達の力のバランスを保とうというわけだ」


「グエルの言う通り。今回の事件で王宮側に不満を持った貴族達は少なからず出たはずだ。それなのに俺を中心になんて言えるはずないだろ? でも解決したのは俺達。とすれば、王宮側と深い関係性のあるケルベルト家の御子息様であるヘヴンがやったと言えば、ある程度の貴族達も納得いくし、王宮側のメンツも保てるってもんだろ?」


「な、なるほど……」


 そしてそれを公の場ではなく、この港町で言った理由としては、他の関係のない貴族達に変な詮索をされないためだろう。

 正直、被害者の貴族達は自分の娘が帰ってくることに気が向いており、そのあたりの考えが紛れてしまっているだろうから、誤魔化すなら今が絶好のタイミングなんだろう。

 しかも、その被害者貴族達がケルベルト家の息子がやったと噂を撒いてくれれば、王宮側からしても儲けものだ。


「今はこのような場故、賛辞を投げることしかできぬが、落ち着き次第、場を与えることとしよう」


 それが(おおやけ)かこっそり呼び出しとは言ってない。

 フェルト達にはともかく、集まった貴族達には有耶無耶にする気満々だ。


「そして……ファバルス王国の方々、我が国の民を送り届けてくれたことに感謝する。一同の代表として礼を言わせて頂きたい」


「礼には及ばぬよ、国王陛下殿。妾らも礼を返す一環として行なったこと、気にする必要はない」


「ほう? 礼ですかな?」


「まあ、その話は後程するにして……」


 お転婆な様子など見せることなく、王族に相応しい振る舞いでお辞儀をする。


 向こうの出立前のお転婆さはどこへ行ったのやら。

 伊達に王族でもないらしい。


「お会いできて光栄じゃ。妾はファバルス王国第一王女、タルターニャ・ファバルスと申します。これから貴国と友好的な関係を築くべく、馳せ参じた。……受け取ってもらいたい」


 ファバルスの使者のひとりが預かっていたであろう親書を手渡し、国王陛下は中身を軽く拝見。


「うむ。確かに受け取った。歓迎致しますぞ、タルターニャ王女」


「うむ!」


「改めて、攫われた皆には本当にすまなかったと思っている。辛かったであろう」


「お心遣い感謝致します、陛下」


「攫われた心労に加え、長旅で疲れたであろう。家族らと共に帰り、その疲れを癒すと良いだろう」


「ありがとうございます、陛下」


 攫われた貴族嬢とメイド達はペコリとお辞儀をし、フェルト達にも労いの言葉を改めてかけられた。


「貴殿らも改めて見事な活躍、大義であった。彼女らと同様に疲れたであろう。詳しい話は後日聞くことにするから、今日のところは帰り、各々しっかりと疲れを癒すと良い」


「は! お心遣い感謝致します」


 ヘイヴンのその言葉に合わせるよう、フェルト達も顔を伏せるが、ガルマの表情は暗かった。


「ではタルターニャ王女。このようなかたちではありますが、歓迎致しますぞ。我が船についてきてくだされ」


「うむ。了解したのじゃ」


 こうしてフェルト達は王都バルデルセンに向け、帰国したのだった。


 ***


「おお〜〜っ! 懐かしい……」


 フェルト達は国王陛下の計らいの元、話は後日となり、王都バルデルセンに帰ると、早速寮へと帰ってきた。

 まだ一ヶ月くらいしか過ごしてなかったはずの寮なのだが、故郷に帰ってくるぐらいの懐かしさを感じる。


 それだけ過酷な旅路だった。

 攫われた貴族嬢とメイドを追いかけ、奴隷商に喧嘩売ったり、脱出した先が異国の砂漠だったりと、中々の大冒険だった気がする。

 当分は旅行も遠慮したい。


 そんな中身の内容も中々濃い旅路を終えたフェルト達は、意気揚々と扉を開けた。


「たっだいまぁ〜っ!」


 勢いよく開けたのはユーザ。

 するとバタバタと走ってくる足音が聞こえたかと思うと、


「おかえ……りっ!!」


「――ぶげっ!?」


 ひとりの女生徒がその勢いのままに跳び蹴りをユーザに食らわし、そのまま玄関まで吹き飛ばされた。


「カ、カルケット君!?」


「派手に飛んだなぁ……」


 そんな驚きと感心をしていると、その女生徒から胸ぐらを掴まれた。


「なぁにが、派手に飛んだなぁよ!! 呑気なこと言ってんじゃないわよ!!」


「えっとぉ……お久しぶりです、ミント先輩」


「そうね、お久しぶり……じゃないわよ!! どんだけ心配したと思ったのよ!! 馬鹿ぁ!!」


 送り届けてくれた張本人達だし、心配してたんだろうなとは思っていたが、心配通り越しての跳び蹴りがユーザに入ったようだ。

 すると遅れてバタバタと他のグリフォン隊の先輩達も現れる。


「あっ! アルスパイセン、おっひさー!」


「リーウェン君……」


 薄っすらと涙を浮かべたが、元気に帰ってきた生意気な後輩に弱いところは見せられないと、アルスは涙を拭い、


「よく帰ってきたな! リーウェン君!」


「おう!?」


 ガシッと頭を掴み、髪をくしゃくしゃされた。

 これが先輩の洗礼だぞと言わんばかりに。


「……ただいま帰りました、パイセン」


「うん」


 ひとしきり送り届けてくれたグリフォン隊の先輩達と再会を喜び合うと、


「何で先輩方がいるんです?」


 アルスはこの寮に住んでるからわかるが、他の先輩達は貴族であり、この王都在住のはずだと疑問に思う。

 するとミントが文句を言うように語る。


「はあ!? 決まってんでしょ!? アンタ達が帰ってくるって連絡を受けたから、待ってたのよ」


「なるほど……」


 そんな呑気な返答をしていると、ミント、キイリン、ジェイクからめちゃくちゃ圧のかかった視線を浴びる。


「なるほどじゃないわよ。私達がどれだけ心配したかわかってるの?」


「まったくだ。知り合っていきなりあんな派手なことをした挙句、その後輩が戻ってこないじゃ、寝覚めも悪いだろ?」


「ふふふふ……」


「な、何か……ごめんなさい」


 するとアルスが呆れた様子で先輩達の事情を話してくれる。


「リーウェン君。俺達はね、君の指示した通り、あの笑顔の(スマイル・)娯楽提供者(エンターテインメント)の豚マスクを連れて、王宮騎士団の方々に事情も説明し、その遭遇した領域まで戻ってみると……」


 フェルトは沈んだ船を思い出す。


「あっ……」


「目撃した飛空艇がもうほとんど海に沈んでいたんだ。それを目撃した俺達がどんな気持ちだったか……説明、いるかい?」


 呆れた様相から圧のこもったニッコリ笑顔のアルスに、フェルト達はサッと逸らした。


「いや、大丈夫です。はい……」


「説明、いるかい?」


「いや、だから大丈夫――」


「説明、いるかい?」


「だぁああああーっ!! 心配かけてごめんなさいでした!!」


 無事に帰ると言い残した後輩が海に沈んだかもなんて考えれば、血の気も引いただろうし、きっと色々後悔もしたんだろう。

 そして、その後輩が何食わぬ顔で戻ってくれば、嫌味のひとつでも叩きたいところだろう。


「まったくよ! そのあと私達も騎士団に混じって、捜索したけど、豚マスクの死体が数体浮かんでくる以外は一向に手掛かりは無し」


 それはそれで、中々の怪奇現象。


「挙句、今の今まで連絡も無かったからな。気が気じゃなかったよ。まったく……」


「ほ、本当に面目次第も御座いません……。ん? てことは王都でも色々あったんじゃ……」


 それだけ調べたってことは、攫われた貴族嬢達の安否もある程度、公表するなり、伏せるなり、国からの動きもあったのかと尋ねると、


「勿論。被害者家族である貴族達から猛抗議とかあったみたいだよ。さすがに調査中ってゴリ押してたみたいだけど……」


 攫われた貴族嬢達、エメローラ姫殿下含めた全員が死んだとは中々公表しづらいだろうな。

 念入りな調査の元とか言って誤魔化してきたんだろうな。

 それに国王陛下からしても、実の娘にそんなことが起きたじゃ、攫われた時以上に気持ちが失墜しただろうしな。


「まあ、俺達は口止めされてたけどね」


 案内役だったわけだから、概ね事情を理解してたことが起因しているのだろう。


「ホント大変だったわよ。私はグリフォンに乗れるから、調査を手伝ったり、帰ったら帰ったで細かく事情聴取されたり……」


「やっと休めるかと思ったら、学園長に呼び出し食らったり、ギルヴァート先生にめちゃくちゃ怒られるしで……」


「は、はは……大変だったんスね」


 そのあたりはフェルト達も他人事じゃない気がする。


「まあ! 兎にも角にも無事帰ってきたから良いじゃないか! 折角、俺達全員集まったんだから、祝勝会といこう!」


「エルク……。コイツらには文句も色々言ったが、今は休ませてやるべきだろう。そんなものは後日やればいい」


 どうやら祝勝会は開いてくれるようだ。

 ジェイクに対し、堅いイメージがあったフェルトだが、ちょっと印象が変わってくる。


「それもそうだな。ケルベルト君やヴォルノーチェ君も呼んで、盛大にやろう!」


「いや、エルク。ケルベルト君はともかく、ヴォルノーチェ君はちょっと……」


 何故とユーザとエルクは首を傾げている。

 ユーザはともかく、エルクも一応貴族だろうから、事情をわからないわけでもないだろう。


「元々、ガルマがエメローラ姫殿下の外泊を許可しなきゃ、攫われることはなかったからな。いくら王宮側の対策にも非があったとはいえ、お咎め無しってわけにはいかないだろう」


「そうだな……。せめて今回の活躍で少しは軽い罰で済んでくれるといいが……」


 そういうフェルト達もお咎め無しってわけにもいかない気がするが、とりあえず今日は疲れたフェルト達は、ギルヴァート達、先生方に怒られるのは明日にしたいとと思う。


「じゃあとりあえず今日のところは解散かな? 後日、救出の成功と無事を祝って、乾杯でもしましょう」


「その時は是非!」


 するとコンコンとノックがすると同時に、


「ほお〜……それは随分と楽しそうな会話だ」


「「「!?」」」


 すると談話室の入り口に寄り掛かりながら、こちらを鋭い眼光で睨むギルヴァートの姿があった。

 フェルト達は勿論、アルス達も萎縮したのか、ガチっと固まった。


「オ、オヒサシブリデス、センセイ」


「オ、オゲンキデシタカ?」


 フェルト達はあまりの恐怖にカタコトで喋ってしまう。


 もう後ろからドス黒いオーラが出てんだよ!


「ああ、元気だったとも。少なくとも、長ーい旅路を終えて帰ってきた貴様らよりはご健勝さぁ……」


「そ、それは何より……」


「まあ祝勝会も大いに結構だが、その前にやるべきことがあるよなぁ?」


 もう圧が怖かった。

 やっとでさえ、軍人みたいな強面顔で怖いのに、明らかに怒ってますオーラ全開の雰囲気を出させられたら、答えようにも答えられない。


「どうした? 何か言うことがあるだろぉ?」


 フェルト達はバッとギルヴァートの前に座り、


「「「す、すみませんでしたぁ!!」」」


「き、緊急事態とはいえ、あの張り紙に従わなかったことは謝りますから、どうかぁ……」


 フェルト達三人が素直に謝ると、不機嫌オーラはそのままだが、ふうとひと息ため息を吐くと、親指を立てて、向こうへ行くぞと示された。


「疲れてるとこ悪いが、ちょっと来てもらうぞ」


「そ、それは裏に来い……的な?」


「は? 何のことを言っている……」


 違うのね。

 良かった。


「学園長室へ来い。話があるそうだ」


「あっ……はい」


 疲労が溜まっているとはいえ、厄介な説明はさっさと済ませてしまおうと、フェルト達はその案内を受けるのだった。

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