29 ビストアンカ はぐれた貴族嬢サイド
「何なんですの! 何なんですの! ぐすっ……。寄ってたかってわたくしを悪者呼ばわりして……」
走り疲れたチェンナは、砂漠の町をトボトボと歩いている。
昼間とは違い、一気に冷え切っていく夜はかなり堪えるものだった。
「さ、寒っ!」
つい思わず走ってきた方を振り返る。
「ケルベルト様……追いかけて来てくれない」
寂しそうに呟くチェンナに、誰ひとり答えることはなかった。
そして、簡単に挫折しそうになるチェンナは呟く。
「や、やっぱり戻ろうかな……」
そう足が向いた時、自分に怒号を浴びせた貴族嬢達とエメローラの顔が脳裏に浮かんだ。
『――文句と迷惑しかかけていないでしょう!?』
『――貴族であったことが役に立っていないでしょう?』
ぶるぶると自分を奮い立たせるように、顔を振ったチェンナ。
「ダメダメ。ダメですわ! わたくしはもう決めましたの! わたくしひとりの力で戻ってみせて、ケルベルト様は勿論、あのお馬鹿さん達に目にもの見せてくれますわ!!」
チェンナは早速、貴族である自分をアピールを始める。
相手は八百屋。
先程、宿屋での食事を十分に摂らなかったせいか、まだお腹が減っていた。
先ずは腹ごしらえからだと、自信満々に八百屋の店主に命令する。
「そこの人」
「はい。すみませんがそろそろ店じまいで――」
「わたくしに食べ物を捧げることを許しますわ!」
しーんとした空気が漂うと、店主は「……は?」と口にする。
それが気に食わなかったチェンナは、少し眉をひくひくとさせるが、ここは我慢だと名乗り出す。
「知っているとは思いますが、わたくしの名はチェンナ・バーチェナ! バーチェナ領主の娘ですのよ! わたくしのために食事を提供する名誉を貴方に与えようと言ってるんですの! 感謝なさい!」
「……」
すると店主はいそいそと店じまいの準備を進める。
「ちょっ!? 聞いてますの!?」
「ごめんね、お嬢ちゃん。おじさんは片付けで忙しいから、今度お母さんと一緒に来な」
「はあ!? な、何言ってますの!? わたくしはその果物を寄越せと言ってるんですの!」
「……お金は?」
「はあ? 何言ってますの? わたくしに尽くすことを許すと――」
店主はダメな娘を見る目をしながら、先程より速度を上げて片付けをする。
「ちょっ、ちょっと! お待ちなさ――」
店主は手早く店じまいを済ませると、奥の自宅へと戻っていった。
「ちょっとぉ!! ふざけるんじゃないですわよぉ!! わたくしはチェンナ・バーチェナ!! 貴族、貴族ですのよぉ!!」
チェンナは近所中に聞こえるような大声で、八百屋の店主に訴えるも、一向に出てこない。
「むむむむ……。フン! もういいですわ! お父様に言いつけてやりますわ!」
「……」
それがビストアンカ中で行われており、それがフェルト達が探し出すことを困難にしているとも知らず、チェンナは各先々でそれを繰り返していた。
「――だああああっ!! どうして誰も言うことを聞いてくれませんのぉ!!」
裏路地で途方に暮れるチェンナ。
こんなはずではなかったのにと、謎の自信に溢れていたチェンナもさすがに凹んでいる。
「わたくしは……わたくしは……お父様の娘ですのよ……ぐすっ」
チェンナは綺麗な星空を見上げながら、ホームシックになっていた。
そもそもチェンナは王立バルデルセン魔法騎士総合学校へ通うつもりなどなかった。
母の厳しい教育の一環として、甘ったれた根性を叩き直してこいというのが名目だったりする。
父は勿論というべきか、チェンナのことを過保護にこれでもかというほど、甘やかしており、妻の目を盗んでは甘やかし続けていた。
だからチェンナはあの頃の父がしてくれたように、何でも用意されているものだと信じてやまなかった。
だからこそこの状況には納得いかない。
「それもこれも全部、お母様のせいですわ!!」
日頃は怖くて文句も言えない母の陰口を叩く。
「わたくしがあんな質素な生活をするのも、奴隷商に攫われたのも、あんな砂漠を歩かされるのも、ぜーーーーんぶお母様のせいですわあ!!!!」
「そうですねぇ、そうですねぇ、バーチェナお嬢様はお悪くないのにねぇ」
「!」
少し気持ち悪い言い方をしてくる方へ振り向くと、小汚い格好をした中年くらいの男性がチェンナに話しかけていた。
「誰ですの?」
先程まで泣きべそをかいていたとは思えないほど一転、羽虫でも見るような視線と侮蔑を込めた声で尋ねる。
「いやぁ〜わたくし、こちらでバーチェナ様にお世話になったものでして……」
「ふーん。ま、わたくしは貴方のような穢らわしそうな方、知りませんけどね」
「チッ! ガキが……」
「? 何ですの?」
「いえ、何でも」
小汚い男がポツリと何かを口にしたようだが、チェンナには聞こえていなかった。
「それで? このわたくしに何の用ですの?」
「いえいえ、わたくしのような下々の者が貴女様に御用など……。ただ挨拶をしておこうと思いまして……」
「そんなことで話しかけないで下さる? わたくし貴方と違って忙しいんですの!」
チェンナはこう口走っているが、内心、自分のことを知っている人物と遭遇することに心が躍っていたりする。
しかもかなり遜った様子のこの男なら、何か貢いでくれるのではないかと淡い期待を寄せている。
だが、こんな貧相で汚れた服装の男にそんな弱いところをみせるわけにもいかず、高慢な態度を見せる中、切実に願う。
お願いですの……。わたくしが困っていることに気付いて……!
「あっ、そうですか。それは失礼致しました。お時間を取らせたようで、申し訳ない」
そう言って男はその場を後にしようとした。
「あっ……!」
やっと話の通じそうな相手を見つけたのに、あっさりと行ってしまいそうになったので、思わずチェンナは縋るような声を発した。
それに気付いた男は振り向く。
「? どうかされました?」
「あっ、いや……そのですね……」
チェンナの内心はぐるぐるしている。
素直に助けてほしいと懇願することと、自身のプライドが拮抗しているのだ。
元々、感情的な行動の多い考え無しのチェンナだが、明らかに怪しいその男の正体など考える余裕はなかった。
「な、何かあるのではなくて?」
「はあ? 何がでしょう?」
男は焦らすようにわざとらしく尋ねる。
チェンナは口にして欲しい言葉がこないと、むむむっと表情が歪む。
「ほ、ほら! わたくしは貴族ですのよ。平民である貴方なら……ほら」
「……あー! これは失礼致しました。折角ここまで来てくださったチェンナ様におもてなしをしなければなりませんねぇ」
――やったぁ!
チェンナは思わず表情に出るほど内心、喜んでしまったが、厳格な態度を見せようと、瞬時に高圧的な態度に変わる。
「と、当然でしょう? わたくしはバーチェナ家の娘なのですから……」
だが男は意地悪でもするかのように、チェンナを言葉で弄ぶ。
「しかし、わたくしのような穢れ者のところのもてなしなど、天下のバーチェナ様の娘様を歓迎できるかどうか……。いやはやそれこそ失礼に値しますなぁ」
チェンナは焦る。
えっ!? そ、そんなこと言わないでくださいな!? こっちはもう行く当てもないんですのよ!
「ま、まあ本来ならそうかも知れませんが、わ、わたくしも貴族ですもの。下々のもてなしを受け、それを評価することも大切なお仕事ですわ」
自分の足下を見られず、貴族らしい振る舞いができたとドヤ顔。
すると男はそろそろ乗ってやるかと、チェンナの意見によいしょする。
「なるほど! さすがでございます! わたくしのような者の歓迎でも受けて下さるとは……。ささっ、ご案内させて下さい」
「しょ、しょうがないですわね」
チェンナはその怪しい男にあっさりとついていくことになった――。
――チェンナはその男の案内の元、ビストアンカから外の砂漠に出て、祠のような岩場の中へと入っていく。
「こ、ここは何ですの? 貴方、穴蔵にでも住んでるんですの?」
いくら寝床や食事に困っていたとはいえ、こんな地下に連れていかれるとは思ってなかったチェンナは、相変わらずの文句を垂れ流す。
「すみませんねぇ〜。でもほら、こういう場所の方が安全ですから……」
意味深な言い方をする男だが、チェンナは魔物のことだろうと思い、特に疑うことなく着いて行き、鉄製の硬そうな扉の前まで来た。
「それではチェンナお嬢様、我々の歓迎を受けて下さいませ」
「ええ」
チェンナは、ふふんと高貴な育ちだぞといばるような態度で男の案内の元、扉が開く。
すると、
「えっ……?」
そこにはガラの悪そうな男達が沢山いた。
「おい、何だよ。そのガキ」
「おっ? 女じゃねえか」
「バーカ! あんなガキがいいのか?」
とても自分を歓迎してくれるような雰囲気ではないと、さすがのチェンナも気付いた。
「こ、これはどういう――」
チェンナはドンッと突き飛ばされた。
「きゃあ!? な、何します……の?」
さっきまで遜っていた男が激怒した表情でチェンナを見下す。
「誰が穢れ者だってぇ!! このメスガキがぁ!!」
「――ごほっ!?」
その男は倒れ込んで、無防備となったチェンナのお腹を思いっきり蹴った。
「がほっ! ごほっ!? げほ、げほ……」
チェンナは何が起きているのかわからずにのたうち回りながら混乱している。
「何だよ、お前。このガキに馬鹿にされたのか?」
「汚ねえのは本当だろうが」
「やかましい!! 自分で言う分にはいいが、他人に言われたらムカつくだろ!? 特にこんな馬鹿みたいな世間知らずに言われたら、なっ!」
「がはっ!?」
男は鬱憤を晴らすようにチェンナを蹴り続け、チェンナは瞬時に背中を丸めて身を守る。
ガスガス蹴られるチェンナは必死に身を守る中、周りの荒くれ者達は見世物でも見るかのように笑っている。
何故誰も助けてくれないんですの! わたくしがこんなに一方的に痛めつけられているのに……! わたくしが何か悪いことでもしました?
「おやおや、騒々しいですね。どうかされましたか? 皆さん」
すると奥の方から騒がしいなと様子を見に来た男の姿が見えた。
その男は喋り方が紳士的で、見た目はこの国でたまに見かける色白の男性だった。
この中では一番若い。
「おっ? 旦那。こいつが何かガキを連れてきましてね」
「ほー……」
旦那と呼ばれて慕われるあたり、リーダーだと認識できたチェンナは、デジャヴを感じていた。
あの奴隷商の時に感じた、嫌な感覚。
すると連れて来た男が、チェンナを侮辱するように連れて来た経緯を話す。
「いやですね、旦那。このメスガキ、自分の名前と身分をそりゃあデケェ声で叫んでましてね。てっきり攫って欲しいのだと思って、下手に出ながら話しかけてみれば、ほいほいついてくる阿保だったんですよ。いやぁー、そんなに攫って欲しかっただなんて思いませんでしたよぉ〜」
「……! さ、攫っ……! わ、わたくしを騙して……」
「騙すぅ? アッハハハハッ!! 馬鹿じゃねえのか? 自分でも言うのも難だが、こんか怪しい男にほいほいついていくお前のオツムが悪いんだろがあ!」
違いないと他の荒くれ者達も馬鹿にするように、豪快に笑い飛ばした。
自分が今まで馬鹿にしてきた人種に馬鹿にされて、チェンナは一気に惨め気持ちになっていく。
そして、蹴られる度にまるで走馬灯のように、一緒に捕らえられていた貴族嬢やエメローラの言葉、グエルの文句まで思い返してくる。
自分は役立たずのお荷物であると。
自分はただの厄介者だったと。
自分は周りのことなど気遣えない、ただの子供だったのだと。
「ううっ……ぐすっ……」
涙が止まらなかった。
こんなにも無力だと思い知らされたのは、初めてだった。
身をもって痛感するとはまさにこのことだった。
「まあまあ、そんな意地悪をしてやるなよ。こんな育ちの良さそうなお嬢さん、きっとパパやママに可愛い可愛いと煽てられて育ったに違いない」
「ははっ! 違えねえ!」
だっははははっ!! とリーダーと思われる人物の一言に皆が嘲笑した。
するとそのリーダーの男が蹴るのをやめるよう、促すと、チェンナの顔を見ながらニッコリ笑ってこう話す。
「でも安心してほしい。そんな世間知らずの君が二度とこんな目に遭わないように『教育』してあげるよ。おじさん、優しいからね」
チェンナより年上ということもあり、おじさんと自称するこの男が何をするつもりなのか、チェンナは声も出せず、震えるしかなかった。
だがそんな酷く怯えるチェンナを諭すように、優しい紳士的な口調で話は続く。
「ああっ! ごめんよ。そんな顔をしないでおくれ。僕はただ、君の将来が心配なだけさぁ。知らないおじさんにひょいひょいついていく君が……。危なっかしくて見ていられない」
だが周りの荒くれ者達は、その言葉の真意をわかっているのか、ニタニタと嘲笑をやめない。
「きょ、教育って何を……?」
「ん? ああ、そんなに難しいことじゃないし、そもそも君は何もしなくていい。知らないおじさんについていくとこうなりますよって――身をもって知ってもらうだけさ」
「へ?」
そう言って紳士口調の男は手を上げて合図をすると、周りの男達が群がってくる。
そして――、
ビリィッ!!
「……ひっ!?」
ひとりの男が無造作にチェンナの服を力任せに破いた。
「――いやぁああああーーっ!? 何!? 何をなさいますの!?」
すると紳士口調の男は、チェンナが襲われているところを眺めるようで、少し離れた椅子に腰掛けた。
「言ったじゃないか。知らない悪ーいおじさんに捕まるとどうなるのか教えるって。口で説明するより、実際に体験した方がしっかり学べるからねぇ。いや、さすがは僕! 親切だなぁ」
「ふ、ふざけんじゃありませ――」
チェンナの頬をガシッと掴まれ、喋れなくされた。
「黙りな、メスガキ。旦那はわざわざてめぇみたいな馬鹿にでもわかるよう、教育してやろうってんだ。感謝して教育されな」
「へっ、へへへ……可愛がってやるぜぇ」
「……!!」
必死に抵抗するも、男の力にチェンナが勝てるはずもなく、そもそも魔法などもほぼ使えないチェンナに抵抗する術はない。
「――んんっ!! んんっ!?」
ビリビリと引き裂かれていく衣服。
無知なチェンナにとって、これから何をされるかわからないが、酷い目に遭うことだけは簡単にわかる状況だった。
血走った目で襲ってくる男達は、臆病なチェンナにとっては酷く恐ろしい光景だった。
だがそんなチェンナの心境とは裏腹に、紳士口調の男はわざと的外れなことを口にする。
「そんなに抵抗してどうしたんだい? ……ああっ! もしかして受講料の心配をしているのかい? そのあたりは心配しなくていい。おじさんは親切だからね。いくら貴族の君でも子供から金品を強請るようなことはしないさ」
そう話す紳士口調の男をチェンナはちらりと見えた。
「……!」
愉悦を交えた不敵な笑みを浮かべていた。
チェンナは自分がこんな状況になっていることを、あの紳士口調の男は楽しんでいるのだと自覚した。
「まあ強いていうなら、受講料は君の身体で支払ってもらうから大丈夫だよ。お互いにフェアな取引だろう? 君はこれから彼らに襲われることでどうなるのかを学び、彼らは女の身体を貪れる……。うん! これ以上、理にかなった教育方法もないだろう」
「わ、わたくしはっ!! こんな――」
「黙れって言ってんだろうが! メスガキがあっ!」
「――ぶはっ!?」
チェンナの一切の抵抗も主張も認められず、一方的に言われたい放題である。
「ま、こんなに沢山先生がいるんだ、せいぜいしっかり学んでおくれ。みんなもしっかりと彼女が理解できるまで……可愛がってあげるんだぞ」
「「「「「はいよ!!」」」」」
「――むうーっ!!!!」
男達はガハハハハと笑い、チェンナはその男達に埋もれていく。
そんな中、ひとりの男が紳士口調の男に近寄る。
「ははは。旦那も相変わらずお人が悪いねえ」
「……そうじゃなきゃ、強盗団なんてやらないだろ?」
「違いない。本当に旦那には助かってますよ。旦那が頭になってから、もうやりたい放題ですからね。でも旦那……」
「ん?」
「たまに、ああやって引っ掛けてくる女、旦那は手ぇ出しませんけどいいんです?」
「ハッ! あんなしょんべん臭そうなガキに興味ないね。無理矢理犯すなら、もっと賢そうな奴の方がやりがいがある」
紳士口調の男は本性を晒しながら、仲間と語る。
「それにあんな馬鹿女が思い知らされる様を上座から眺める方が唆られるね」
チェンナみたいなガキでも楽しみ方はあると不敵に笑い、それを話しかけていた男も笑いながら、
「ははっ! 確かに! 同意見です」
同意した。
そのチェンナはこれがアーディルの言っていた、男の慰め者になるのだと知った。
乱暴な振る舞いで無作為に身体を触られ、服を脱がされ、下半身を丸出しにする男性が数人、目の前にいる状況。
もうチェンナの脳内は追いついておらず、その視界の情報の処理が間に合っていない。
そんな中で抵抗できない彼女が思うことは後悔と救助を求めることだけだった。
みんなが言ってたことは本当だったんですのね。わたくしは何もできず、ただ力に屈するだけ。奴隷商の飛空艇だって、ただただ怖かっただけで、助けに来てくれたケルベルト様に甘えたかっただけでしたの……。
チェンナは少しずつ抵抗力する気力を失っていく。
助けて欲しいですけど、みんな今頃はきっとわたくしがいなくなって、せいせいしていますわ。きっと探してなんていない。さっきも追いかけてくれなかったし……。
「あん? 静かになったなあ!!」
チェンナは完全に上半身を剥かれた。
「――!? い、いやぁっ!! 助けてぇ!! 誰かっ! 誰でも構いませんわ!! 助けてぇ!!」
押さえられていた口元が開いた瞬間、せめてもの抵抗に叫ぶが、その叫びが届いてくれそうな人物の影はない。
「バーカ。こんか地下で叫んだって誰も来ねえよ」
「ひひ。楽しくなってきたなぁ」
チェンナが抵抗すればするほどに、男達は気分が上がると喜ぶ一方で、紳士口調の男も愉悦に浸った視線を向ける。
もう……ダメですわ!
そう思った時、
――バンッ!!
「「「「「!?」」」」」
強く扉が開いた。
チェンナはその扉から入ってきた人物に、感謝の気持ちで満たされていく。
「お邪魔しますよーっと……」
その人物は固まってこちらを見る荒くれ者達の中に埋もれるチェンナを見て、
「えっと、無事……だよな?」
間に合わなかったかと、ちょっと申し訳なさそうに眉を顰めている。
だがチェンナはいつも平民と罵っていた彼の名を縋るように呟いた。
「フェ、フェルト・リーウェン……!!」




