05 王立バルデルセン魔法騎士総合学校1
「おー……いよいよか」
「いよいよだな! フェルト!」
学園区内は、制服を来た生徒達で賑わっていた。
フェルト達がまだ休校中の頃にいた時より断然、人の入り方が違っている。
同じ年代の学生達を次々と横目にする中で、育ちの違いを見せつけられるケースも見受けられた。
馬車の中から出てくる生徒や所作が明らかに貴族のご出身のような振る舞いの生徒、更にはまるで自分が偉い人間なんだぞと取り巻きを従えながら、女の子を物色するシュバートみたいな坊ちゃんまでいた。
だが頭ひとつ抜けて目立っていたのがいた。
「ご機嫌よう! 僕の蝶々達……」
「「「「「きゃああああっ!! ケルベルト様ぁ!!」」」」」
とんでもない黄色い悲鳴が聞こえる。
「……なんじゃありゃ」
複数の女生徒に囲まれながら、熱い視線を向けられる男性は、振る舞いや聞こえてくる口調だけでも貴族とわかった。
容姿も女生徒を虜にするだけはあるようで、サラッとした金髪に整った甘いマスクと微笑みに、身長も高い。
王子様系イケメンってところか。
フェルトとはジャンルが違う。
フェルトも一応、イミエルからイケメン補正をもらっているため、そこそこの男よりは顔が整っている。
少なくとも前世よりはイケメンだ。
それでもあっちの方が目立つ印象はある。
「ああ、彼はヘイヴン・ケルベルト。王宮からも信頼を持つ家柄の人間さ」
「へえー……。あんな胡散臭そうなのがねえ」
「う、胡散臭そうって……」
ヘイヴンの言っていることといえば、
「ベネディクト嬢。今日も一段とお綺麗だ。明日はどんな輝きを見せてくれるんだい?」
「そ、そんな……」
「ナルヴィア嬢、この間はハンカチをありがとう。これを見つめるたびに、あの日の君の優しさが甦ってくるよ」
そう言って、その貴族嬢にハンカチを手渡すと、その貴族嬢は赤面しながら、言葉を失ったようで俯いてしまった。
すると、ヘイヴンは彼女を顎クイ。
「ダメだよ、僕の蝶々ちゃん。君の可憐な表情を僕はずっと見ていたいんだ」
「あ、ああ……っ!」
その貴族嬢は耳まで真っ赤になったかと思うと、そのまま消沈。
「おっと」
倒れそうになる彼女を受け止めると、
「やれやれ。困った蝶々ちゃんだ」
「「「「「――きゃああああああっ!!」」」」」
彼女をお姫様抱っこをし、そのまま貴族嬢ギャラリーと共に学校内へ入っていく。
「……あんなキザな態度を取りながら、歯の浮いた言動を吐き捨てる奴が胡散臭いと思うのは、普通じゃないか?」
「「た、確かに……」」
「そうかい? 君も似たようなものだと思ったけどね」
「んなわけねえだろ。俺は……って!」
一緒に登校した連中とは違う声がすると振り返ると、
「やあ」
ニコニコと笑顔のクレアがそこにいた。
「なんだ、お前か」
「おやおや。可愛い女の子が挨拶してるってのに、つれないね」
「そういうこと言うって何となくわかるから、薄い反応になるんだよ」
だが自然と心地良い距離感のようには感じる。
気兼ねしないクレアの態度がそう思わせてくれるのだろう。
するとふたりがわなわなと震えている。
「どした?」
「か、彼女がいたのか?」
「違う」
フェルト達の態度を側から見れば、そう映るのかもしれないが、出会って全然の関係なので、それはお互いに対して失礼だ。
「いや、お前馬鹿か! この人はアレクベート家のお嬢さんだ!」
「なんだよ、グエル。知ってんのか?」
「当たり前だ。辺境の地で領主をやっておられるアレクベート家だが、王族との深い親交がある方だったはずだ」
グエルの情報はどこか抽象的だが、平民ということを考慮すれば、妥当ではないだろうか。
所詮、情報としては知らされる程度のものだろう。
「ボクら貴族が王族と関係あるのは当然だろ?」
「あ……」
まったくの正論を突かれた。
確かに貴族は王族から功績を認められて、爵位を与えられた歴史がある家柄。
関係ない方が不自然だろう。
「まあそう言うなよ。こちとら下々並みの情報で頑張ってんだからさ」
「おや、ごめんなさい」
知ったかぶりになっていたグエルは赤面して固まってしまった。
代弁するならば、今すぐ消えたいと言うところか。
「でもまあ、深い関係ってのは本当だよ。別の意味でね」
「別の……?」
その意味を尋ねようとした時――、
「ああっ!! 貴様ぁ!」
何だか聞いたことのある馬鹿な声が聞こえた。
呆れた様相で振り返ると案の定、馬鹿面三人がそこに並んでいた。
「おや? どちら様で?」
「どちら様だとぉ? 田舎貴族の娘の分際で、よくもこの俺の誘いを断ったなぁ」
相変わらず上から目線の態度のシュバート。
取り巻きもニヤニヤしながら、偉そぶっている。
こういう奴らに成長は無い。
「それはごめんね。だけど以前も言ったけど、君はお呼びじゃないんだよ」
「お前……少し可愛いからって調子に――」
「ちょ、調子に乗っているのは、き、貴様らだろ」
「ああん?」
ここで出しゃばってきたのは、まさかのグエルだった。
「グエル?」
「何だよ、お前。俺の言うことにケチつけるつもりか?」
「あ、当たり前だ! 彼女の意思をそ、尊重することなく――」
「ほお……。お前、平民だろ? 貴族である俺に逆らったらどうなるか、わかってんだろうなぁ!」
シュバートがちょっと脅かしてみると、
「ひい!?」
ビビるなら出しゃばらなきゃいいのにと言いたい反応。
簡単に化けの皮が剥がれてしまった。
ほぼ見えてはいたが。
しかし、それを代弁するように、考え無しが突っ込む。
「グエルの言う通りだ! 貴族だからってなんでも好きにしていいもんじゃねえ!」
ユーザの方がよっぽど勇ましかった。
「何だとぉ! 平民風情が生意気な!」
「平民だから何だ? 貴族って言っても偉いのは親だろうが!」
ユーザはたまに的確な角度で急所を突いてくる。
中々の正論パンチ。
しかし頭に血が上っているせいなのか、それとも親の力は自分の力だと勘違いしきっているのか、
「はっ! 人間ってのは生まれてから既に価値が決まっているのさ! 俺はその親の元に生まれたこと、それだけで上位の存在なんだよ! しかも男として生まれたんだ、女をはべらかして何が悪い」
これは呆れて物も言えない。
ここまでのクズだといっそ清々しい。
クレアは勿論だが、どんな女であってもシュバートの物になりたいとは望まないだろう。
「悪いに決まってんだろ! 良識ってのが無いのか!」
ユーザは正論をバンバンぶつけるが、クズの盾はそれをひょいひょいと受け流していく。
「もうやめとけ、ユーザ」
「フェルト! お前はコイツらが正しいと思ってんのかよ?」
コイツらと指差されて、イラっとした表情を見せるシュバートを無視し、フェルトはこの場を収めるために説得する。
「いや、お前の言ってることは正しい。だけどな、甘えたい盛りの赤ちゃんが、大人の言うことを聞くと思ってんのか?」
「「「なっ!?」」」
「あ、赤ちゃん?」
「ああ。だって、自分の都合の良い立場しか理解できていない、都合の悪いことは今みたいに駄々をこねて力づく。挙句、自分は強いんだぞと誇示するように取り巻きまでつけてる臆病な赤ちゃんだぞ? 良い子いい子してやらなきゃ、可哀想だろ?」
フェルトの発言にクレアは、ははっと笑い、グエルはハラハラしており、ユーザはポカーン。
そして、その当人は――、
「貴様ぁ!! この俺を侮辱するのか!!」
「はあ? 何言ってるんでちゅか? バブちゃんのその横柄な態度を見ての判断でちゅよー。でも俺達は大人でちゅから、偉ーいお貴族ちゃまのバブちゃんの言うこと、できる範囲で聞いてあげまちゅから、良い子にしてまちょーね」
「き、貴様ぁ……」
すると更にユーザが追い討ち。
「でも言われてみればそうか。コイツは自分の立場を玩具みたいに振り回してるだけか! なるほど! 確かに赤ちゃんだな!」
するとシュバートから、ぶちっと何かが切れる音がした。
「お前らぁ!! パパに言いつけてやるからなぁ!!」
「「「「…………」」」」
ここまで言われても、パパに甘えることしかできないことに、完全にフェルト達の中でシュバートの格付けが済んだ瞬間だった。
せめて殴りかかってくるくらいの気概があれば、多少は度胸くらいあるのかなと考えもするのだが、取り巻きもそうだが、他力本願なその考えは軽蔑せざるを得ない。
「はあ……というか、お貴族様だと言い張りたいなら、むしろ下々の俺達のご意見にお耳を貸すのがお役目ではありませんかな?」
「誰がお前達みたいな無礼者の意見なんか聞くか!」
「無礼はお前だろ? 彼女のことなんか、何ひとつ考えなかったくせに……」
まったくのド正論。
そしてその当人もこう語る。
「彼らの言う通りさ。君みたいな子供の相手をするほどボクは暇じゃないし、彼らの方が君よりよっぽど利口だよ。こっちの方が男の子としてとっても魅力的だね」
そう言って、フェルトの腕を組んできた。
「おい。そんなことしたら、余計な火種が生まれるからやめろ」
「ええ〜? そんなつれないことを言わないでおくれよ」
ここまでプライドを汚され、正論を投げかけられれば、この場を立ち去ってくれるだろうと踏んでいたフェルトだったが、
「そんな平民に媚びを売る売女だったとは知らなかったよ。言いふらしてやるからな!」
「……!」
どうやらどこまでも性根が腐っているようで、思い通りにならなければ、めちゃくちゃにすると、正に赤ちゃんそのものだった。
だがさすがにそれを風潮されては、クレアの沽券に関わる問題だ。
さすがに悪ふざけで止められないと思い、本気で説教をしようとした時、
「随分と賑やかですね」
「「「「「!」」」」」
フェルト達は声のする方へ振り向くが、シュバートだけは邪魔すんなと怒りながら振り向く。
「この俺にまだ楯突く奴がいるのか!? ……っ!?」
そこにいたのは、ニッコリと微笑んだひとりの美少女だった。
両隣には護衛だろうか、ピシッとした姿勢で立つ男女がいる。
「ひ、姫殿下ぁ!?」
フェルトは姫殿下のご尊顔を拝むのは初めてだった。
その肩書きに恥じない容姿であり、シュバートとは格が違う品位を感じた。
するとそんな金髪美少女にクレアは割と軽いノリで、
「やあ、ローラ。久しぶりだね」
「ええ、お久しぶりですね、クレア。お会いしたかったですよ」
「は?」
フェルトを含めた一同が全員固まった。
「いや、あの……」
「ああ、ごめんごめん。ボクと姫様はちょっと訳あってね。友人の仲なのさ」
「驚かせてしまいましたか? 申し訳ありません」
そりゃあ驚くともと、眉がヒクヒクと動いた。
もしかするとクレアって田舎を統治してる領主ってだけで、爵位は高い家系なんじゃないか?
「それよりどうしたんだい、ローラ? 直接学校へ向かわなかったのかい?」
「そのつもりでしたが、何やら貴女を含め、揉めておられるようでしたし、様子を見に来たのです」
確かに向かうでは明らかに王族使用と言わんばかりの馬車が止まっており、側には執事のような老紳士が軽くお辞儀をして挨拶している。
馬車を運転していたのだろう。
「それで? これは何事です?」
そう言われてフェルト達は、視線をシュバートに向けた。
「な、何でもございませんよ。わ、わたくしめはこれから共に過ごす学友と友好を深めていただけでございます」
心にも無いことを言うと、小物感満載のシュバートに呆れ果てる中、それは違うと脊髄反射を起こすユーザ。
「聞いて下さい、姫殿下! コイ――」
フェルトはスッとユーザに黙るよう、自分の口元に人差し指を置いた。
それに気付いたユーザは、狙いどおり止まってくれた。
さすがに姫殿下の前で貴族をコイツ呼ばわりさせるわけにはいかない。
姫殿下の両隣にいるのも、歳も近く、キリッとした容姿から貴族と見える。
あまり平民がズカズカと物申すところを見せるのはマズイ。
「姫殿下。僭越ながらわたくしめが発言してもよろしいですか?」
フェルトはそう畏まって語ると、少し不機嫌そうにむくれる。
「この学園内では極力身分などは気になさらぬようとされています。入学の案内書に書かれていませんでしたか?」
そう言われてみると、そんなことが書かれていたことを覚えている。
より良い才能を磨くため、身分の差などは極力考慮しないこととする――みたいなことが書かれていた気がするが、守れてないのが目の前にいる。
おそらく極力というのは、有事の際に貴族が率先して国や民を守るための行動を取れということが含まれているのだろう。
貴族とは、そもそも国とその国に住まう民を守るために与えられた地位のはずだからな。
「それは申し訳ありません。たかだか平民が王族であらせられる姫殿下に発言してよいものかと……」
「……貴方はそんな性格ではないと聞いてますよ? 違和感があります」
俺のことを知っている?
フェルトはそんな疑問を持ったが、見たところ制服を着ているようなので、おそらく学校に通う際に危険人物がいないか、軽く調査されたのだろうと思った。
とはいえ性格まで把握しているというのは、どこか引っかかったが、それは今考えることではないと、この場を完全なかたちで収められるよう、言葉を尽くす。
「それは申し訳ありませんでした。なら、いつもの感じで喋りますが……」
男の護衛の方がギロっと睨んできたが、姫殿下が許可したので、少し苦笑いしながら話を続ける。
「シュバート様のおっしゃる通り、友好を深めていただけでございますよ」
フェルトのその発言にグエルとユーザは、何を言ってるんだと驚いているが、
「俺達に対しては立場を。姫殿下のご友人に対しては女の在り方を説いてくださいました」
「!?」
雲行きが怪しくなってきたと、シュバートの取り巻き達は逃げ出そうとするが、
「貴様ら、待て」
「ひっ!?」
その睨んできた護衛が一喝して止めた。
そして姫殿下は先程よりニコニコと笑顔でいるが、
「続けて」
正直、表情は笑顔だが笑ってないなと思うほど、何か背後からオーラを感じる。
「はい。平民は貴族である自分の言うことを聞くのが当たり前。女であり、辺境の貴族嬢であるアレクベート様は貴族の男児である自分に尽くすのが当たり前と、それはそれは素晴らしい考えを説いて下さいました。ね?」
フェルトは煽るようにわざとらしく説明し、シュバートに同意を求めた。
「な、ななな、何を言ってるんだ! き、きさ――」
「ほぉう。それは随分と愉快で図々しい説いですね」
笑顔で怒る人って、何でこんなにも怖いんだろうか。
背筋がゾッとする。
シュバートのこの反応から、マズイ発言だとわかっているなら、言わなきゃいいのにと呆れてため息を吐いた。
「貴方の考えであれば、わたくしも貴方の慰めものになるのが当然なのですか?」
「そ、そんなことは……」
確かにシュバートの発言からすれば、女性である姫殿下も慰めものになって当然みたいなことになる。
だがシュバートを見るに、身分差を考慮しているのか、たじたじの反応。
相手は姫殿下、この国のトップ。
当然の反応だった。
「貴方は貴族がどういうものかどころの問題ではありませんね。女性に対する扱いもあまりに稚拙です。どのような教育を受けたか存じませんが、そんな身勝手な考えがあるわけないでしょう!」
「ひいっ!!」
「ご自分の立場をしっかり考えてから、出直してきなさい!」
「「「し、失礼しましたぁーっ!!」」」
シュバートとその御一行様は、脱兎の如く逃げ去った。
もし、逃げ足が階級に関係あるのなら、確かに彼らは高い地位を獲得できるだろうと、感心を覚えるほどだ。
「ふう。これで少しは反省しただろ」
ユーザのその発言に、
「しねーだろ」
「しないね」
「しないだろうな」
「しませんね」
「――ええええっ!?」
護衛以外のフェルト達が反省なんかしないと言い切った。
「何で!? 姫様があんな啖呵切ってくれたんだぞ?」
「それで言うこと聞くなら、そもそもあんな馬鹿が湧くことねーよ。……おっと」
思わずシュバートを馬鹿と呼んでしまい、口を塞ぐが、姫殿下は、
「構いませんよ。事実ですから」
と苦笑い。
「ああいう輩は、いくらでもいるのです。貴族という位に胡座をかき、本当に成さねばならぬこと、どのような振る舞いをせねばならぬこと、まったく理解しようとは思わないのです……」
「そりゃ人間、楽な方が好きだからな。貴族っていう待遇はそれを叶えるのにも適してる。家柄だけ利用しようって魂胆な奴は多いだろ」
勿論、その歴史を築き上げてきた家柄をリスペクトし、それに恥じぬ生き方をしようと考える、真っ当な奴もいるだろうが、みんながそんな考えになるはずもない。
現にシュバートみたいな奴みたいなわがままに育った背景には、親の育て方が根底にあるだろう。
甘やかして育てたか、自分は特別な家系だと暗示のように言われ続けたか、どちらにしても目に映るようだ。
「そうならぬよう、この学園は対等に教育できるよう、働きかけているのですが、どうにも……」
平民との育ちの違いの差はどうしても出るだろう。
そもそも平民と貴族の教育課程が違い過ぎる。
そのあたりは考慮されているのだろうが、学ぶ側の意識が望んだとおりになるとは限らない。
「ま、そのへんは難しい問題だろうぜ。俺達、平民は貴族みたいに英才教育を受けてるわけじゃねえからな」
「ええ」
難しい話はそこそこにとクレアが話題を変える。
「しかし君はそんな英才教育を受けてない割には、口上手だよね?」
「あん?」
「そうですね。どうすれば彼を追い詰めることができるか、実に面白い発想でした」
「いや、俺は事実を述べただけだぞ」
シュバートを赤ちゃん扱いしてプライドを傷つけ、冷静な判断ができないようにしたことは認めるが、結果としては良くない方向へいきそうだったし、正直に話したことに関しては、姫殿下がいるという状況だったからで、大したことはしてない。
「それでもです。わたくしの友人を助けてくださり、感謝致します」
「そうだね。また助けられちゃったね。君達も」
そう言われたユーザとグエルはハッとなったと思うと、少し照れた顔をした。
「い、いやぁ〜」
「……」
だがグエルは情け無いとも言いたそうな表情だった。
食いかかった割には、あっさり食い下がってしまったことが負い目になっている。
「それで、クレアは姫殿下のご友人なのかよ? 初めて聞いたぜ」
そうわかっているなら、もう少し畏まるべきだったかと思うが、本人はフランクに話して欲しいと前回言っていたので、口調は変えなかった。
「うん。今言ったし」
「おい(怒)」
「まあまあ、そんな怒らないでよ。言ったら畏まったろ?」
そこに関しては否定しない。
「ボク自身、本来ならローラとは対等でもない身分なんだけど、とある理由があって交流があったのさ」
貴族同士、ましてや王族との交流となると交易とか軍務とか、とりあえず国を動かす事業にでも関わっているのだろうかと考えた。
だが深くは問うまいと、
「ふーん。そっか」
話を切った。
知ったところで、平民であるフェルト達には関係ない話だ。
すると先程から睨みをきかせていた男子の護衛が姫殿下に耳打ち。
「姫殿下。そろそろお時間です」
「ああっ! そうでしたね。皆さんも学校でしょう?」
「「「あっ!?」」」
気が付けば周りを登校する人が疎らになっていた。
「やべっ! 急ぐぞ!」
「おおー」
何故かお貴族のお嬢様方は楽しそうに、フェルト達と学校へと駆け出していった。




