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大罪の神器  作者: Teko
王都編 双子の聖女
112/177

51 聖女祭後日談 2

 

 ――あの聖女杯の事件から数日、王都バルデルセンでは色々な動きがあった。


 先ず、聖都に関してはフェルトや自白したダミエル含めた聖堂騎士の証言通り、『傲慢の左足』による多重洗脳が行われており、聖堂騎士のみに従う肉奴隷にさせられており、第一王子であるエドワードもその体で見つかった。


 しかし、意外だったのは国民からも多少の避難はあったものの、意外と同情の念の方が強かったこと。

 第一王子であるエドワードが被害に遭ったこともあるが、一番はやはり闘技場での出来事が広く広まっていたことに他ならなかった。


 ラフィがフェルトを除く、闘技場全員を『傲慢の左足』で黙らせたことが同情を買っている要因だったようだ。


 さすがに神の力に抗うのは難しいなどの声だ。


 そしてその聖堂騎士も国家反逆罪にあたるわけだが、その責任のほとんどがアスベルとラフィであるということは明白であり、他の聖堂騎士はあくまでラフィのご機嫌取りのために雇われた者達であった。

 とはいえ、『傲慢の左足』による豪遊をしていたことを審議すると然るべき罰は受けるべきだろうと意見は飛んだが、世間の責任問題から、それらの罰をダミエルが受けると本人が名乗り、処刑を受けるかたちで聖堂騎士での事件の責任にとりあえずの区切りがついた。

 他の者達はしばらくの禁固刑というかたちとなった。


 そしてその事件を解明し、聖堂騎士アスベルと偽聖女ラフィを追い詰めた英雄として、フェルトは世間からより強い注目を受けることとなった。


 学校に戻ったフェルトが待っていたのは、もう以前の貴族がどうとかというしがらみなど関係なく、学校のスーパースター的な存在。

 フェルトに近寄ってくるのは特に女子が多く、うんざりしながらも適当に跳ね除ける毎日。

 時折、クレアが不機嫌そうにしているのが横目に確認できたりもしている。


 ちなみに片目の義眼についてはもう隠し切れるはずもなく、神眼というかたちで公表されている。

 とはいえ、『大罪の神器』であることは秘匿されたままである。


 そして疑惑の晴れた聖女ネフィは――。


 ***


 とある朝、またギルヴァートがむすっとした顔で訪ねてきた。


「またッスか、先生。今度はどなたです?」


 フェルトはデジャヴを感じてそう語ると、ギルヴァートもため息が止まらなかった。


「それはこっちのセリフだ。いや、お前の活躍を考えるとこのお方がお前のところに来たがるのは、まあ予想がつくことだが……」


 フェルトもそろそろかなと思っていた人物。


 どうぞと手仕草を取り、誘導するギルヴァートの案内を受けて現れたのは、


「元気にしてたかい? 聖女様」


「聖女などと呼ばずとも結構ですよ。リーウェン様」


「は? 何でだよ。アンタは敬称なのに……」


 奴隷だった時とは当然であるが、全く違う印象のネフィがそこにいた。

 ラフィが儀式という演出をやっていた際に来ていた正装だ。


 様子こそ、事件から数日ということもあり、大分落ち着いた穏やかな表情を向けている。


 アルス達は突然の聖女訪問に慌てふためく中、ギルヴァートが目的はあくまでフェルトということもあり、談話室から他の生徒を追い出した。


「では聖女様。玄関にてお待ちしておりますので」


「ありがとうございます」


 ギルヴァートは大丈夫だろうとはいえ、案内人としての役割を全うするようだ。


「フェルト・リーウェン。聖女様に失礼の無いようにな」


「へーい」


 フェルトの釘を刺して、ギルヴァートも出て行き、早速とネフィから話を切り出す。


「リーウェン様。改めてわたくしを救って頂き、ありがとうございます」


「わざわざ言いに来なくても俺は気にしなかったがな。律儀なことだ」


「いえ! 俺達が頼んだことです。こうしてネフィ様が聖女として、そして疑惑が晴れたのは全て貴方のお陰です」


「礼を言いに来るのは当然です!」


 お付きのライクとゴルドも改めて感謝したいと、熱心に伝えてくる。


「そうかい。ま、マイケルとジョージ呼びが出来なくなるのが残念かな」


 冗談混じりにそんなことを言うと、お互いに和やかに笑う。


「今回、お礼を言いに来たのは、しばらくはお会いすることもないと思ってのこと」


「……ああ。聖女の巡礼が再開するんだろ? 陛下から聞いたよ」


「そうでしたか。しかし、事情聴取の際にですか? 陛下自ら?」


「いや……」


 最近、呼び出しを受けたフェルトは凄く気まずそうに顔を背けた。

 その内容を思うと、フェルトは自分の振る舞いが雑になっていたと反省するばかりだった。


 ネフィは触れてはいけないことだとわかると、話題を戻してくれた。


「……聖女の巡礼を行わなければ、またモンスター・ディザスターのような災害が発生してしまいます。地脈の魔力を安定させなければ……」


 あんなことがあったばかりだというのにと、少し仕方ない奴だとほくそ笑む。


「護衛はあんた達だけじゃないんだろ?」


「はい。例の件で聖堂騎士達は実質的な解体となり、聖女様は王宮の方の管轄となり、俺達を含めた選りすぐりの王宮騎士と魔術師達が共に巡礼することとなりました」


 ダミエルは処刑され、他のラフィのご機嫌取りの聖堂騎士も牢の中だ。

 しかも、カルバドス家以外の聖堂騎士家系もアスベルによって【絶対服従】を受けている。


 王宮側が管理するかたちというのはもはや仕方ないことだった。


「そっか。話には聞いていたが、ある程度、これからの方針も決まってんだな」


「はい。ですがとりあえずは巡礼を行わなければなりません」


 ネフィはこれから陥落した聖都をオルディバル達の協力の下、復興させていくとなると、大変なことだ。


 だが正直、忙しい方が良いのかもしれないと過った。


「……俺が言うのもアレだが、心の整理はついたのか?」


 その質問にある程度察してか、ネフィは寂しそうに俯く。


「……忙しさも相まってというところでしょうか。それに皆様はわたくしの境遇に同意してくださる方が多く、幸いというべきか、皆、優しくしていただいております」


「ま、そりゃそうなるだろ。今まで聖女ネフィ様に失礼してきたんだ、ご機嫌損ねるわけにゃあ、いかねえだろ」


「あ、あはは……」


 フェルトは今までの扱いを考え、皮肉混じりにそう語ると、冗談だよと前置きすると、ネフィの心境を汲み取る。


「むしろそう扱われるのがちょっと、か?」


「……そうかもしれませんね。ラフィの言っていたことが少しわかります。やはりわたくし達は『聖女』なんです」


「だろうな。そこのふたりですら、どちらかと言えば聖女扱い寄りだろ?」


 ライクとゴルドはギクリと反応する。


「た、確かに敬意の念などの方が強いとは思いますが……」


「そ、それでも俺達はネフィ様のことを想っておりますよ!」


「フフ。わかっていますよ。ありがとうございます」


 フェルトの意地悪な発言に、ネフィも少し微笑みながら信頼していると答えた。


「……わかっております。聖女として生まれたからには、聖女の役割を果たさねばならないことくらい……。ですがラフィはそれに耐えきれなかった」


「周りから聖女という役割を背負わされながらも、その価値しか無いくせに、アンタと比べられて、価値が無いと周りから見捨てられ、聖女という肩書きだけが残り、それはアイツにとって呪詛のようになった」


「ええ。ラフィにとって聖女という言葉、立場は、自身の劣等感を強め、自身の存在すらわからなくなっていった……。そして周りを傷付けることにも躊躇が無くなった結果……」


「今回の事件が起きたわけだ」


 こうやって改めて考え直してみると、ラフィは被害者だったように思う。


「ラフィや唆したアスベルが全体的に悪いのはわかるが、やはり大元の原因となったのは、周りからの圧力だろうな」


「わたくしはその方々を責める資格はありません。わたくしもラフィを追い込んだひとりに違いありません」


 子供の頃とはいえ、責任を感じざるを得ないのだろう。

 同じ聖女として扱われても、その差があったとラフィは悲痛の内を叫んでいた。


「だからと言って、何をしたって許されることでもない。厳しいことを言うが、結局、その重圧に負けて折れてしまったラフィが悪いよ」


「……そうかも、しれませんね」


 とはいえ、フェルトも死なせたくはなかった。

『大罪の神器』を回収する以上は、命を奪う覚悟はあったが、ラフィに関しては事も事だけに、法で裁くという方法もあった。


 むしろ生きて、しっかりと反省してくれるなら、寿命まで殺すつもりもなかった。


 だからこそ、メリーにその役を担わせるつもりもなかった。

 それならばせめて自分が殺すのが筋だろうとも。


「……大丈夫なのか?」


「ラフィのことは残念に思います。わたくしとしても最後の肉親でしたから……」


「「「……」」」


 どんな酷い仕打ちを受けても、いつかと思っていたのだろう。

 奴隷を受け入れていたのは、対抗できないというだけでなく、心のどこかではラフィの良心に賭けていたところもあったようだ。


「ですが、いつまで落ち込んでいるわけにもいきませんし、それに先程も言いましたが、やはりこのような結末になってしまった背景には、わたくしも存在しています。ラフィの死は彼女にとっての罰でもありますが、わたくしにとっても罰なのでしょうね」


「……俺も守るつもりだったのにな。悪かったよ」


「いえ! リーウェン様はわたくし達に十分、力になってくださいました。リーウェン様こそ、何も気にする必要はありません」


「……そうか? 少しは非難されるもんだと思ってたんだがな」


「そんなつもりはありませんよ。むしろラフィをあのように追い込んで下さったおかげで、ラフィの本心を聞くことができました。貴方が居なければ、知らなかった事実です」


 あくまでラフィのことは気にしなくていいと、逆に気を使われてしまった。


「ですが、さすがにあの悪態の数々には、さすがに思うことはありましたが……」


「あー……」


 道具だの家畜だの色々言ったなぁ。


 肉親をそんな暴言で殴られるのは、確かに気分は良くないだろう。


「わ、悪かったよ」


「いえ。あれも必要だったのでしょう。ラフィの性格を考えれば、あのような挑発的な悪態の方が良かったのでしょう」


「はは……」


 フェルトは気まずい空気を払拭するために咳き込み、話題を変える。


「まあ、アレだ。確かにラフィが死んだことは残念だが、俺達は生きてる。未来を許された存在だ」


「未来を許された……」


「……ああ」


 亡くされた人を前に、残された人達のことを生き残ったと表現されることがある。

 生き残ったからこそ、頑張って生きなければならないとかいう当たり前のことを。


 だが、フェルトは亡き恩師(マルコ神父)の手紙から、こう解釈することにした。


 未来を許された存在であると。


「……俺の村も人喰いに襲われてるのは知ってるな?」


「はい。聞き及んでおります」


「俺達はその時、村のおじさん達や先生に守られて、こうして生きていられてる。その人達を犠牲にしてな」


「……」


「だがな。俺はこう解釈した。その人達は俺達の未来を守るために戦ってくれたんだ。勿論、生きてくれてるのが一番だが、世の中、そう物事は都合よくはいかない」


「そうですね」


「だから俺達が死んだ人達から受け取ったものってのは、未来を見る、未来を作ることを許されたってことなんだと思う。死んだ人達はもう、未来を見ることはできないからな」


「……そうですね」


 だからこそ人は悲しむんだ。

 その人達と未来を歩むことができないということを、酷く後悔する。


「だが死んだ人達でも俺達という未来を示してはくれている。俺の恩師は手紙を残してくれてな。俺がこうして前を向いていられるのは、その死んだ先生のおかげだ」


「亡くなった方の残した物は、わたくし達生き残った者が紡いでいく。それが許された存在……」


「そうだ。許されたってことは、俺達は生きて、何かを示さなくてはならない」


「!」


「ただのうのうと生きていることなんて許されないってことさ。生きているからこそ、死んでいった人達のように、俺達には未来を作る義務がある」


「義務……」


「ああ。だから助けられるもんは助けるし、自分がやらなくちゃいけないってことは貫く」


『大罪の神器』の回収はもう、イミエルに頼まれたからというものではない。

 あのヴァース村のおじさん達やマルコ神父の死が無駄でなかったということを証明するためにも、成さねばならない。


 だがそのひと段落はついた。


「ま、そのやらなくちゃいけないことに、ひとつのケリはついたんだけどな」


「……? そうですか」


「ま、重苦しく言ったが、要するには命ある限りは誇らしく生きろってっこったな」


「そうですね。ラフィができなくなってしまった聖女としての役割を、わたくしがしませんとね」


「……悪いがそれならもうとっくにできてると思うが?」


 お互いにちょっと困ったように笑い、


「でもそうですね。ラフィの分まで幸せに生きてみせましょう。聖女に囚われるということは、どれだけ恐ろしいことなのか、ラフィが教えてくれましたからね」


「おう。それに聖女様は寿命も短いんだろ? 俺のこの『強欲の義眼()』で視る限り、アンタの聖力の量は相当だぜ?」


「「「!?」」」


 その発言に三人はフェルトに詰め寄る。


「せ、聖力が視えるのですか!?」


「お、おう」


「さ、さすがは神眼……」


 フェルトはこほんと話を戻し、あるメモを手渡す。


「そのままだったら母親のユフィ様同様、若くして死んじまうだろうが、ここに書かれているもんを煎じて飲めば、少しは聖力の負荷を軽減できるらしい」


「!?」


 ネフィはそのメモに目を通す。


「……入手するのが困難な物もありますが、用意できなくもない、ですか……」


「というか陛下にも説明はしてあるから、定期的に用意してもらえると思うぜ」


「どうしてこんな物を……! ま、まさか……」


 フェルトは『強欲の義眼』をこずく。


「見透せないものはないって話」


 と、カッコつけはしたが、実は『暴食の仮面』をイミエルに渡した際、聞いてみたことだったりする。


 だが女神から聞いたなんて話を聖都出身とはいえ、信じ難いだろうから、ラフィがつけていた神の左足と呼ばれていた物と同義のフェルトの義眼で見透したと言えば、説明もつくだろうとのこと。


 すると、ライクとゴルドは跪く。


「た、助けてもらったばかりではなく、こんなことまで……! 本当に感謝する!」


「ありがとう!!」


「おいおい。大の大人が簡単に頭なんか下げるんじゃねえよ。あくまでそういう身体づくりができるってだけだ。個人差はあるだろうから、あんまり期待はするなよ」


「いえ! それでも感謝を!」


 するとネフィも感謝すると頭を下げた。


「何から何まで、本当にありがとうございます。こんな貰ってばかりで……」


「言っておくが、そのメモはアンタにだけに渡したわけじゃないぞ」


「?」


「これから先の未来を生きる、アンタの子供達のためのもんでもある」


「!」


「だから今度はちゃーんとお前のことを大事にしてくれる奴を探すんだぞ?」


 ネフィは驚いた表情から、クスッと笑い、


「そうですね。未来を生きるからこそ、自分を大切にします。ふたりから散々言われていましたからね」


 そしてそのふたりも立つ。


「その通りです! 聖女としてのお役目も大切ですが、何より一番は貴女様自身の幸せのため……」


「俺達はその未来を守る剣であり、盾となります!」


「ありがとうございます。ですが、わたくしのことばかりではなく、ご自身の幸せも考えてくださいね?」


「「あ……」」


 ライクとゴルドは自分達にも跳ね返ってきたと、豆鉄砲でも食らった鳩のような反応をし、一同は笑った。


「こんなこと聞くのは野暮かもしれないが、奴隷だった時にアンタを犯した連中には何かしらの罰があったりするのか?」


 奴隷だったとはいえ、冤罪であった聖女を犯したんだ。

 何かしらの罰があって然るべきだろう。


「陛下にも何か罰するか言われましたが、奴隷であったことやわたくし自身、当時は受け入れておりました。自業自得でもあるわけですし、まあ……ひとつの経験として呑み込むことにしました」


 そう言ってネフィは苦笑いを浮かべた。


「アンタ、人が良過ぎるだろ」


 その意見にはふたりも同意で、不服そうに怒った表情で当時を思い出したようだ。


「まったくです! ネフィ様がどれだけ酷い目に遭ったか、しっかりと反省させるべきだったんです!」


「まあまあ。謝ってもおられましたし、良しとしましょう。もう二度と目の前に現れないとまで言われましたし……」


 困ったように話すあたり、その話し合いはかなり一方的な感じだったのだろう。

 今まで奴隷だと言って、調子に乗っていた貴族達がへこへこネフィに謝る姿が想像できた。


「まあそういうことならいいんじゃないか? 今度はちゃんとした男を選べよ。ま、そこのおふたりのお眼鏡に叶うのも条件に入りそうだけどな」


「当たり前です! ネフィ様に相応しい男は俺達が選別するぜ!」


 するとゴルドは、


「いっそ、リーウェンさんがお相手になってくださるなら、我々も納得するところですがね」


「――なっ!?」

「あん?」


 ネフィの赤面する反応はある程度想定通りだったが、フェルトの何言ってんだと言わんばかりの表情にゴルドは些か怯んだ。


「じょ、冗談です……」


「まあ、俺も? 聖女様のお眼鏡に叶うと言うなら、考えなくもないが……」


「「「!」」」


「お生憎。俺は女がどうこうってのは考えてない。それに俺にはちょっと厄介な目的もあるから、ちゃんと口にして断っておくよ」


 好いた惚れたという話は人間である以上、ある話。

 ネフィは自分に救われたため、無い話ではない。

 だから、いけらゴルドが会話の流れで語ったこととはいえ、ちゃんとお断りを入れておいた。


 するとネフィは小首を傾げて笑顔を向ける。


「……お互い、いつか素敵な方と出逢えると良いですね」


 いつか、か。


「おう。そうだな」


 フェルトも『大罪の神器』の目処が経った頃に、前世ではできなかった結婚などをして、親孝行したいと過った。


「ではその未来を守るために、わたくしは先ず、聖女の巡礼ですね」


 そろそろ出ますと立ち上がった。


「頼むぜ、聖女様。俺の村にはしばらく来てないって俺、陛下に文句言っちまったからな」


「ああ、お伺いしてますよ。恩人の故郷です、しっかりとお役目を果たして参ります」


「ああ」


 そして――、


 ***


「――聖女様ぁーっ!! お気をつけて!!」


 ネフィは沢山の声援を受け、正門からライク、ゴルドと選ばれし王宮騎士と魔術師を連れて、旅立った。


「いやぁ、良かったよ、本当に。ラフィ様が亡くなったのは残念だが、本当に聖女ネフィ様の冤罪を晴らすとはね」


「はいはい。散々聞いたよ」


 ネフィを見送ったフェルト、ヘイヴン、クレアは人混みから出て行く。


「でもこれからだよね。聖女ネフィ様が大変なのは……」


「そうだね。フレンドは陛下から色々聞いたんだろ?」


「まあな。確かに大変そうだが、あの聖女様なら大丈夫さ」


 フェルトはそう言って、微笑んだ。


 ネフィはラフィからの本音を聞いて、反省し、考え、ちゃんと行動を起こせるようになった。

 以前は全てを諦め、奴隷になっていたことを受け入れていたというのに。


 こうして振り返ってみれば、ふたりとも『聖女』という立場から踊らされた被害者であった。


 ラフィは周りから勝手に期待されて、勝手に見限られ、そしてネフィと比べられ、ハリボテの聖女と呼び捨てられ続けた、劣等感の聖女。


 ネフィは周りから期待され、その期待に応えるよう、自分を殺し続け、陥れられた際にも助けを求めなかった破滅型の聖女。


 そしてこの双子の聖女の違いは、自分の弱さを知り、この先の未来を考えられるかということに尽きる。


 ラフィは劣等感に苛まれた際、結局考えることなく、助けだけを求めたが、ネフィは自分を陥れたラフィでさえ、手を差し伸べ、助けようと考えられた。


 人喰いが暴れていた時、ネフィの中ではラフィと生きる未来がきっとあったのだろう。


 その優しさとそして心の強さを身につけ、助けてくれる人達もいると知った、今のネフィなら大丈夫だろう。


「……頑張れよ、ネフィ」

 ここまでのご愛読ありがとうございます。


 双子の聖女編はここまでとなり、次章は舞台を変えて幼馴染の行方編をお届けいたします。

 結構、アクション多めの回になりそうなので、お楽しみに。


 ブックマーク、感想、評価、誤字脱字等は随時受け付けております。モチベーションにも繋がりますので、書いていただけると幸いです。

(高評価だと尚嬉しいです)


 これからもご愛読くだされば幸いです。それでは。

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