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アテフィッシュ

作者: 裸形炉

根も葉もない噂、街の中央に立つ中高一貫の学校にはこの所意識不明者が続出している。学校前の信号での交通事故、三階渡り廊下からの転落、新しい教室の天井の崩落………などなど生徒の不注意や学校施設の点検ミスだけではない何か不吉な物に祟られているというのが噂の大半だ。校庭では大規模な御祓いが行われている生徒のヒソヒソ話が聞こえる「そろそろかな?」「ほらきた!」校庭の地面が抜け落ち御祓いを行っていた関係者は地面に呑まれる。救急車や消防車、警察まで門の外に待機していた。必死の救出作業が続く「これでしばらくは自習時間?いやもしかすると休みだーよねー!!」クラスが盛り上がる。窓の奥校庭には怪獣のような大きな長髪の女性がいる。正確には他の誰にも見えてないボロボロな着物を纏い聞き取れない声でブツブツと何かを呟きながら校庭の地面を叩いている。見たのはこれで7回目、事故の際には必ずいる「蔵屋敷くん何か外に見えるの?」横から顔を窓に当てる。その時地面を叩く手が止まる。ゆっくりと此方へ顔を咄嗟にカーテンを閉める「なんだよ、蔵屋敷カーテン閉めんなよ」振り返ると教室の中央に先程校庭にいた女性が立っている「ごめん少し眩しくなって」とカーテンを開ける「ったく若いのに白内障ですか?」クラス中笑いの渦に………居心地が悪いのか女性は滑るように教室を後にする。深くは考えない世に言う霊力が強いとか霊感があるのとは違うと思う。ウチの家系で霊力があるのは叔母だけだ。一時期はテレビでタレントの真似事を行っていた。そんな叔母に相談した際「あんたに霊力は無いわよ。少なくとも今この部屋にはアタシの戦鬼ゴードゥ以外に普通の霊が二体いるけど見える?」そう言われたが首を横に振る「箒には見えてないだからアンタには霊力がない」ショックではない………叔母さん曰くこんなもの見えない方がいいらしい。その時にアドバイスも貰った見えてもどうにも出来ない時は「″無視しなさい″決して認識したり交わりを持ってはダメよ」らしいそこにあるものとして認識すること車が止まってたり他人の家から喋り声が聞こえても普段何とも思わないでしょ。よしと席を立つと「どうしたの?賄名?」隣の席の″馬門 賭名″が机に伏せっている「すごい熱、保健室へあれ重い動かない」それもそのはず彼女の上には先程の女性がおぶさっていた。認識しないのは…………彼女を背負う廻りは唖然とする鉛のように重たい体をおぶさっていたからだ………そのまま保健室へ向かう。保険の先生は留守だったのでベッドに賄名さんを寝かせる「……しょうがないか″彼女から離れてくれませんか″」いままで無視していたものに声を発する「ツナガッタ ツナガッタツナガッタ!!!ソレソレ ヨコセヨコセ ココココ″ワレノモノ″」ケケケと笑い声が部屋に響く「自我も無くした魂の末路か……想いだけが残ったか、やだねー一部とはいえ認知症患者の末期かよいやそれよりタチガワルイ……″もう一度言う彼女から離れろ」強く進言する蔵屋敷だが「ウレシイウレシイ、モウス!!!」蔵屋敷の体に手をかけた瞬間霊の体が蒸発していく「ヤメローナンダオマエハ」蔵屋敷の影は大きな大きな犬の形をしている「悪いねまだ魂なのかな、上手く使いこなせなくて」斬撃が飛び彼女の体を壁に押し付ける「言葉で言っても分かんないか……少し削るよ!」蔵屋敷の口が開くと大きな犬の形をした影も大きな口を開ける。白い服の女は片腕を引きちぎられるとそのまま闇の中へ消えていった血走った目を黒髪の間から覗かせながら………「うーん、あれ」起き上がる馬門さん「アタシまた倒れちゃったのか?いつもありがとうね、蔵屋敷くん」馬門さんが意識を取り戻したのを確認すると「保健室の先生はもう少し休んだ方がいいってさ、じゃあ授業に戻るね」席を立とうとした蔵屋敷に「その………一人は怖いというか………先生来るまででいいので………一緒にいて下さい」布団をかぶり頼んでくる馬門さんに「じゃあ、少しだけ」沈黙が保健室を覆う「馬門さんは″校庭にいた者″見えてたよね」被っている布団が揺れる「蔵屋敷くんもやっぱり見えるんだ………アタシは見えるだけ何にも出来ません………やだよねこんな力………小さな頃交通事故の現場や近所のお葬式なんかで″見えないものが見えたの″後をつけられたり、身近な人が怪我したり、私がね不用意に話しかけたせいだって気づいたのは小学校高学年ぐらいのときかな、それからは見て見ぬ振り………なんて出来るはずもなく今に至っています。怖いアタシのこと」首を横に振り「ううん、すごいと思うよ。普通はいや僕だったらそんなこと出来ない。だから馬門さんのことすごいとは思うけど怖いとは思えない………とても温かいから」保健室のドアが開き先生と入れ替わりに教室へ戻っていく………放課後学校に人気はない図書室で小説を丸々一冊読み終える「さてと、仕掛けてくると思ったけど、学校に残ってるのは先生が数人か」駐車場の車の数から予想をたてる。念のため玄関から部室一通り隠れながら見て回る「確認終了、気のせいか」「ワッ!びっくりした」後ろから脅かしたのは馬門さんだった「まだいたの保健室の先生は?」「子供さんが熱出したって帰っちゃった。それで一眠りしたらこんな時間に保健室の鍵を今から返す………!蔵屋敷くん」彼女が指さす方向には片腕をもがれた昼間の黒髪の霊がこちらを睨んでいる「オマエ………キケン………ワラワノ………タノシミナクス」フラフラと揺れながら然し目はしっかりと蔵屋敷を睨みつける「馬門さんこの空間に霊は何体いる?」突如変な質問をしてくる蔵屋敷に「えっ、ええっとそこのやばそうな女の人と廻りにはそんな彼女に怯えて隠れてる霊が数人かな」そうかと笑う蔵屋敷「僕にはそのやばそうな霊以外はみえないんだ。やっぱり馬門さんは霊力があるんだね」………「なるほど藁あんたちょっと特殊みたいね」霊力を確かめたくて叔母さんの除霊に同行したとき運悪く強い悪霊に出会った。その時はハッキリみえたんだ「じゃあ霊力あるかもしれないんだ」カメラを片手にはしゃぐのは叔母さんの旦那さん「尚久さん、カメラこっちあと私語厳禁」喋りに反応したのか悪霊は叔父さんめがけて飛んでくる「尚久さん!ビルセチ!!」叔母さんの瓢箪から煙が飛び出し悪霊を包む然し全部は捉えられず残りの悪霊が叔父さんに迫る「ヤメローーー!!」つい大きな声を発するその時声に呼応したのか僕の影が大きくなりすさまじい咆哮が木霊する叔父さんへ向かっていた悪霊は跡形もなく消え去る「何今の!!」叔母さんは僕の後ろに何かを見たらしい瓢箪が震えている「ビルセチが震えてる?!」そのあと悪霊退治は無事終わり帰りの車で「藁もう一回聞くわ」叔母さんは自身の右上を指差し「ここには「何もないよ」………そう」叔父さんが車を運転しながら「藁くんにもやっぱり見えないのか、叔父さんも頑張って見えるようにしようとしてるんだけど、やっぱり血統なのかな」叔父さんがフォローをいれてくれた「ありがと叔父さん、怪我はしてないよね」「ヘーキヘーキ、瑞虎さんのほうが」叔父さんへチョップ炸裂「奈比ねーさんには心配かけたくないから今回の1件はここだけの秘密って事で、藁の状態はこっちでも調べとくどうやらあんたは霊を見てるんじゃ無くて魂そのもので感じてるみたいね」………「魂を広げる感覚………」蔵屋敷の周囲に水透明な水の膜が覆い尽くす「よし、ここまでは出来るようになったなぁようやく」白い着物の悪霊は口を大きく空け迫ってくる。右手をかざし『全体のイメージをよりつよく意識する』水を着ている感覚五本の指を獣の爪のようにして悪霊の体を切り裂くイメージすると悪霊の白い着物は五つの何かで切り裂かれる。のたうちまわる悪霊ダメージを与えられない者に確実にダメージを与えている。叔母さん曰く僕の力は魂が包み込んでいる何か?らしいその何か?は魂の隙間から漏れ出すことが出来る「まだやるのか?」ボロボロな体を振り払い「ワラワノモノモノ………ワタサムワタサム」大きな声が響くと大きな頭を伸ばし手足を羽根のようにばたつかせる異形な怪物くんがいた「何あれ?」苦しさから嘔吐してしまう馬門さん。軽く背中をさすりながら化け物とかした悪霊の攻撃を受ける。正確には受ける直前に廻りに展開した水が衝撃を吸収している「大丈夫、あれは悪霊が最後に見せるあがきです。自身の容量を超える現し身を創ってしまったの」現し身?吐きながら尋ねる馬門さんに「僕には見えないけどこの世に残った霊たちは現し身と呼ばれる体みたいなものを創っているの。これは認識するというよりは魂が不安定にならないように自分への暗示みたいなもの………だからその現し身を破壊すれば魂は不安定になり自我を取り戻す………溢れる魂「最も暴走もするんだけど」悪霊は苦しみながら消え去っていく。取り敢えずは一段落かな。ふっと一息つく「やっぱり叔母さんと同じ反応か………」馬門さんの顔は冷や汗が結構流れている「見えたんだよね………僕の中にあるモノが」目を反らす馬門さん「暗いから送って」差し伸べた手然し後ずさりする馬門さん「大丈夫!大丈夫だから………お願いだから近づかないで!!」後ろへ五歩程下がる「気をつけて………」然しその声は馬門さんには届いていない「結構月の光って明るいんだな」校庭を走って帰る彼女を窓から見送った後家路についた。その後学校では奇妙なことは起きてない…………実際には馬門さんが見えていた霊は数え切れないほどいるのだろう。ただそれらが僕が感じ取れる程の悪意を有しているのか言われれば応えはノーだ。だがそれでいいんだ「てめぇどこ中のもんだ!コラ」校庭に響く怒鳴り声我が中学校一番の不良三太夫″指揮紅″登竜 甕″が小さな女の子?小学生にケンカを売っている「俺は中学生だし男だ!」「ふん黒髪ロングサラサラヘアの男の子がなんのようだよ」「ここの化け物を壊した奴を探している………俺と同じ化け物をさ」「バットを持った化け物ならここに居るけどな」バットは空中で砕ける?「悪いけど俺が探してるのはホンモノのバケモノだよ」そんなニヒル顔は後ろから伸ばされた手で下を向かされる「ごめーんなさい、バリトンには悪気はないんです。社交辞令的な………失礼しまーす」バリトンの腕を引き校舎へ入ってくる迷うことなく僕の教室へ「えーっとね居た居た人差し指を指される蔵屋敷「この人だと思うけど自信ないかな」「スピタルの直感は当たるからな、あんたなるほど俺と同類か水ってことは俺先輩じゃん。多聞中三年 場張 尖だ。超獣つまり″魂の中にバケモノを飼ってる″って言えばわかるよな」強く興味を引かれた同時に彼の中にある何我を感じ取れる「さてさてショータイムってのも面白くないかね、場所変えようか、バケモノについて知りたいだろ。ならついて来なよ」教室を後にする勿論部外者として先生達に補導され警察沙汰になる…………音沙汰無し結局あれだけ啖呵切って「行くしかないか」………「ここが多聞中至って普通の学校だった」放課後の時間帯を選んだけどやっぱり人少ないな「あっ!」スピタルちゃんと目があった「どうも」挨拶を終えると「スピタじゃ無いよね、なんて呼べば」「数美 樽です」じゃあタルちゃんで「それでいいです。少し納得いかないようだったけどバリトンに会いに来たんですよね」頷く蔵屋敷「キミも見える人なんだね」はいと軽く会釈する「バリトンはここにはいませんウチでお説教部屋で監禁です」タルちゃんの後を追うと「教会?」立ち止まるタルちゃん「あたし達の家へようこそ」つまりバリトンとスピタルは孤児だった「やっと帰ってかか彼氏連れてる」シスターが倒れる「何新しいパトロン」たばこをふかしながら金髪の不良シスターが現れる。「レノン先生に伝えなきゃ今夜はご馳走」「んな金ねーだろが、それでそこのボーイは何者よ」くわえたばこでがん飛ばしてくる少女「バリトンの仲間だよ。何持ってるかはまだ分かってないけど、バリトンに会いたいんだって監禁解けないの?」「そうねぇあと一時間だから待ってた方がいいかもレノン先生には話通しておくからごゆっくり」シスターを引っ張っていく不良シスター「さっきの話力ってそれにバリトン君が話してた超獣って何」続ける質問に「私も詳しくは知らないレノン先生曰く″超獣″って呼んでるんだ。バリトンやキミもその内の一匹を魂の中に飼ってる。普段はそれぞれの魂が覆ってるので外には出せないけど魂の形を変えられれば超獣を飼いならすことも可能なんだって」後はレノン先生に聞いてと部屋に戻っていくタルちゃん………バリトン君が出てくるまで暇なので大聖堂へステンドグラスが夕日に照らされている「キレイだなぁ」知らずに言葉が出ていた「ステンドグラスは二百年近く前のモノなんだよ。強い風でもビクともしないすごいだろう」声をかけてきたのは大柄な男性格好から「貴方がレノン先生ですか?」「君がバリトンの言っていた同じ化け物かな」化け物か………叔母さんや馬門さんの態度から其れを否定する言葉が声にならない「それで君は何が聞きたくてココエ来たのかな」顔を上げて「超獣について知ってることを全て教えてください。出来るなら制御方法バリトン君は僕の中の超獣の認識ができました。でも僕にはまだ其れが出来ない。貴方がバリトン君に力の使い方を教えたんじゃないですか。なら」祭壇へと歩みを進めながら「バリトンに力の使い方を教えたのは私だ。とはいえ試行錯誤しながら紐解いたと解釈してもらった方がいい」「……つまり自分で使い方を」「いいや、私の知っていて教えれる範囲なら喜んで教えよう……ただこれはバリトンにも言ったが力を持つって事は理不尽に何かを気づつけるんだよ。相手に反抗する意志があってもなくても、自分と違うモノと言葉を長い時間交わしても絆を結んでも………″力の差というのは埋まらない″それはそこにあるものだから……私がキミに力の使い方を教えてしまうとキミは魂の上位に位置する力を得てしまう……これだけは頭の片隅にいれておいてくれ……いれておくだけでいい軽く言えば説明書読ませたんだよ………さてでははじめようかまずは超獣について超獣というのは私が決めた俗称だよ。本来は別の名前かもしれないけど呼び名がないと始まらないからね」………初めてバリトンの力に気づいたのはあの子が小学生の頃だよ。うちの教会へ曰く付きの人形が持ち込まれたいわゆる悪魔つきだ。シスター神父総出で悪魔払いを行ったが……結果は失敗(礼服を脱ぎ大きな瘢痕を見せる)私も死ぬ一歩手前までいった………その悪魔を消し去ったのがバリトンだった″完全に解放した姿″は凶悪な悪魔すら一吞みにするほどだった″岩の鎧に包まれた大猿″其れがバリトンの持つ化け物の全容だよ………その場は力を使い果たし元に戻れただがバリトンは怯えてしまった自分の化け物にだから一緒に化け物を飼い慣らす方法………共存する方法を模索したんだ「あーあしゃべっちゃってやる気なくすな~レノン先生」肩をならし現れるバリトン「じゃあ学校の続き見せてやるよ」空気が一変する「先生いるからはなからとばすぜ、俺は大猿化け物大猿が俺の力だ!」現れたのは岩石に身を包んだ大きな猿足元にはバリトン君が気を失っている『てめぇも、力を見せやがれ!』吹き飛ばされる蔵屋敷起き上がることが出来ない!?(実際にダメージを食らった?)霊体は肉体的ダメージを与えることはできないの……いつか叔母さんが教えてくれた。霊が与えるのは魂への干渉、実際に肉体的ダメージはあり得ない気分が悪くて体への不調が起きるけどそれは一時的なものショックと似ている………だけど今のは何だ?!後ろの壁は凹んで壊れてる。まるでトラックにでもひかれとばされたみたいだ。体が動かない息が………苦しいクソ………魂の殻が剥がれていくみたいだ『其奴が御前の化け物か!』土鎧の大猿の前に透き通るたゆたう水の体を持つ大きな犬が蔵屋敷から這い出てくる「ってか何?怪獣映画かよ!」タバコをふかし驚く不良シスター「みんなを避難させましょう。少し大きな喧嘩になりそうですよ」ケンカってレベルかよとぼやきながらも子供達を山の方へ避難させる「聞こえるかな?!シマッタ名前をまだ聞いていない」横に立つタルちゃん「蔵屋敷君です………いきなり全解放ですか?自我はあるんですか?どうせバリトンが煽ったんでしょう。全く手加減しらないんだから」淡々と話すタルちゃんに「確かにバリトンのやり方は手荒です………が蔵屋敷君は自分の力に怯えていた。人は誰でも分からないことが嫌なんです。怖いんです(一歩前へ)聞こえるかい!蔵屋敷君!まずは意識を一点に集めなさい。今は体から魂が抜け出ている。そうだな夢を見続けている状態と同じまずは目覚めなさい」先生そんなこと外から言ってもというタルちゃんに「外の声は聞こえている、バリトンのときもこれで覚醒させました。彼次第と言ってしまえばそれまでだけど所詮心の問題何です本人以外では本人じゃ無いと絶対に解決出来ないんです」……外から声がする体が伸びる意識が澱む堕ちていくみたいだ。何かに掴まらないと″吞まれたら?そしたら………″来るまででいいので一緒に居てください″『ここは………あれ僕がいる』キョロキョロと首を振る水の犬「意識が帰ってきたね」『これどうなって』尋ねる蔵屋敷に『御前はバケモンになったんだぜ………まずはお手並み』地面が割れ津波のように土石流が蔵屋敷?に襲いかかる「逃げてはだめだ!ガードするんだ。超獣状態、今のキミやバリトンのように体から完全に外へ出ている場合でも魂はあくまで君たちの体にある。ソフトはあくまでソフト、ハードからダウンロードした状態なんだ」すぐに理解した蔵屋敷は自身の体を守る『判断はぇーな正解だぜ』「体をやられたらその時点で人生は終了、力があっても彷徨う亡霊に成り下がる。自分が何者なのか誰だったのか、そんなことを意識してしまうと体を持たない者は耐えられ無いんだ。フィードバックがすごいからね」説明を続けるレノン先生に「次の指導しないと蔵屋敷君守ってばっかりで消えちゃいますよバカトンは単純なのです」そうだったと二人してバリトン君をディスる『どうした、どうした!』高揚感が高まった大猿……くそ攻撃は出来なくはないけど(下にある自身の体を見て)無防備な自分は?!あいつはバリトン君は体如何してるんだ大猿の攻撃の隙間からバリトン君の体を探すしかし辺りを見渡しても彼の体はない?!いやそんなはず無い大猿になる前彼はここに居た。大猿の姿で現れたなら体を隠して現れるということも出来る。けどそうじゃない彼はここで解放したんだ。ならどこだ!どこにバリトン君はいる!見つけるんだ!「ふーん、もう!」口を指で塞がれるタルちゃん「人のことはいえないけど″今は静かに″学習中だ」丸いドーム型に水の障壁を展開『オラオラそんな小さなドームじゃすぐに壊れて……ほらしばみはじめた』ドームは土石の攻撃で小さくなっていく『相性が悪いんだよ″水は土に負ける″ってね』このまま押し切………おかしい土の吸収がそれほど多くない?!早すぎるじゃあなんでこいつの水は減っている?どこへ!『地面しまっ』辺りの地面から水が吹き出す『ビンゴ!』その中からバリトン君の体が宙に浮く『無防備クソ』背後を振り向いた瞬間体当たりをかまし背中に背負いかぶさる『勝負ありだよね』「そこまで勝ちは『認めねぇこんなの無効だー!オレの方が強いんだ』地面から無作為に飛び出す尖った岩盤。その一つが協会の屋根へタルちゃんにステンドグラスが刺さっ!「大丈夫かな、……樽」レノン先生にステンドグラスが突き刺さるだが………『血が出てない?!』驚いた事に無数に刺さったステンドグラスに血は一滴もなく……『あなたは何者………人間じゃない?』レノン先生レノン先生と協会の子供達が集まってくるいつの間にかバリトン君も元に戻る「先生ごめんごめんオレオレ」頭をなで「みんな無事で良かった」「すぐに結界をシスターの皆を集め」慌てふためくタルちゃんだが『やっと尻尾を出したなぁ………レノン・バリスタリア……千年級の縛霊さん』そこには背中まである真っ赤なモヒカン鬣を靡かせる着物姿の女性と角の生えた小さなおじさんが浮いている。そして見えている。何だあれは目を擦るが見えているものは変わらない『目は余り擦らない方がいいですよ。目の細胞が傷ついてしまう』小さなおじさんが優しくアドバイスをくれる『物世界への必要以上の干渉はしないんじゃなかったっけ』真っ赤なモヒカン鬣が靡いている『丙午様ほどではありません。わざわざレノン・バリスタリアが傷ついてしまうのを指を加えて待っていた。別にこちらから仕掛けても構わないのに、彼とそこの彼はスピリストですよ。眠った状態なんですが、スピリストは一体のみ覚醒が許されています。死なれても無闇に力を使われても困るわけです』スピリスト聞き慣れない単語だがこの姿だというのはわかる『壬戌の方は戻らないのか?戻れない?戊申は戻り方が分かってるようで……全くこうも覚醒されるのでは魂鼓の性能も考えねばなりませんね』やれやれ改善をメモる小さな鬼に『でどうする?バレた以上は引き抜くのかな、放置は無いわよね……』判断に困る小鬼『封印式が出来るまで足止めを……本来はスピリスト同士での戦いは避けて貰いたい』小鬼が腕を上げると羅生門が現れる門の中からゾロゾロと様々な鬼が現れる『百鬼夜行ねぇ、あの縛霊相当にヤバイみたいね。どうアタシが消してもいいけど?』にこやかな丙午様『スピリストの役目は魂の流転を見守り介入する権利があること。縛霊も魂ですが縛霊の捕捉は我々″鬼草鞋″の役目です』雰囲気が変わる小鬼………体型が一回り大きくなる『物世界でそのすがた……少し引くわよ………』遠めに微笑む丙午様さてさてどうなるかな「樽みんなを教会へ……」手を後ろへ「攻撃はしないで下さい。あくまでみんなを守るだけにしてね………さて小鬼君戦うことにはなる。なら名前くらいあるだろう………レノン・バリスタリア確かに私の名前だならキミは君の名前は何かな?」尋ねるレノン先生に『名ですか名前そうですね。今から戦うんだ″柄杓之片隅″我が名前だ。これで満足かな?』小鬼君の返答に「ありがとう小鬼君さてさてでは私も改めて………私はレノン・バリスタ数千という悠久の歴史を見つめてきた者だ。君のいう縛られた霊体この世を妬みその想いは溶け堕ちることはない」数千年?この神父さんはそんな長い年月をさまよい続けているのか?一体いつまで『それでこっちの相手はアタシでいいのね?やるけど?』僕とバリトン君の前に丙午様が立ちはだかる『じゃああたしも自己紹介スピリットビースト略してスピリスト別の言い方ではあれ?なんだっけ』助けを求める彼女に『六十干支ですよ』と助け船『そうそう六十干支六十干支その一匹なのさね、君らの中にいるのも六十干支の一匹よアタシは丙午馬、結婚できないとか婚期を逃したなんていう助言は聞く得ませーんだから・まぁ君達には丙午様でええよーんさてさてでは貴方達はなんてーの』耳をすませお返事を待つ「僕は蔵屋敷っていいます」応えるとなるほどなるほどッとね「俺はバリトンだ、此奴も俺もあんたの持ついやあんた自身と仲間なのかな、それであんたは俺らのじゃましようてんだろ少しは恩恵にあずかれるかもってきたいしたんだけどまぁ無理だったかな」短い説明にハァハァとへなり顔だ「つまり俺たちもあんたと同じくその六十干支つまりスピリストってのになったわけだけど、あんたみたいなのとは違うのかな」自身の体つきを見ながら『違うわね、根本的には同じよ同じなんだけど、違うわねだってアタシは体を作っている魂でね、元々造られた存在である貴方達と違いスピリストのほんらいの本来の姿に近いのさてさて同なるものやら』手を振りわからないとアピールする「じゃあ先生を助けにいってもいいって事だよな!」強い口調で言い切ると『出来るならどうぞ正しくは出来たらナンだけどそれじゃあ出来ないわね』大きな口を開けわらげおちる一同に真剣な顔で『でも食われる食い荒らされるのが得だと思えないけど』二つの力が先生を奇襲する。一つはさっきのものだがもう一歩が及ばない先生はあっさりと躱してしまう。二つ目はそのしかくから襲ってくる。一気に解消されることは無いがどうやらキツいようだ『少しはいやいやさすが数千年を生きる化け物だ……そこらの精霊や聖物より厄介だなぁ』小鬼が感心するも「そんな高尚な者じゃないですよ、ただただ生きることが出来なかった存在………進めなかっただけですよ………ほんとに」悲しい顔を見せるレノン先生『ほんとに珍しい、大概の縛霊は自我しかない一つの想いしか持たないけど君は違う。とても歪だ。その思考は人とはもはやかけ離れている』小鬼は感心しながら話を進める『だが、君は物世界にいてはならない。それが良かれ悪かれ異物なんだよ』鬼の姿は地獄に住む畏怖の姿へと変貌してしまう『ここで刈っておくことにするよ。では始めようか』レノン先生もまがまがしさを滲み出してくる。悪霊に相応しい貫禄だ

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