6. 恨むぜ、爺さん
ガシャン、という音と、大きな振動で、俺は目が覚めた。
暗い。辺りはほとんど見えない。一体俺はどこにいるんだろうか? しかも、先程からよく分からない鳴き声や、呻き声などが聞こえてくる。わけわかめ。
辺りの様子を見ようと思い、俺は立ち上がろうとした。が、頭を金属製の板にぶつけ、それも叶わなかった。不思議に思い、その辺をぺたぺた触ってみると、床や壁や天井、つまり箱のようなものに入れられていることがわかった。前だけがポール状のもので覆われていた。その先は布に包まれているんだろう。何かに阻まれて見えなかった。
仕方なく、俺は胡座を組んで考えることにした。ここが何なのか、一体どうなってしまったのか。
まぁ、考えるまでもなく、分かったけど。
あれだ、これは多分檻だ。そういえば、あの山賊達が何か言っていたな。奴隷として売るとか、何とか。高さは、俺が正座したら天井に頭をぶつけるくらい。横の長さは、どうにか横になれるくらいだから、そこそこ大きいんだろう。じゃあこの振動は、どこかに運ぶために、車にでも載せられていて、そのため発生したものだろう。
当たり前と言われればそうかもしれないが、持ち物は全て取られていた。ただ、金になると思ったのか、あの冒険者のリングだけはつけられたままだ。
それから一時間近く俺は落ち込んでいた。でもなんだかもうどうしようもなく、一旦ふて寝することにした。起きたときには、全てに諦めがついた。だってどうしようもない。こんなことになるなら、土下座でもなんでもして天国に行きたかったな。だって死ぬまで奴隷としてこきつかわれるなんて、生き地獄じゃないか。恨むぜ、爺さん。
最初は律儀に時間を数えていたが、それも面倒くさくなってきた。もう今自分がどこにいるのかも、そして時間も分からない。
けれどもそこそこ長い時間が経って、ついに、振動はやんだ。
しばらくしてどこかに運び込まれた。たぶん建物の中かどっかなんだろうな。暗くてジメジメした場所だった。まだ布は外されていない。
まじで最悪だ。俺はため息をついた。