18. ギルドに登録
次の日。俺と翡翠はギルドへと向かった。
幸いホテルのベッドは二つほどあったため、寝れない、なんてことはなかったし、ラブホの割にサービスも良かった。今回は翡翠の勘が当たったという他ない。
ギルドへ着くと、まず翡翠にステータスを測ってもらう。
「ね、どんなのでるかな?」
心なしか一晩で俺への態度も随分軟化したように感じた。出会った当初はクールで大人っぽい雰囲気をさせていたのに、今は十六歳の女子相応、いやそれより子供っぽい気がする。
目をキラキラさせる彼女にさぁ? と返して、これからのことを話していると、前と同じようにステータスの書かれた紙が印刷された。
紙を取って中身を覗いたお姉さんがえぇ!? と声を張り上げる。一体何があったんだ。
「ひ、翡翠さん凄いですよ」
紙を渡され俺達も驚愕した。
「まずMPはゼロ。ただ、速度とか体力とか、全部平均の五百倍です!」
いや、五百倍って。
俺の速度は平均だ。で、その平均の人間が五十メートル走るのに七秒かかる。が、彼女は、その間に二百五十回、往復するという計算になる。いや、チートすぎんだろ。
翡翠が以前、白夜族の人間は身体能力が異常に高いと言っていたのを、思い出した。
「それにレベルは三十です。凄いですよ。最初からこんな結果なの」
かくして翡翠には、銀色の冒険者指輪が渡されることとなった。
「まずは武器とかどうするか、だな。翡翠、いくら持ってる?」
短い冒険者ライフだったとはいえ、冒険者としての生活は、俺の方が詳しいだろう。翡翠も随分、街には詳しいみたいだけど。
「金貨三枚」
つまり三万円くらいか。うん、やばいな。
この世界の物価は、日本とそう変わらない。ただ、お金の種類が違うだけだ。
「俺は魔法を使う。だから翡翠のだけ買いに行こう」
翡翠は魔法が使えないから、武器選びは重要になってくる。
「どんなの買うの?」
「あんまりお金がないからなぁ。とりあえず剣一つ買っていこう。スライムとかだったら、それだけで倒せるだろうし」
武器屋の場所は知っているらしい翡翠について、歩いていく。買い物したあと、一仕事してそっからご飯って感じかな。
予定について頭を巡らせていると武器の絵が描かれたのれんの前で、不意に翡翠が立ち止まる。どうやらここが武器屋らしい。
俺は無数の剣の中から、金貨一枚でそれなりに質の良いものを取り出すと、翡翠に渡した。軽くブンブン、と振ったあと、うん、これいい、と翡翠が言う。
その剣を店主のおっさんのところへ持っていくと、彼はにこやかに会計してくれた。いい人だ。
「あ、君達これからクエスト?」
後ろからそんなそんな声が聞こえ振り返ると、そこには三人のお姉さんたち。
「ごめん、ちょっと人数足りなくてさ〜。暇だったら、一緒にクエスト、来てくれない?」
リーダーなんだろう、短い赤髪の女の人がそう言った。
まぁとりあえず断ろうと声をかけた瞬間、翡翠が
「はい! 分かりました!」
と返事する。いやいやいやいやちょっと待て。
「あの、翡翠……」
「良いよね? 大丈夫だよね?」
振り向いた翡翠の瞳に、俺は折れた。仕方ない。一応俺ら、レベルだって高いし、大丈夫だろう。




