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15. 村に着く

  翡翠に説明を受けてから一時間ほど歩くと、翡翠の言う白夜族の集落に着いた。

  翡翠は門をくぐると、まず村の中心の大きな屋敷俺を引き連れて行った。翡翠の言う通り、余程人間というものが珍しいのか、それとも腹立たしいのか、周りの視線が突き刺さる。

 

「とりあえず私の部屋に行って、話を聞いてもらう」


  翡翠は一番奥の部屋に俺を連れ込むと、手早く鍵を閉めた。


「村人に聞かれたら困るのよね。良い人達なんだけど、すごく過激だから」


  自分は社長椅子のようなものに座り、俺には客用らしき椅子に座らせた。高そうではあるが、随分古い。

  奴隷小屋に来た時、翡翠がお金がない、と言っていたのを思い出した。


「それで話ってなんなんだ」

「あのね、簡単に言うとね、最近ここら辺で戦争が起きてるの、知ってる?」

「まぁ、話は聞いたことがある」

「それにね、この村も巻き込まれかけてるの。けれど、、私達は教育を受けていないものだから、大して文字も書けないの。それで、他の村との仲介役の人間が必要だってなって、奴隷を買うことになったってわけ」


  頬ずえをつきながら、翡翠が言う。


「引き受けてもらえるかな?」


  姿勢を正しそう言った翡翠に、俺は頷くという選択肢以外なかった。だって何にしろここで断っても、奴隷小屋に逆戻りだし。翡翠はなんだかんだ言って優しいし。


「やった!」


  にっこりと満面の笑みで微笑むと、俺に着いてくるように行って、翡翠は立ち上がった。どうやら、次の行き先があるらしい。


「村人にはもう招集かけてるから、アダチネ様のところで紹介するね」


  アダチネ、というのはここの御神体で、願いを言えば何でも叶えてくれるのだと言う。そこで俺のこの村に対する適正を調べ、ついでに紹介も済ませてしまうそうだ。


「ごめんね。これが人間を村に招き入れるときの、条件なのよ」


  しばらく険しい山道を歩くと、それはあった。翡翠に告げられるより早く、俺にはそれが御神体だというのが分かった。

  全身ガリガリで、まるで生き物ではないようであった。全身にほのかに光を帯びている。

  それにその周りに佇む白夜族の村人達が全員発光しているので、めちゃくちゃ眩しい。


「じゃあみんな、紹介するわ」


  凛とした翡翠の声が、響いた。



 

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