13. リアルざまぁを味わえた
彼が剣で俺を切りつけようとしたその刹那、彼の前に巨大な壁が現れた。
「は!?」
ガツン、と金属同士がぶつかる音がする。
どうやら、作戦は成功したらしい。
次に、考える。彼に傷を負わせる方法を。
また、目を瞑って集中した。草野剣のようなものが、彼に降りかかり、切りつける。これで行こう。
この前ギルドでステータス測ってもらったとき俺のMPは平均だった。この国の冒険者のMPの平均は、大体魔法十回分だとギルドのお姉さんから教わっている。とりあえず今は、魔力が尽きるという心配はしなくてもいいだろう。
「ダークホース」
もう一度、今度は目をつぶったまま叫ぶと、不意に壁が消えて、どこからともなく現れた草の剣が彼の体に傷をつけた。ざっと数えて切り傷が二十から三十ほど。これは、俺の勝ちと言っていいんじゃないだろうか。
「俺の勝ちだな」
膝をついた彼の前に仁王立ちし、そう告げると、彼はすごく不本意そうな、そして悔しそうな顔をした。
昔ラノベでよく読んだざまぁの話を思い出す。確かに、この痛快感は、癖になる。
ゆっくりと立ち上がると、俺の前に手を差し出してきた。
「これからよろしくな。そうだ、俺のパーティーに入らないか?」
どうやら握手しようということらしい。完全に寝返ったようだ。俺は微笑むと、彼の手を思いっきり握りしめた。いてててて、という彼の声がこだまする。ずっとあの謎の液体飲まされてたんだ。舐めるなよ、俺の握力。
「よろしくな。あと、お前のパーティーには、死んでも入りたくないかな」
にっこり笑って思いっきり手を振りほどくと、彼は呆然とした顔をしていた。
そのまま後ろは振り向かずに、まだ地面に座ったままの翡翠に手を差し伸べる。
ゆっくりと起き上がらせると、後ろ姿だけで手を振って俺は翡翠と共に歩きだした。まぁ、なんにせよ、新しい生活が始まるのだ。確かに、彼等のことは憎いが、構ってはいられない。
「なんなんだ、あの化け物」
一方聖が立ち去って言った場所では、金髪碧眼の勇者ーーリュカがそう呟いたが、それは誰の耳にも届かず、そっと空中で消えた。




