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少女は龍をも穿つ

 荒野には数多くのクレーターがあり、空には一匹の龍と一人の少女が互いににらみをきかせていた。荒野は龍と少女以外の人の気配は無く、しいんと静まり返っている。互いににらみ合っているがどちらも攻撃を仕掛けようとはしない。


「こうしてあなたと戦うのも何回目かしらね?」

「さあ、知らんな。だが、数えるときりがない程戦ってきたのは確かだ」

「でも、今回が最後の戦いになるのも確かよ。私の勘がそう告げてるもの。あなたもそれは感じるでしょ?」

「そうだな、儂も肌といままでの経験で感じとれる。正真正銘、これで最後だ」



「「では尋常に、勝負!」」



 その掛け声とともに少女は背丈と同じくらいの大きさの、普段背中にかけている愛用の大剣を鞘から抜いた。龍はマナによるすべてを焼き尽くすほどの熱量のある劫火(ごうか)を少女に向けて放った。しかし少女は剣を盾にして炎から己の身を守った。剣がただの材質で出来ているなら容易く熔けてしまうが、マナを吸収する性質をもった金属でつくられているので、少女が傷つくことはなかった。



「さすがお主だな、敵ながらあっぱれじゃ」

「その余裕ぶったあなたの態度が自分の首を絞めることになるのよ。あの世で後悔しなさい!」



 少女は剣にマナを込め斬撃を龍に放った。龍は受けて立つと言うように逃げもせず真正面から少女の攻撃を受けた。物凄い剣圧とマナによる爆発的な威力に荒野に突風が吹き荒れ、生えている木々がなぎ倒されていく。しかし龍もまた無傷だった。



「儂にそのような攻撃が効くとでも思ったか!!」



 しかし次の瞬間龍は少女の姿を見失ってしまった。剣圧によって発生した突風による砂埃、これこそが彼女の狙いだったのだろう。


 達人同士の試合、例えば剣道の試合がそうだ。一瞬の出来事のはずが数時間のように感じられるという不思議な現象が起きることがある。その現象がまさに彼女の身に起きた。


 龍の腹の下に潜り込み自らの魔力を剣にのせ天目掛け一直線に穿つ。





 

 これは後の世に語られる『終焉の厄災』の物語、しかしこれは序章に過ぎない。厄災の日は近い……

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