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第一章~小さな冒険者たち~

とにかく読んでみてください。

まずはそれからです。

いつ頃からかはわからない。

気が付いたらボクはここにいて、ケイティがいて、ミゴスがいて。

数多くの子供たちとともに、ポーラー孤児院で過ごしている。

子供たちは優しい院長先生のポーラ先生が大好きだったし、若くて美人のレイン先生も大好きだった。

いつも思う。世の中は不公平だというけれど、それなりの幸せは誰にでもあるんだって。少なくとも、ボクたちが飢えることはなかったし、今もこうして…決して豪華ではないけれど…暖かい布団で眠れている。それだけはゆるぎない事実だ。


寝返りを打つ。向かいのベッドには、僕と同じ日にここに来たっていうミゴスが布団をひっくり返しながら眠っている。スリ傷だらけの手足が薄暗い燭台の光に照らされている。

また起きたら、すごい寝癖がついているんだろうな。それはもう、まるで絵本に出てくる獅子のようなボサボサだけど、どこか威厳のある黒髪にね。そしてまた朝が来たら、ボクたちを連れて冒険に連れ出してくれるんだろうなぁ。そう思うと、思わずクスリ、と笑ってしまった。


ミゴスの上のベッドですやすやと寝息を立てているのが、チェイン。普段は大きな丸眼鏡をかけてるの。どこか理知的で、しかも好奇心旺盛な彼はいつも何かを探している。戸棚の中、森の暗がり、先生の書斎。

特に本の中からいろんな知識を引っ張り出してくる。とっても頭がいいんだ。


で、僕の上のベッドで寝ているのがブルーノ。肩にかかる銀髪をなびかせる、とってもキザなやつ。でも自身が自慢するだけあって確かに顔立ちは整っているし、女の子の扱いが上手だ。いったいどこで習ってくるんだろうっていつも思う。

このブルーノは、一方で、町一番の秀才だって表彰されたりもしてるんだ。物知りっていうよりも、頭の回転が速いタイプ?


ととん、ととん、とん、ととん…。

壁一枚向こうから信号を送ってくるのはケイティ。

「ネムレナイノ?」

だって。

フワフワで鳶色の髪をいつも三つ編みにしているケイティ。ボクやミゴスと同じ日に拾われたケイティ。


ととん、とん、とん、とん。

とん、ととん。

ととん、ととん、とん、ととん、とん、とん、とん。

ととん、ととん。

とん、とん、ととん。

ととん、ととん、とん、とん、とん、とん。

ボクは返信する。彼女とは、このように秘密のお話をやり取りしている。

ととん、とん、とん、ととん、とん…。

「モウミンナネタノ?」

「ミゴスモミナネテル。ソッチハ?」

「ネテルワ」

「ソウ」

「KモCモLモネ」


ここでのアルファベットは、隣の部屋の住人を指す。Kはケリィ、Cはカミラ、Lはリアンナ。


ケリィとカミラは双子の姉妹。くりっとした目に褐色の肌。その黒い髪をポニーテールにしている方がケリィ。ツインテールがカミラだ。


リアンナはブルーノが大好きな女の子。白い肌に癖のある、長くて白い髪。深い水色の瞳は誰もが吸い込まれそうだ。


暫くの間会話を楽しんだ後、ボクは

「オヤスミ」

と、壁をはじいた。

「オヤスミナサイ」

こうして今夜も夜は更けていくんだ。いつものように。


明日は何があるのかな?楽しいことがあるといいな。

ボク、ケイン=テイラーの一日はこうして終わるのだった。

まだ本文中には出てきませんが、ケインたちは10歳前後の設定です。

まだ今は子供たちのやんちゃな冒険がどのような叙事詩になっていくのか、どうぞお楽しみに!

なお、ひと月に一回程度の連載となるかと思います。

よろしくお願いしますね。

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