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三人の英雄  作者: C-na
-第一の世界線・弦- 【剣の誓い】 -主人公-ヴェランド=レグルス/エランド=レグルス
19/59

Black or White もうひとつの未来【復讐者エランド編】

登場人物


エランド=レグルス (16) ♂

本作の主人公。正義感に溢れ、仲間思いで優しい男の子。

魔龍族の血を引いており、潜在された力は無限大。

家族という何よりもの心の支えが消えたとき

彼には何も残らなかった。


ヴェリス=レグルス (16) ♀

エランドの双子の妹。お兄ちゃん子で

まさに一心同体であったとも言える。

いつも笑顔で明るく、優しかった彼女が倒れた。

それが彼にとって、復讐の狼煙となった。


アイフィス (?) ♀

魔王軍の残党。ルシファーが敗れ、

壊滅していた魔王軍を再構成した本人。

残忍な性格で容易く人の命を切り捨てる。


ヴェランド=レグルス (38)

双子の父。かつて世界を救った勇者、シーナの師。

エランドと同じ、正義感に溢れた性格で

悪を許さんとする彼だったが、戦う力を失った今

アイフィスに太刀打ちする術はなく、剣を託し、倒れる。


シーナ=レグルス (35) ♀

双子の母。16年前、ルシファーを倒した勇者。

かつての力は使えずともまだまだ正義感や剣術に錆は無く。

アイフィスの強さを前に歯が立たず双子をかばい倒れる。


ルシファー (?) ♂

16年前、シーナに敗れた大魔王。

エランドが復讐者と化した4年後、復活する。

倒される、倒すどころかエランドを

仲間として招き入れる。



エランド ♂:

ヴェリス ♀:

アイフス ♀:

ヴェラド ♂:

シーナ  ♀:

ルシファ ♂:


『』…マインド


--------------------


ヴェリス『これは語られなかった、誰も知ることのないもう1つの末路。そう…お兄ちゃん…いえ。復讐者エランドの原点』




エランド「父さん、母さん!」


シーナ 「ヴェリス…エランド。具合でも悪くなりましたか…?」


ヴェラド「もうすぐ授業が始まる時間じゃないのか…? 引き返してきてどうした、2人とも」


ヴェリス「お客さんが…」


エランド「母さんに会いたいって人が居るよ」


シーナ 「お客様…? どうも、初めま-」


アイフス「こんにちは、シーナさん」


シーナ 「…どうして私の名前を…? 以前何処かでお会いしたことがありましたでしょうか…?」




アイフス「ふふっ…名前なんかどうでもいいでしょう…面倒ごとは抜きにして。シーナ=レグルス…消えて下さらないかしら?」


ヴェラド「! シーナッ!!」


(シーナがアイフィスから放たれた魔弾に吹き飛ばされ)



ヴェリス「お母さん! お母さん!!」


アイフス「フフッ……クフフフフッ……アハハハハハハハハッ!」


ヴェラド「…なんだ…貴様は…!!」


アイフス「あぁら、失礼。まだ自己紹介をしていなかったわね? アイフィス…」


エランド「母さん! 母さん! しっかりして!」


シーナ 「っ…ぅ…ぁ……大丈夫…です…」


アイフス「一発で仕留めたと思ったのに…意外と魔力への耐性は落ちていなくて? おっと?」


ヴェラド「…どういう…事だ…! その魔力…魔王軍で間違いない…だが…魔王軍自体はシーナが16年前に葬ったはずだ!!!」


アイフス「果たして本当にそうかしら? たしかに、根っこが潰えたのは認める。しかし、その根っこの部分に私が居たと…そう言い切れるかしらッ!」


ヴェラド「う゛ぉぁぁっ!? …げほっ……ぐ…くそっ…!」


ヴェリス「やめて! やめてよ! どうして…どうしてこんなひどい事をするの!?」


エランド「…父さん! 俺も…俺も戦うから! ねぇ!」


シーナ 「いけません…! あなた達の歯が立つ相手では…!」


アイフス「そうよ…ねぇ…? ふふっ!」


(ヴェランドが貫かれ)

ヴェラド「あ゛……ぅ……っ…ぉ…」


エランド「…父さん!!!! ねぇ…! 父さん! しっかり…しっかりしてよ! ねぇ…父さん!」


ヴェラド「……っ…エラ……ン…ド……これ……を…」


(エランドに剣を託し)

エランド「ぐすっ…父さん…ねぇ……死なないでくれよ! なぁ! せっかく戻ってきてくれたんだろ…! …ぇ…? 何だよ…これ……!」


ヴェラド「……生き……て……くれ…」


エランド「とう……さん…? 父さん…! 父さん…! うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」


シーナ 「まさか……マスター…マスターッッ!!!!」


ヴェリス「お父さん…目を開けて! 開けて! ねぇ! お父さん!」


アイフス「呆気ないわね。全く面白くもなんともない。まだ死にかけのネズミの方が見応えあるもの」


シーナ 「許しません……あなたは……あなただけは…ッ!!!!」


エランド「か…母さん…!?」


シーナ 「退がりなさい……」


ヴェリス「…待って! お母さん、私も-」


シーナ 「母の言う事が聞けませんかッ!!!!!」


アイフス「あら…こわーい。そこまで戦力にならないのなら……先に葬ってあげる」


ヴェリス「えっ…助け-」


アイフス「さようなら、君たち」


(凄まじい爆風があたりを覆い)


ヴェリス「…おか…あ……さん…?」


シーナ 「ぅ……ぁ………」



アイフス「戦う力を失っても子供だけは絶対…とでも? あははははははっ! 笑えてくるわね…滑稽滑稽」


エランド「母さん…まで……?」


シーナ 「……ヴェリ…ス……エラ……ンド………生きて……くだ…さい…」


ヴェリス「嫌だ…嫌だ! 死なないで! お母さん! お母さん! どうして! どうして庇ったの!」


シーナ 「……私…の……命に…代えても………あなたたちを……護る…と……誓って…いました…」


エランド「逝かないで……逝かないでよ…ねぇ……母さんッ…!!」


シーナ 「さっきは……強い言い方を…して…ごめんなさい……私の……かわいい…かわいい……ヴェリス…エラ…」




アイフス「死ぬとわかっているのならば、言い切れないような長台詞を選ばないでほしいわね?」


(シーナの剣を引き抜き)

ヴェリス「あ………ぁ………うああああああああああああああああっ!!!!!!!」


アイフス「怒りに任せれば勝てる、そんな物語は小さいころの絵本だけよ? フフフッ」


ヴェリス「う゛ぁぁっ!?」


エランド「ヴェリス!? ……アイフィス……お前だけは…許さないぞ……!」


アイフス「私もあなたたちの家系を赦すつもりは無いもの。レグルスさん?」



エランド『ヴェリス…だけでも……絶対に…護る……俺は……俺は…!!!!』



アイフス「邪魔よ」


ヴェリス「おに…い…ちゃ……」


エランド「………え…?」


アイフス「お父さんたちより弱いじゃない。あなた


(両棟を貫かれその場に倒れて)

ヴェリス「…っは…」


エランド「ヴェ……リス……嘘だ…嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だッ!!!!!!!!!!!!」


ヴェリス「ごめ……さ…………」


アイフス「結局最後に残ってたのはあなただったはね、4人の中で最もなにもできずに…ただ叫ぶことしかできなかった…エランド君? あら…まだ生きてたの…?」


ヴェリス「……おに………生き…」


エランド「……」


アイフス「…ついにショックで言葉すらも失った?」


エランド「あああああああああ!!!」


アイフス「何……? 魔力が……? 増幅してる!?」


エランド「赦サナイ…赦サナイ……例エ俺モ地獄行きだったとしテモ…!!!」

(ヴェリスの手に握られたもう1つの剣も手に取って)


アイフス「空の色が!? ……くっ! しまった!」


エランド「後ろだ」


アイフス「嘘ッ!? くぁぁぁっ!? 見えなかった…」


エランド「見えなかった…? 笑わせるな」


アイフス「……ふふっ…アハハハハハッ! そうね…確かに私があなたを倒すのは無理がある…でも…カーリー様ルシファーさ-」


エランド「消えろ」




ヴェリス『復讐者と化したエランド。復讐の対象が消えても、彼の闇の力はどんどんと膨れ上がっていった』


(天界)

ヴェラド「…エランド…」


ヴェリス「なに……あの…姿…」


シーナ 「まさか……エランドが…」


ヴェラド「…私たちが現世を去ることで…エランドの力の引き金になったのは事実だ…。だが…私たちが引いた引き金は人としての強さではなく…魔龍族の…悪しき力を引いてしまった」


ヴェリス「あれは…お兄ちゃんじゃない…違う…違うよ……あんな目…してない…してなかったよ…!」


シーナ 「誰か…エランドを…止めて下さい…!」


ヴェリス「いや…いや……いや…!!」


ヴェラド「ヴェリス…私達にはどうすることもできない! もう…私たちが現世に干渉することは許されないんだ…!」




ヴェリス『エランドが振るう2本の剣は…どんどんと赤黒く染まり、果はどちらがどの剣か判別できない程だった』


(4年後)

エランド「おい、魔王軍はどこだ……! 答えろ! おい!!!!!」



ヴェリス『毎晩悪夢にうなされる。日を重ねるごとに彼の生気と狂気は反比例した』



ルシファ「貴様の活躍は聞いていたぞ、小僧」


エランド「……」


ルシファ「美しい目だ…いや。だったと言うべきか。左には青の光を宿し、右には碧の光を宿す…俺がかつて見た悪夢に出てきた男にそっくりだ」


エランド「お前が居なければ……父さんたちが倒れることは無かったんだ…!!」


ルシファ「フハハハハハハハハハッ! 復讐か、そうか……! 復讐だけを糧に生きてきた人間のその…禍々しい力……俺に預けるつもりは無いか?」


エランド「黙れ……! 俺は…俺自身が地獄に落ちる運命であったとしても…魔族に加担するつもりは無い!」


ルシファ「…お前の家族を蘇らせてやる、そう言ってもか?」


エランド「…何…!」


ルシファ「俺に忠誠を近い、俺のために動けるのであれば…貴様の家族を蘇らせてやろう…貴様の心に無数に絡みつく贖いという鎖を…取り払ってやろうと言っているんだ」


エランド「……本当か」


ルシファ「嘘をつく理由は無い、優秀なしもべに相応の物が贈られるのだ」




(天界)

ヴェラド「…悪夢を見ている様だ」


ヴェリス「どうして…お兄ちゃんが……人を…殺すの…」


シーナ 「…エランド……あなたの行いは…間違っています……!」


ヴェラド「……あれは……もう…私たちの知る…エランドではない…何を…誤った…!」


シーナ 「エランド…あなたが罪を感じる必要など…無いと言うのに…!!!」


ヴェリス「罪を償うために……罪を…?」




ルシファ「よく戻ったな、アイフィス」


アイフィ「また僕としてこの世に呼び戻していただけようとは、ありがたき幸せ」


ルシファ「確かに俺の一存で呼び戻したのは間違いない…だが、呼び戻した本人は俺ではない」


アイフィ「…? なんと」


エランド「俺だ」


アイフィ「! エランド…」


エランド「口を慎め、俺の名を口にするな」


アイフィ「何…!!」


ルシファ「エランド、残すはフォーリエの里だ。焼き払え」


エランド「…!」




(天界)

ヴェリス「フォーリエの里…って…!」


シーナ 「私たちの……里…」


ヴェラド「……もう…手遅れだ」




エランド「消えろ…! フハハハハハハハッ…これ…は……俺の……家………母さん…父さん………ヴェリス……もう少し……で…会える…会える…アエル…遭える…逢える…AERU…アエル!!!」


アイフィ「狂ってるわね」


エランド「……フフフ…あっはっはっはっは…! 狂わないと…おかしくなっちまうんだよ! 毎晩魘される! 殺した人間、父さん、母さん、ヴェリスが皆俺を殺そうとする!」


アイフィ「だから今現実になる…はっ!」


エランド「っ! 何の真似だ……!!」


アイフィ「……ルシファー様からの命令なのよ、エランドを殺せと」


エランド「待て……これが済んだら……ヴェリスたちを…蘇らせてくれるんじゃなかったのか!!!」


アイフィ「まだそんなことを言ってるの? いつまでも頭はおとぎ話なのね」


エランド「ふざけるな……ふざけるなァァァァァァッ!!!!!!」


アイフィ「ここで終わりよ…それに…あなたに負けた時から腹が立っていたもの!」


エランド「もう一度ここで殺す……DesperaySplitディスペレイスプリット!!」




ヴェリス『魔王軍の手に堕ちた世界を見ても、今の世界を見ても何も違いを感じられなかったのかもしれない』



(天界)

ヴェラド「ルシファーが本当に魔王だったのだろうか」


ヴェリス「………もう…見たくない…見てられない…」


シーナ 「……エランドが……魔王だと…?」


ヴェラド「里を襲った時のみんなの顔。私がシーナ。君に初めて出会った時に逃げていた魔人まびと達と同じ顔をしている」


シーナ 「……そん…な………」




エランド「なぁ…父さん…母さん…ヴェリス…どっかにいるんだろ…? なぁ…ははははっ…出てきてくれよ…なぁ…俺…何か間違ったことしたかな…? 誰か…いるだろ…? …返事してくれよ……おい!!!! ははっ…あはははははははははははっ!!!!」


ヴェリス『誰かがどこかにいても返事は無い、なぜなら目の前に立っている男は魔王だから。彼の行いが間違いだと確信していても誰も教えることはできない。もう、この世界には…復讐者エランド。彼しかいないのだから』




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