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三人の英雄  作者: C-na
-第一の世界線・弦- 【剣の誓い】 -主人公-ヴェランド=レグルス/エランド=レグルス
14/59

Episode of SoldatⅡ 想い出の耳飾り 【ゾルダート編

ゾルダート=クロー (27) ♂

攻撃的な性格ではあるが悪い人間ではなく

なんだかんだ人思いな一面も持ち合わせている。

挑発的な態度と口調が特徴だが

特に挑発しているわけではない。


リオ=ティリエ (15) ♂

魔道学校に通う男の子。

どうにも魔術が使えず学校一の落ちこぼれ。

内向的な性格で、自分に自信が無い。

眠れる獅子だとゾルダートは言うが…?


ユリウス=ティリエ (33) ♂

リオの父親。

ゾルダートをよく知る男で

この世界で彼の唯一の親友だった。


ニコ=ティリエ  (34) ♀

リオの母親。ユリウスと同じく強気なタイプではなく

学校に行かないリオの事を心配している。


アイフィス=ラグナ (23) ♀

妖しげなオーラを漂わせているものの

優しく、お姉さん感が半端ではないお姉さん。

ゾルダートに好意を寄せていたのかはわからないが

大事に思っているのは事実である。


ハウザー=ヴィレッド (15) ♂

リオと同じ魔術学校に通う男の子。

学校トップクラスの実力を持っており

リオを見下している。


デレーナ (15) ♀

ハウザーとよく一緒に居る女の子…だが。

人間の女の子の皮をかぶった魔骸まがいという生き物で、

自らの欲望のために試験日に動き出す。


先生 ♀

先生。



ゾルダト ♂:

リオ   ♂:

ユリウス/ハウザー♂:

ニコ/デレーナ♀:

アイフス/先生♀:


ユリウス役が若干酷です


『』…マインド

-------------------

ゾルダト「遅ェぞ」


アイフス「…っ…あんたが早すぎるだけよ…」


ゾルダト「チッ……仕方ねェ。おら、水だ。少しだけだからなァ」


アイフス「…! ありがと。これ…最後の一本じゃないの?」


ゾルダト「お前が飲め、俺はいらねェ」


アイフス「本当にいいのね?」


ゾルダト「あァ」


アイフス「…このあたりに何があるの? 行きたいところがあるって言うからついて来たけれど。

そろそろ教えてくれてもいいんじゃない?」


ゾルダト「俺の故郷だ」


アイフス「故郷…?」


ゾルダト「…ダーヤ村…。俺はそこで育った」


アイフス「それはこの世界でも同じなの?」


ゾルダト「多分な。色々な事が落ち着いたら来たいと思っていた」


アイフス「…何か思う事があるの? 故郷に帰るのに理由なんて要らないとは思うけど。貴方が言うと少しばかり珍しく聞こえるわ」


ゾルダト「…気になってな、この世界の俺がどんな所に住んでいたのか…どんな奴らと関わりがあったのか」


アイフス「…この世界に来た時点で記憶は共有される。本当の目的はそこじゃないでしょ?」


ゾルダト「何?」


アイフス「バレバレ。なんだかんだ1年以上も一緒に居るのよ?」


ゾルダト「……。悪に堕ちた俺がたった一人どうしても殺せなかった奴が居た…この世界には」


アイフス「……!」


ゾルダト「ユリウス…そんな名だ。この世界の俺に唯一…唯一殺せなかった人間がどんな奴なのか知りたい」


アイフス「…そう。なるほどね」


ゾルダト「…休憩は終わりだ」




(ダーヤ村)

ユリウス「あっ、おい! リオ!」


リオ  「もういいよ…!! 父さんは何もわかってない! うわっ!」


ゾルダト「…あン?」


アイフス「大丈夫? 急に飛び出しちゃダメよ」


リオ  「ぁ…ぁ…」


ユリウス「待て! リオッ!! …はぁ……すいません! お怪我はありませんか…! ぇっ…」



ゾルダト「…!」


アイフス「…ゾルダート?」



ユリウス「……嘘……だ……」


アイフス「…え?」


ユリウス「…ゾル…ダート君……ゾルダート君…だよね…僕だよ、ユリウス! ゾルダート君!!」


ゾルダト「…お前が……ユリウス」


アイフス「この人がユリウスなの?」


ユリウス「ほら、この耳飾り! 目…何があったのかわからないけど、後で話そう! ごめん、ちょっと待ってて!」



アイフス「走ってっちゃったわよ」


ゾルダト「…ユリウス」



(ユリウスの家)

ユリウス「リオ、挨拶は」


リオ  「…」


ユリウス「リオ!」


アイフス「ゾルダート、睨まない」


ゾルダト「目つきが悪いのは生まれつきだ」


ユリウス「…上に行ってなさい」


リオ  「…わかった」




ゾルダト「…ユリウス…?」


ユリウス「…どうしたの?」


ゾルダト「…いくつか聞きたい。どうしてお前は俺をもてなした?」


ユリウス「どうしてって…会えないと思っていた友達にまた会えたんだよ、もてなさないわけないよ!」


ゾルダト「違ェ…。俺は……償っても償いきれないほどの罪を犯してきたはずだ」


アイフス「…ゾルダート…」


ゾルダト「俺の記憶には焼き付いている、自分の故郷である此処すらも焼き払った」


ユリウス「ゾルダート君……君は………どこから来たゾルダート君なんだい?」


ゾルダト「何ィ…?」


ユリウス「…僕が君を最後に見た時は片目を失っていた。戻ってきた君は両目がある…そして、僕よりも若い」


アイフス「……凄いわね、そんなことまでわかるの?」


ユリウス「…難しいことはわからないけど…ゾルダート君で間違いは無いってことはわかる。だって、友達だから」


ゾルダト「……友達…。俺に…友達がいたのか」


ユリウス「あの日。たしかに怖かったよ、君が僕に剣を向けたんだ。でも、なかなか斬りかかってこなかった…そんな時に飛んできた魔弾の流れ弾

…君の右目に当たったんだ…許さない、腹いせだって僕を石に変えたよね。ゾルダート君は」


ゾルダト「……俺が…?」


ユリウス「…あの魔弾…流れ弾なんかじゃない。僕に向けられたもの……君が庇ってくれたんだ…」


アイフス「……素敵なお話ね」


ユリウス「殺さず…僕を石にしたのはそういう事だよね…? 僕を生かしておいてはゾルダート君の立場が危なかった…

君なりに僕を助けてくれた…そこまでしてくれる友達を疑う理由も恨む要素も無いと思うな…だからゾルダート君はゾルダート君だ」


ゾルダト「……ユリウス」


ユリウス「…?」


ゾルダト「…ありがとう」


ユリウス「…うん、こちらこそ…僕の方が感謝しても感謝しきれないよ…。っはは、すっかり外も暗くなっちゃったね。

今夜は泊っていってよ、2人とも」


ゾルダト「…あァ。すまん」


アイフス「名前を言うのをすっかり忘れていたわ…アイフィスよ」


ユリウス「アイフィスさん…ね。僕はユリウス、よろしくね。もうすぐニコが帰ってくると思うんだけど…」


ゾルダト「ニコ?」


ユリウス「僕の奥さんなんだ」


ゾルダト「あン!?」


ニコ  「ただいま、わっ。お客さん?」


アイフス「あら」




ニコ  「リオ!」


リオ  「嫌だ」


ニコ  「どうして?」


リオ  「学校に行った所で僕が恥をかくだけだ」


ユリウス「またか…リオ!」




アイフス「どうしたの?」


ゾルダト「さァな」


ニコ  「学校で上手くいってないみたいで…行きたがらないんです」


ユリウス「リオ…!」


リオ  「…嫌だ」


ニコ  「私もユリウスも根っこが叱ったりするタイプではないので…どうにも言う事を聞かなくて」


ゾルダト「…ふぅ」


アイフス「ゾルダート?」


ゾルダト「小僧、どうして学校に行きたく無ェんだ?」


ユリウス「ゾルダート君…」


リオ  「…恥をかくから」


ゾルダト「どう恥をかくかわからねぇ事には何とも言えねェな。ユリウス、こいつの学校は何処だ?」


ユリウス「えっと…あっちの方だけど…」


アイフス「…あんたまさか」


ゾルダト「行くぞ小僧」


リオ  「ぇっ!? わっ! うわっ! 離して! 離してったら! ねぇっ! ちょっと!」



ニコ  「ユリウス?」


ユリウス「…ゾルダート君に任せてみよう」



(魔術学校)

先生  「エーテルを変換する量が多ければ多いほど…大きな魔力となります」


ハウザー「ちょろいな、何やってんだリオ?」


リオ  「くっ……くそっ!」


デレーナ「リオ君、次の試験で何て言われるのかな?」


ハウザー「さぁな」




アイフス「随分な言われようみたいね」


ゾルダト「ン。なるほど」


アイフス「彼、魔術が使えないもんだから恥かくって言ってたのね」


ゾルダト「よいしょっと」


アイフス「ちょっと、どこ行くの?」


ゾルダト「ユリウス達に話すことがある、その授業が終わったら連れて帰ってきてくれ」


アイフス「え、ちょっと! ゾルダート!」




ニコ  「えっ?」


ユリウス「一ヶ月…学校を休ませる…?」


ゾルダト「あァ」


ニコ  「…り、理由も無く休ませるのは-」


ユリウス「話を聞くんだ。どういうこと?」


ゾルダト「リオは今の状態であそこに通った所で力はつかねェ」


ニコ  「そ、そんな言い方…」


ユリウス「まあ待って。力はつかない…?」


ゾルダト「あいつは眠れる獅子だ。だが、あの学校にあいつを開花させるだけの力はない。俺に預けてくれ」


ユリウス「…わかった。リオを頼むよ」


ニコ  「ユリウス!」


ユリウス「大丈夫。ゾルダート君なら安心して任せられる」



アイフス「で、どうしてこんな森に連れてきたわけ? リオ君と私を」


ゾルダト「小僧、わかりやすく言ってやる。てめェはどうしようもねぇ落ちこぼれだ」


リオ  「!」


アイフス「ゾルダート!」


ゾルダト「今日から1ヶ月俺の稽古に耐えてみろ、いや。耐えろ」


リオ  「なんだよ…急にうちに来て…父さんと仲が良いからって偉そうな事言って…」


ゾルダト「残念ながら俺は元々偉そうだ、悔しかねェか? あんだけ好き放題言われて」


リオ  「悔しいよ…悔しい…だけど…! 無理なんだよ……きっと強くなれるからって父さんと母さんが学校に入れてくれたけど…もう…無理だよ」


アイフス「ゾルダート、何を考えてるの?」


ゾルダト「…そこまでの力を持ちながら何が無理だ。甘えてんじゃねェ、お前が落ちこぼれなのはお前自身の問題だ、見返してやりたいんだろ。まずはお前の本気を見せてみろ。俺の見込み違いじゃ無ければ…お前はやれるやつだ、かかって来い。落ちこぼれ」


リオ  「さっきから……さっきから好き放題言ってるのはお前の方だ……うぁぁぁぁッッ!!!」


ゾルダト「いいねェ」


アイフス「本当バカ。もう少しナチュラルに入れないのかしら」


リオ  「くそっ! くそっ! くそっ!!」


ゾルダト「そぉらァッ!!!」


リオ  「うわぁぁっ!?」



ニコ  「本当に大丈夫なの…!?」


ユリウス「ここで見とけって言われたんだ。大丈夫」



ゾルダト「お前が魔術を使えないのは、落ちこぼれだからじゃねぇ。そもそも戦い方が違う人種なんだ、てめェはよォ」


リオ  「!」


ゾルダト「そいつを開花させるもさせまいもてめェ次第だ。言っておくが次の一撃は本気で行くぞ、リオ」


リオ  「待って、待ってよ! 僕、本当に何もできないんだって! 待ってッ!?」


アイフス「あいつ、本気で!? やめなさいゾルダート!!!」


ゾルダト「これが受け止めきれねェってんならその程度だったって話だ…やってみろリオ!! スカル…クラッシャーッッッ!!!」


リオ  「……うぉぉぉァァァッ!!!」




ユリウス「リオ…? リオ…!!」


ニコ  「どう…どうなったの……!?」




アイフス「……な…なによ…これ……」


ゾルダト「フン」


アイフス「3メートルはあるわ……リオ君…大丈夫!?」


リオ  「…だ…大丈夫……」


ゾルダト「その大盾はどこから取り出した?」


リオ  「わからない…」


ゾルダト「…間違いない。こいつは…魔術じゃァねェ……錬成術だ」


アイフス「…錬成術…!?」



ユリウス「凄い…凄いじゃないかリオ!!」


ニコ  「リオ!!」


リオ  「父さん…母さん」


ゾルダト「…こいつの術は物体を錬成する能力で間違いない。魔力を凝縮し、現実世界に存在する物体に限りなく近いものにかたどらせる…こんな技見たことがねェ」


アイフス「凄いわね…リオ君」


ゾルダト「今みたいな開花のさせ方はどこの学校でもやっちゃいねェ。こいつを面倒見るにはあまりに役者不足過ぎる」


アイフス「あんたみたいな教師が居ても考え物だけどね」


ゾルダト「とにかく、こいつの能力はわかっただろ。あとは俺に任せろ」


ニコ  「ありがとうございます…! ゾルダートさん、リオ」


リオ  「…へ?」


ニコ  「あなたはできる子。忘れちゃダメよ」


リオ  「…うん」


ユリウス「君に任せてよかった、ゾルダート君」




ハウザー「リオ、来なくなったな」


デレーナ「もう来ないんじゃない?」




ゾルダト「遅ェ。まだまだァッ!!」


リオ  「ハイッ!! くっ! ふんっ! おぁぁぁっ!!」


ゾルダト「ギリギリまで見切れ! まだ怖がってんゾッ!!」


リオ  「うぁっ! っと…危なかった…」


ゾルダト「ボヤボヤしてンじゃねェぞォァッ!!」


リオ  「ぐっぅっ! くっ!」



アイフス「2週間で何とかついて行くほどに成長するとはね」


ニコ  「それほどにゾルダートさんの教えが素晴らしいのでは?」


アイフス「どうかしら。リオ君の潜在能力が高かったのが一番の理由だと思うわ」


ニコ  「…あの子があそこまで勇気に満ち溢れた目になるなんて…」



ゾルダト「そこで錬成しろッ!!」


リオ  「うおぁぁっ!!」


ゾルダト「作り出したものは使い終わったら消せッ!」


リオ  「ハイッ!!」


ゾルダト「盾と剣を使い分けろッ! お前にとって剣は飛び道具だッ! 手先の神経じゃねェッ、一度放ったら対象を追い続けろッ!!」


リオ  「はぁっ…はぁっ…」


ゾルダト「どうした、そんなもんか」


リオ  「げほっ…げほっ…くぅっ……そ……」


ゾルダト「この前までのお前を思い出せ、落ちこぼれだったお前を。今お前はここまで進化した、誰もお前を笑う奴はいねェ。いるとするならば、未来のお前がお前を笑え」


リオ  「! ……ハイッ!!!!」


ゾルダト「行くぞォァッ!!!」



アイフス「あの小さな体のどこにあんな体力があるのかしら…?」


ニコ  「…わかりません、でも…根性だけは誰にも負けない子ですから」


アイフス「ふふっ。2週間後が楽しみね」



リオ  「イペルヴァシー・ディミュールギアッッ!!」


ゾルダト「うぉっッ! ッはンッ面白ェッ!!  」


リオ  「捉えたッ…! おおおおァァァッ!!」


ゾルダト「そォォラァァァァッ!!!」


リオ  「!? …弾き飛ばされた…?」


ゾルダト「終りだ」


リオ  「…えっ…どうしてですか…?」


ゾルダト「1ヶ月でやれるだけの事は全て叩き込んだ」


リオ  「待ってください、あと…8日あります!」


ゾルダト「8日の内、残り7日はこの森で暮らせ」


リオ  「えっ?」


ゾルダト「最期はお前の生存能力を限界まで鍛え上げる。魔物も適度に出てくる、丁度いい」


リオ  「あ、あのっ!」


ゾルダト「今、夜の7時だ。時計を作れ」


リオ  「…はい。…!! これでいいですか…?」


ゾルダト「…7日後に迎えに来る、じゃあな」


リオ  「あっ……はい…」




アイフス「あ、帰ってきた」


ユリウス「あれ…リオは…?」


ゾルダト「森に置き去りだ」


ニコ  「えぇっ!?」


ゾルダト「残りの七日間は森で自給自足の生活を送らせる」


ユリウス「…なるほど」


ニコ  「9日後は試験があるって話ですけど…それに向けての特訓だったんですか…?」


ゾルダト「何も考えてなかったなァ」


アイフス「でしょうね」


ニコ  「最近、この辺りは魔骸まがいが多くなってきたと聞きます…リオに何もないと良いんですけど…」




リオ  「…どうしよう……家…創ればいいか……はぁぁぁっ!!!! …でっか……まぁ…いっか…」




ゾルダト「リオ」


リオ  「ゾルダートさん!」


ゾルダト「ボロボロじゃねェか」


リオ  「魔物に襲われたりしたので…」


ゾルダト「最後の一日はゆっくり過ごせ。明後日は試験らしいじゃねェか」


リオ  「…はい!」




ユリウス「おかえり、リオ」


リオ  「ただいま」


アイフス「短い間に本当に変わったわね、リオ君」


ニコ  「ゆっくり休んで、頑張りなさい」


リオ  「…うん!」




ユリウス「リオ、こんな朝早くにどこに行くんだ?」


リオ  「なんか落ち着かなくてさ…少し走ってくる」


ユリウス「そうか。気を付けてね」


ゾルダト「流石お前の息子だな」


ユリウス「…そうかな? 僕はゾルダート君のお陰だと思うな」


アイフス「…明日が楽しみね」




(試験当日)

ハウザー「!? リオ!?」


デレーナ「嘘ッ!?」


リオ  「おはよう」


ハウザー「よう。今更何しに来たんだよ?」


リオ  「試験を受けに来ただけだよ、ハウザー。対戦相手になれると良いね」


ハウザー「何ッ!」


リオ  「じゃあね。………こ、こうですか?」


ゾルダト「上等だ。せっかく今まで馬鹿にされてきたんだ、ここで馬鹿にしてやらねぇとな」


アイフス「こういうとこだけちっさいのよね」



ユリウス「…出てきたぞ、リオだ」


ニコ  「頑張れ…リオ…!」



リオ  「ハウザー。本当なら決勝で戦いたかったよ、僕は」


ハウザー「見てたよ、一度も魔術を使わずに押し切ってたな…確かに凄ぇ」


リオ  「…何か言いたそうだね」


ハウザー「だが…そのまぐれもここで終わりだッ!!!」



ゾルダト「おうおう、威勢がいいなァ」


アイフス「笑ってるけど、あの子かなり強いわよ」


ゾルダト「だろうなァ。偉そうな口叩くだけのことはある…ただ一つ勘違いしてるようだ」



リオ  「魔術を使わずに押し切って来たんじゃない」


ハウザー「何ッ! ぜやぁぁっ!!!」


リオ  「術を使うまでもないと判断したからだッ!!! ふんっ!!」


ハウザー「ッチッ! クソッ! この1カ月なにをしてやがった!?」


リオ  「修行だよ…ただの! せやぁぁっ!!!」


ハウザー「イージスバレット!!!」


リオ  「見せてあげるよハウザー…!! 僕が魔術に置いて落ちこぼれの理由…!」



ゾルダト「そして、錬成に置いて天才のスペックをな」


アイフス「錬成の天才…!」



リオ  「イペルヴァシー・ディミュールギア…!!」


ハウザー「何だ…!? これっ!?」


リオ  「さあ来い!」


ハウザー「おあああぁぁっ! ぐっ!? 何だッ!」


リオ  『ありがとうございますゾルダートさん、今の僕があるのはあなたのお陰です』


ハウザー「剣が!? どこから出てきたんだッ!」


リオ  「僕は無限に物体を作り出すことができる!! これが僕の錬成術イペルヴァシー・ディミュールギアだ!」



ニコ  「…! 何か…変よ!」


ゾルダト「魔骸だ…!」


アイフス「魔骸ですって…!? 何故ここに!」


ハウザー「…デレーナは何処に行った!?」


リオ  「僕は見てないよ!」


ゾルダト「あんとき一緒に居た女だな…あいつ…まさか魔骸じゃねェのかッ!」


デレーナ「まさかまさかのそのまさか…? せっかく魔力の塊である生徒たちをいただこうと思ったのに…?」


ユリウス「…何だ…あれは!」


デレーナ「まぁいっか…この際…微々たる魔力も頂いちゃおっと」


ユリウス「しまったッ!!」


ゾルダト「リオッ!!!」


リオ  「ハイッ!! 父さん!」


ユリウス「リオ…! ありがとう…お前は僕の自慢の息子だ」


リオ  「逃げて、父さん! 母さん!」


ユリウス「…あぁ。無事でいるんだよ」


ニコ  「かっこよかったわ、今夜はご馳走よリオ!」




アイフス「ちょっとちょっと…冗談じゃないわよ! どんどんと魔物が入ってくるじゃない!?」


ハウザー「リオッ!! 危ないッ!!」


リオ  「うわっ!? ありがと…」


ゾルダト「200…いや…500はいるな」


アイフス「はぁ…なんでそんな楽しそうなのよ…」


デレーナ「その目つきの悪いあなた?」


ゾルダト「あァ?」


デレーナ「あなた…魔術を使えないのではなくって?」


リオ  「えっ!」


ゾルダト「言って無かったかァ? 俺も魔術はからっきしだ、リオ」


リオ  「聞いてません…!」


アイフス「ユリウスさんの息子だから面倒見たのもあるんでしょうけど…こいつなりのシンパシーを感じたのよ…恐らくはね」


デレーナ「使えないのにもかかわらずその出しゃばった態度…面白いわ…見てなさいリオ…この人が御師匠なんでしょう…!」


リオ  「や、やめろッ!!」


デレーナ「消えてしまいなさい……!!!」


アイフス「…馬鹿ね」


ゾルダト「あァ。違いねェ」


リオ  「…え?」


デレーナ「何…ですって……!? 離しなさい…この…このぉっ!!!」


ハウザー「嘘…だろ…剣を…素手で…受け止めて…る…?」



ゾルダト「……見とけガキども。これが魔力の使い方その2だ」


デレーナ「!?」


ゾルダト「久々ぶっ飛ばすぜァッ!!! ヒョッホァァァッ!!!」


デレーナ「馬鹿なッ!? 魔術は使えないはず、何故魔力を飛び道具として使うことが!?」


アイフス「馬鹿なのよ、こいつ。魔力を帯びた剣を降りぬくことで衝撃波にして飛ばしちゃうぐらいにね」


リオ  「凄い…凄い……」


ゾルダト「次ィッ!!! てめェも見てるだけかァアイフィスッ!!!」


アイフス「はぁ…あんたで役不足でしょ…? もう…」



ハウザー「あの女も戦えたのか!?」


リオ  「こんなに強い人たちがいたなんて…」



ゾルダト「そォォォらァァッ!!! 斬られてェ奴から一列に直れやァッ!!」


アイフス「ふんっ! はっ! アイスバラージ!」


デレーナ「そんな! こんな簡単に魔骸達が!?」


ゾルダト「一ついい事教えてやるぜ、お前らがどれだけの魔力を蓄え、強くなろうが…生まれ持った地力があまりに違いすぎる…なァッ!!!」


デレーナ「ああああああああああああっ!?」



アイフス「無事? 2人とも」


ハウザー「は、はい」


リオ  「凄かったです、ゾルダートさん」


ゾルダト「当たり前だ」


リオ  「これ…試験は…?」


ゾルダト「あン? 最後まで逃げずに残ってた生徒はお前らだけだろ? お前らが優勝だ」


アイフス「ちょっと、それ勝手に決めてもいいの?」


ゾルダト「知るか」


アイフス「勝手すぎ。でも、私も賛成よ」


ハウザー「…リオ…。ごめん」


リオ  「…ううん、君達のお陰で僕も自分を知ることができた…ありがとう」


ゾルダト「腹減ったな、帰るか」


アイフス「あんたねぇ…半壊した此処どうするつもり?」


リオ  「あっ」




ユリウス「へぇ…! そんな能力の使い方ができるんだ」


ニコ  「身体に負担は無いの?」


リオ  「少しばかりきついけど…みんなのためになるなら…ね。僕の作ったものって18時間たったら消せなくなる…だから本当の物体になってしまうんだ」


ハウザー「それで半壊した校舎を直しちゃうなんてな」


ニコ  「ハウザー君はリオの初めてのお友達だものね」


ハウザー「そ…そんな…もともと俺リオに酷い事言ってきたし」


ユリウス「…そういえば…ゾルダート君は?」


ニコ  「夜には出るって支度してたけど…」



アイフス「あ」


ニコ  「アイフィスさん!」


ゾルダト「よう、世話ンなったな」


ユリウス「も、もう行っちゃうの!?」


ゾルダト「…元々お前と再会してすぐに帰るつもりだった。そのつもりがどうだ、1ヶ月…このままいちまうと帰れなくなりそうなんでな」


ハウザー「ちょ、ちょっと待ってくれよ! 俺にも何か教えてくれよ! リオばっかり強くなるのはズルいって!」


ゾルダト「お前らライバルで強くなりゃいいだろ、ってか何てっきり馴染んでんだてめェ」


リオ  「ゾルダートさん」


ゾルダト「あン?」


リオ  「…また、会えますか?」


アイフス「…だって?」


ゾルダト「さあな」


ニコ  「また…いつでも来てください」


ユリウス「ゾルダート君! 一つだけ教えてほしい」


ゾルダト「…何だ?」


ユリウス「聞けていなかった…君は一体…どこから来たんだ…?」


ゾルダト「フン。どこから? 地獄の底からに決まってるだろうがよ」


ユリウス「………フフッ。そうか……ありがとう」


アイフス「…またね。お世話になりました」




ゾルダト「寒いなァ」


アイフス「…寒いわね。本当にあんな別れで良かったの?」


ゾルダト「…あァ。思い出しちまいそうでな」


アイフス「思い出す? 何を?」


ゾルダト「俺とあいつは友達じゃなくてよォ」


アイフス「うん…何?」


ゾルダト「…親友だったのかもなってなりかけちまッた…雨か?」


アイフス「全く降ってないわよ? ほんとね、雨かしら? 目元、濡れてるわよ」


ゾルダト「雨だろ」


アイフス「そうね。雨…ね…。一つ聞いてもいいかしら?」


ゾルダト「……何だ?」


アイフス「あんたのその剣の柄の飾り。耳につけるんじゃないの?」



----------------

ユリウス「みて、ゾルダート君! この耳飾り…! 綺麗でしょ!」


ゾルダト「俺はつけねぇよ、だっせェ」


ユリウス「じゃ、ここにつけようよ!」


ゾルダト「おい、やめろって! ったく…」




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