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三人の英雄  作者: C-na
-第一の世界線・弦- 【剣の誓い】 -主人公-ヴェランド=レグルス/エランド=レグルス
13/59

Episode of Soldat 悲しみの最果て 【ゾルダート編】

Episode of Soldat 【ゾルダート編】


ゾルダート・クロー (15) ♂

気が強く、村一番の喧嘩好き。

10歳のころから自分なりの稽古を始め

今では、将来立派な戦士になれるだろうと期待されている。


ユリウス・ティリエ  (15) ♂

ゾルダートと同じ村に住む銀髪の少年。

気が弱く、喧嘩も弱い。だけど、

いつも強くありたいと願うゾルダートに憧れている。


エリス・シーナ (23) ♀

魔王軍を追い続ける戦士。

剣術に長けており、ゾルダート、ヴェランド

二人に剣術を教えることに。

退魔の力を開放できておらず、未だに

己の非力さに悩み続けている。


ヨウ (?) ♂

冥界よりやってきた双子の弟。

平和が続いていた世界を奪うために現れる。

姉のクウには逆らえない。


クウ (?) ♀

冥界よりやってきた双子の姉。

小さい歳ではあるが考えは残酷で

人間に大きな憎しみを抱いている。


ヴェランド・レグルス (14) ♂

ゾルダートの村の少し離れた里に住む少年。

父親が退魔人で、稽古をつけてもらっており

腕にはそれなりの自信あり。だが、魔王軍との戦いにて

命を落としてしまう。


サタン (?) ♂

現世の征服に興味を示さない、少し変わった魔王。

魔王軍の城地下の先に広がっている異空間、

永久とこしえの闇と呼ばれる場所で眠り続けている。

自分の力を扱える、触媒として活かせる者を待ち続けている。


ドゥルガー (?) ♀

魔王ロキに忠誠を誓う魔族。

ロキが封印されし今の魔王軍の指揮を執る。



ゾルダ ♂:

ユリウ ♂:

エリス ♀:

ヨウ ♂:

クウ ♀:

ヴェラ/サタン ♂:

ドゥル ♀:


『』…マインド


---------


ユリウ 「ゾルダート君! さぼっちゃダメだよ!」


ゾルダ 「うるっせーなお前、なんなんだよ…」


ユリウ 「お母さんたちから薬草をとってこいって言われてるんだから」


ゾルダ 「しらねーよ、お前が行けばいいじゃねーか」


ユリウ 「ぼ…僕一人じゃさすがに重いから二人でって言われたんだよ?」


ゾルダ 「おふくろの言ってることなんてほっとけほっとけ、俺は修行で忙しいんだよ」


ユリウ 「……! そう言えばいつもゾルダート君は木剣もっけんを振り回してるけど、やっぱり剣士か何かになりたいの?」


ゾルダ 「当たり前だろ? 俺は世界一強い戦士になってやんだからよ」


ユリウ 「へぇ…! かっこいいな! なれるよ! ゾルダート君なら!」



ゾルダ 『俺にこんなに絡んでくる奴は初だった。俺は1人が好きで、村の同い年の奴らと遊ぶことも無かったどころか、周りの奴は俺を避けていた。理由はわからない、だけど目つきの悪さやオーラが人を退けているのは自覚していた』


(1年前)


ユリウ 「…ど…どうして魔獣が湖に……いるんだ……ま…まずい…僕…弱いんだってば……! うわぁぁぁぁ、助けて!」



ゾルダ 「かぁっ!」



ユリウ 「……? 助けて…くれた…の? だ…誰? 君は」


ゾルダ 「自分の身くらい自分で守れねーのかよ…? あ? 俺はゾルダート、二度は言わねぇからな。覚えとけよ、ゾルダート・クローだ」


ユリウ 「ははっ、2回言ってるよ。そうだね…僕は弱いから。危ないところを助けてくれてありがとう、僕はユリウス・ティリエ、どうして助けてくれたの…?」


ゾルダ 「危ねぇやつを助けるのに理由もクソもあるかよ、じゃあな」


ユリウ 「ちょ、ちょっと待ってよ!」


ゾルダ 「あぁ? なんだってんだよ」


ユリウ 「そこのダーヤ村に住んでるんだよね?」


ゾルダ 「それがどうかしたのかよ…?」


ユリウ 「僕と同じだよ! これからよろしく!」


ゾルダ 「あ…あぁ…?」



(現代)


ユリウ 「ゾルダート君! 村に、見たことない人が来てるよ!」


ゾルダ 「んだよ…ったく…………! 誰だ、あいつら…」




エリス 「えぇ…えぇ……。そうです、北に少し行ったところの里のフォーリエの里から……はい…、ヴェランド。」


ヴェラ 「は…はい…よろしくおねがいします…」


エリス 「……! 君たち」


ユリウ 「ゾルダート君、僕たちのことみたいだよ」


ゾルダ 「ったく……なんだよ、アンタ」


エリス 「この子、フォーリエの里を襲われてここに避難してきた子なの。同じくらいの年みたいだし、仲良くしてあげてくれないかしら?」


ユリウ 「! だって、ゾルダート君!」


ゾルダ 「お前、名前は?」


ヴェラ 「ぼ、僕は…ヴェランド・レグルスだ」


ユリウ 「ヴェランド君だね、よろしく!」




エリス 「どう? ヴェランド、ゾルダート達と仲良くなれた?」


ヴェラ 「あ…あんまり…です……どうやって打ち解ければいいのか…わからなくて…」


エリス 「そう……なら…ゾルダートと一度手合せてしてみればいいわ」


ヴェラ 「で…でも、喧嘩したら……」


エリス 「それは里の子供たち相手だったらの話…でしょ? 心配ない、あの子ならあなたをきっと楽しくさせてくれる」




ユリウ 「エリスさん、どっちが勝つと思いますか?」


エリス 「そうね…ヴェランドも里に居た時からお父様に稽古をつけてもらっていたみたいだから……ユリウスはどう思っているの?」


ユリウ 「僕はどっちも応援しています!」


エリス 「そう…! あなたはいいの?」


ユリウ 「僕、闘うのとか…苦手で…ははっ」




ゾルダ 「ヴェランド、1度お前とやってみたいなって思ってたんだ」


ヴェラ 「……僕もだ、ゾルダート。はっ!」


ゾルダ 「うぉッと! ッハ、やるな! せやっ!」


ヴェラ 「何ッ! ぐっ……重い…!」


ゾルダ 「どりゃぁぁぁぁぁっ!」


ヴェラ 「うぉぉぉぉぉっ!」




ユリウ 「……もう1時間もやってるよ…すごいなぁ…」


エリス 「どっちも引かないわね……どこにあんな体力があるのかしら…」




ヨウ 「姉さん、あのエリス・シーナって女がこの時代の今の最強の戦士みたいだよ? さっさと倒しちゃおうよ」


クウ 「馬鹿ね、ヨウ。漁夫の利って言葉を知ってる? 今現世は、魔王軍の勢力も広がりつつある。変に手を出したら魔族とも戦わなきゃいけなくなってしまうでしょ?」


ヨウ 「そっか、それもそうだね…人間がどう出るのか見ていよう」




ユリウ 「大変だ! 魔王軍の奴らが村まで来たよ!」


ゾルダ 「何だと…!? こんな夜遅くに! なんだってんだ!」


エリス 「私が片づけるから、あなたたちは隠れているのよ!」


ヴェラ 「そうは行きません…! 僕の里を襲った奴らが来てるのに、何もできないなんて…!」


エリス 「いくら私がこの3ヶ月あなたたちに剣術を教えたからと言って、いきなり実戦に活かせる保証はないのよ」


ゾルダ 「こんだけ来てるのに、エリスだけじゃ手に余るだろ! それでエリスが死んだらどうすんだ!」


ユリウ 「そ、そんな言い方ないよゾルダート君、ヴェランド君!」


ゾルダ 「うるせぇ! お前は戦わねぇんだから関係ないだろうが!」


ユリウ 「っ……ごめん……」


ヴェラ 「エリス! 僕やゾルダートも戦います…!」


ゾルダ 「エリスが許さなくても俺は勝手にやるからな……! どけっ!」


エリス 「待ちなさい! ユリウス、大丈夫…?」


ユリウ 「うん…僕は大丈夫だよ…ゾルダート君の言うとおりだから…」




ゾルダ 「でぇぇぇやぁァッ! チッ…多すぎんだろが!」


ヴェラ 「やはり魔術が扱えないと…無理か…!」


ゾルダ 「魔術なんて…使えなくても…なぁっ! ぜぇぇやっ!」


ヴェラ 「…そうだ…! 僕は里を襲ったこいつらを許しはしない! はっ!」


エリス 「二人とも! あまり勧めたくなかったけど…魔術を試しなさい! 村が囲まれている今の状況で剣術だけで一掃するのは無理があるわ!」


ゾルダ 「……魔術……んなの試したこともねぇって!」


ユリウ 「ゾルダート君! 魔術は心臓の音が聞こえるんじゃないかってぐらいに体を落ち着かせるんだ! 自然と体を巡る魔力を掴む事ができる!」


ゾルダ 「ユリウス! お前どうして外に! 隠れてろって言っただろうが!」


ヴェラ 「試すしかない……! くらえ………うぉぉぉぁぁぁぁっ!」


エリス 「! 成功した!? やはり、あの子達はただの原石じゃない…!」


ユリウ 「今だ! ゾルダート君!」


ゾルダ 「うるせぇ! 言われなくても……やってやる………そぉぉらぁぁぁァァァッ!」


ヴェラ 「! 凄まじいな…! すごいじゃないかゾルダート!」


ゾルダ 「当たり前だ…! 俺を舐めてもらっちゃ困るぜ…!」


エリス 「いいわ、形勢逆転よ…!」


ドゥル 「何がだ?」


ゾルダ 「誰だ…お前……!? ……おい…! ヴェランド……!」


ヴェラ 「っぐ……ぅっ……はっ………」


ドゥル 「ロキ様がいない魔王軍とて私が指揮をとればそう脆い物でもない。アハハッ」


ユリウ 「ヴェランド君……!?」


エリス 「待ちなさい! ドゥルガー!」


ドゥル 「ついて来れるならついて来るがいい」


ゾルダ 「待てゴラァァァァツ! ……っ……消えやがった…! なんだあの女…!」




ユリウ 「村の周りの魔族はみんないなくなったみたいだよ……そんなことより……!」


ヴェラ 「うっ……ぐ…ぅ…っあっ……」


ゾルダ 「エリス! 早く治してやってくれよ!」


エリス 「………無理よ………」


ゾルダ 「どうしてだよ、なぁっ! おい!」


エリス 「ドゥルガーの刃には超猛毒が忍ばせてあるの…。その猛毒はどれだけ治療魔術が達者であろうと消えることは無い………」


ユリウ 「そ……そんな……じゃ…じゃあ……」


エリス 「………残念だけど……手遅れよ………くっ……」


ヴェラ 「っ……ぅ……ぁ………ゾルダ……-ト……」


ゾルダ 「あぁ!? なんだよ……! ……なんだってんだよ!」


ヴェラ 「僕の………かわり………に……まおう……ぐ……を……」


ゾルダ 「魔王軍が……なんだよ! オイ…! オイ! 起きろよ!」


エリス 「ゾルダート…!」


ユリウ 「ゾルダート君……!」


ゾルダ 「畜生ォォォォォォォォァァァァッ!」




ヨウ 「ヴェランド・レグルス、死んじゃったみたいだね」


クウ 「そうね、このまま魔王軍が勝ったら私たちがわざわざ殺しに行くことないから楽でいいんだけど」


ヨウ 「あれ…? 何か揉めてるみたいだよ? もう少し先の未来に行ってみようよ」




ユリウ 「どこに行くの? ゾルダート君。エリスもまだ寝てるし、村のみんなも寝てるよ…?」


ゾルダ 「どけよ……魔王軍をぶっ潰しに行くんだろうが」


ユリウ 「…! ダメだよ。エリスもいないのに、ゾルダート君だけじゃ」


ゾルダ 「なんなんだよ……!」


ユリウ 「何が…? 何を怒ってるの…? 僕はゾルダート君が心配で…」


ゾルダ 「お前がだよ! ろくに戦ったこともねぇ癖に、都合のいい時だけいちいち口を挟みやがって! ふざけんじゃねぇぞ!」


ユリウ 「そう……だね…その通りだよ…僕も…いつも見てるばかりで何もできてないのは事実だ…。ゾルダート君の言うとおりだよ…」


ゾルダ 「なら止めるんじゃねぇよ!」


ユリウ 「止めるよ…僕は。もし行くなら僕も連れて行って」


ゾルダ 「黙れ! 弱ぇくせに邪魔ばっかしてんじゃねぇ! 目の前でヴェランドがやられたのにじっとしてるわけにはいかねぇって言ってんだろうが!」


ユリウ 「じゃあ…僕と……戦って、ゾルダート君が勝ったら…ここを通すよ」


ゾルダ 「お前……舐めてるのかよ…俺を?」


ユリウ 「舐めてなんかいないよ、ゾルダート君は僕よりずっと強いし、ずっとたくましくて。なにより僕よりずっと勇敢だ」


ゾルダ 「本気で言ってんのか」


ユリウ 「もちろんだよ、僕は本気だ。ゾルダート君、僕と戦って、君が勝ったら行けばいい」




エリス 「二人は…どこに……! ………あれは…! 何をやっているの…?」




ユリウ 「ぐっ………ぅ…っ…かはっ………」


ゾルダ 「わかっただろ、お前は弱いんだよ……もう邪魔すんじゃねぇよ!」


ユリウ 「まだ……だ……よ……げほっ…げほっ……! まだまだだ!」


ゾルダ 「チッ………いい加減にしろ…! クソがっ!」


ユリウ 「う゛ぁぁっ! ………っ…………く……そ……どこに……行くのさ…!」


ゾルダ 「……! なにが…何が言いたいんだよ!」


ユリウ 「ま…だ……僕…は…まけ…て………ない…だろ……」



エリス 「何をしてるの! あなたたち!」



ゾルダ 「! エリス……」


ユリウ 「こ………来ないで…!」


エリス 「っ!」


ユリウ 「これ……は……僕…の……戦いだ…!」


エリス 「ユリウス……」




ユリウ 「がはっ……! ぅ……あ゛…ぁ…」


ゾルダ 「はぁっ…はぁっ……」


ユリウ 「だか…………ら………まだ…終わって……ない……!」


ゾルダ 「もう……もう立たないでくれよ! どうして立つんだよ! ここまで殴られてもまだ気がすまねぇのかよ! お前は弱いんだよ! わかるか!」


ユリウ 「わか……って…るよ……! はぁっ…はぁっ…僕は…自分が弱いことぐらい……わかってるよ…!」


ゾルダ 「ならもう邪魔すんじゃねぇよォォァッ! これ以上…これ以上……お前の事を殴りたくねぇんだって言ってんだよ!」(泣き叫ぶように)


ユリウ 「ぐぅぁぁっ! ぅ……は……っ……僕だって………強く……なりたい……!」


ゾルダ 「やめてくれよ…やめてくれって言ってんだろ! なぁ! ユリウス!」


ユリウ 「いつも…護られて……僕は……思ったんだ……ゾルダート君の…背中を預けてもらえる……ような……男に……なるんだ…って…!」


ゾルダ 「ぅっ……くっ……ぐすっ…」


ユリウ 「自分の非力さを…認められない人間に…強者になる資格なんて無いんだよ!!! ……だから……僕……はっ……」


エリス 「ユリウス…! …………良かった……気を失ってるだけね……」


ゾルダ 「…………っ……」


エリス 「これでも、行くの? ユリウスを…弱いと、言うつもり?」


ゾルダ 「…………弱ぇよ……」


エリス 「……ゾルダート?」


ゾルダ 「……俺が弱いって話だよ……ぐすっ……うっ……ユリウスの方が…何倍も強ぇよ……」


エリス 「焦ることは無いわ。最初から、ユリウスともう一度稽古をしましょう」




ユリウ 「ヴェランド君が亡くなってもう10年だね、ゾルダート君」


ゾルダ 「あぁ。あれ以来魔王軍と何度もやりあったが…あの女は出てこねぇ」


ユリウ 「行こう、ゾルダート君。僕たちから行ってやるんだ」


ゾルダ 「エリスは?」


ユリウ 「フォーリエの里の方の防衛に行ってるみたいだよ。大丈夫、成長した僕たちならやれるよ」


ゾルダ 「……あぁ」




(魔王城にて)

(この先戦いながら話している感じでお願いします)


ユリウ 「うん! 手ごたえはある…! 良い調子だね、ゾルダート君! はぁっ!」


ゾルダ 「だな…! うおおぉぁぁぁぁっ!」


ユリウ 「よくも……まぁっ! そんなに大きな剣を扱えるね…!」


ゾルダ 「こんなもん……なぁ! 軽いもんだってんだ…よ!」


ユリウ 「よし……! あらかた片付いたね…」


ドゥル 「そこだ」


ユリウ 「ゾルダート君! 危ない!」


ゾルダ 「あ? オイッ!」


ドゥル 「私が狙ったのは大剣のお前だったんだがな? まぁいい」


ユリウ 「ぅ……っ……は……ぐ……」


ドゥル 「フフッ…城の奥で待っているぞ、小僧」


ゾルダ 「オイ! 待ちやがれ!! オイ!」




ユリウ 「ゾルダー……ト……君……」


ゾルダ 「おい……しっかりしろよ……なぁ…ユリウス…!」


ユリウ 「僕…ね……もう……ダメ…みたい…だ…」


ゾルダ 「それ以上喋んじゃねぇ! 死んじまうって言ってるだろうが!」


ユリウ 「心配…して…くれるんだ…ね…。ありが…とう……」


ゾルダ 「何今から死ぬみたいなこと言ってんだよ! なァ! オイ!」


ユリウ 「あら…ためて…友達の…良さに…気づけたんだ……ゾルダート…君の…おかげで…」


ゾルダ 「なんで俺を庇った……!」


ユリウ 「危ない人を…助ける…のに…理由も…クソも…ない…じゃ…ないか……君の様な……人に…出会えて……僕は…最高に…嬉しい…よ…」


ゾルダ 「…俺が…俺が治療魔術を使えないのは知ってるだろ…! もうそれいじょう早死にするような真似するんじゃねぇ!」


ユリウ 「ゾルダート君なら…きっと……世界を……変えて…くれる……僕と……ヴェランド……君の…かた…き…を…と……ってほ……」


ゾルダ 「…っ! オイ……逝くな……オイ!! 何寝たふりしてんだよ……なぁ……! オイ! ………逝くなァァァァァァァァァッ!」





ヨウ 「ちょうどいい具合に弱ってるみたいだね」


クウ 「そうね、今なら魔族も少なくて狙いやすいわ」


エリス 「何…! 貴方達!」


ヨウ 「冥界から来た、ヨウとクウだよ。僕がヨウで、こっちがクウ」


クウ 「現世を私たちの物にするため、後で面倒なことにならないよう、力ある人間を消してるの」


エリス 「それで……私に用がある、そう言いたいのね…」


ヨウ 「賢いじゃないか、なら話は早そうだ。それっ!」


エリス 「っ!? なんて速さ…一瞬でも遅れていたら…私の首が……。なるほど、どうやら本気みたいね……」


クウ 「何を言ってるのかしら? こんなのまだまだ序の口に過ぎないわよ」




ゾルダ 「何処だァァァァァァァァァァァァァッ! 出てきやがれェェェェァッ!」


ドゥル 「アハハハハハッ…! 怒りで気が変になっているようだな?」


ゾルダ 「女ァッ! 死ねェェェッ!」


ドゥル 「そんな力任せの一撃が通ると思うのか?」


ゾルダ 「はぁっ…はぁっ…でえやァァァァァァァッ!」


ドゥル 「そんなにも友を殺されたのが憎いか? フフフッ…だが、甘い」


ゾルダ 「ぐぁぁぁぁっ! クソがァァァァァァッ!」


ドゥル 「10年経ってどれだけ力の差が埋まったかと思えば…埋まるどころか変わってすらいないようだな? 弱すぎるな?」


ゾルダ 「どうして……どうしてこの俺がァァァァァァァッ! てめぇを殺す!」


ドゥル 「どれだけ無駄なあがきがよくわかるだろう…? 私に遊んでもらえることを感謝するんだな」




エリス 「…くっ…なんて強さなの……まるで歯が立たない…!」


ヨウ 「よく耐えた方だと思うよ、僕は」


クウ 「どれだけ耐えたところで、死ぬのはあなたなんだけどね」


エリス 「ふふっ……ピンチの時こそ、笑ってしまうものなのかしら……? 私はまだ…ここで死ぬ気は無い!」




ゾルダ 「ぅ…あ……あぐっ……っは……」


ドゥル 「弱い。弱すぎる」


ゾルダ 「クソ……が……」


ドゥル 「非力さに嫌気がさすだろう? 永久の闇に眠るサタンにでも頼ってみればどうだ? アハハハッ! 喜べ、私が場所に案内してやろう? ほらっ!」


ゾルダ 「あ゛あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」(吹き飛ばされる)


ドゥル 「…さすがに死んだだろう。フン、所詮は人間か…」




サタン 「私に何の用だ、小僧」


ゾルダ 「誰だ……おま…え…」


サタン 「醜い姿だな? 弱者よ」


ゾルダ 「なん……だと…!」


サタン 「力が無いから負ける、それが単純な真実である」


ゾルダ 「…………畜生…! 畜生畜生畜生畜生! 俺が……弱いから……こんな事に……ヴェランド……ユリウス……!」


サタン 「貴様が私の力を扱える、ここに来たというのはそういう事か?」


ゾルダ 「………あ? 何の…話だよ……! 化け物が」


サタン 「私の力を扱える器ならば…、貴様は今より何倍も何十倍も強くなることができる…だが、貴様の一番大切な何かと引き換えに…契約することになるがな。無論、器量も問われる」


ゾルダ 「お前……と……契約…すれば……勝てるのか……? あいつに…」


サタン 「貴様が私を扱う事が出来なければ、ただただ負ける。それだけだ」


ゾルダ 「………よこせ………てめぇの……力を………てめぇの力をよこせェェェェェェェェェェッッ!」


サタン 「面白い、では貴様の最も大事なものをいただくとしよう………ほう……親友との思い出が大事とは………」


ゾルダ 「待てっ! それだけはやめ-」


サタン 「契約成立だ」




ドゥル 「随分と暴れてくれたものだな、城が半壊だ」


ゾルダ 「なーにやってんだヨ?」


ドゥル 「!? 生きていたのか…いや……雰囲気も先ほどとは違う…!」


ゾルダ 「そこに倒れてる銀髪は誰だァオイ? 何か忘れちまったみてーだがヨ、暴れさせてもらうゼ…?」


ドゥル 「フン、ここで暴れるのもかまわない…が…フォーリエの里の方は…どうなっただろうな?」


ゾルダ 「! エリスがいンのか…! チッ…テメェをぶっ殺すのは後だ…じゃあなァ!」


ドゥル 「まさか……本当にサタンを…!?」




ヨウ 「随分と手こずらせてくれたみたいだけど、僕たちの勝ちだね」


クウ 「これで残すところ時間軸は2つ……行くわよ、ヨウ」


ヨウ 「そうだね、姉さん」


ゾルダ 「待てよ……お前らァァァァァァァァッ!」


クウ 「誰?」


ゾルダ 「オイ…エリス…! しっかりしろヨ! なにやってんだ! オイ!」


ヨウ 「あぁ、その女ならもう起きないよ、魔力の「ま」の字ももう無いからね」


ゾルダ 「……エリス…! エリス! ……なんで……なんでお前ラ……みんな死んじまうんだヨォォォァァァァァァァァァッ!」


クウ 「あまり時間を無駄にしたくないの、なに? 相手してほしいの?」


ゾルダ 「…………許さねェぞ……」


ヨウ 「なら、さっさと決めちゃおうか! ほら、死ね! !? 受け止めた!?」


ゾルダ 「……どこ見て狙ってんダ…? オイコラ…ガキ共…」


クウ 「なにやってるのヨウ! 死になさい! はぁっ! !? 私も……受け止め…いや…掻き消した…!?」


ゾルダ 「俺を…本気で怒らせたナ…? 覚悟すんだナァ…?」


ヨウ 「なんだ…なんなんだお前は! 何者だ!」


ゾルダ 「あ? 俺は…………悪魔ダ」


ヨウ 「…!? うぐぅぁっ! 何だっ!?」


クウ 「大丈夫? ヨウ! きゃあぁぁぁっ!」


ゾルダ 「どこまでも追いかけてやんゾ……クソ野郎……次死ぬのは俺じゃねェ…お前らダ!」


クウ 「逃げるわよ! ヨウ! 弦の軸のヴェランド・レグルスとシーナ・レグルスを潰しに行くわ!」


ヨウ 「わかった、姉さん!」



ゾルダ 「待ちやがれェェェェェァァァァッ! ……ヴェランド? すでにあいつは死んでるはずダ……シーナ? 誰だ……!? クソッ…! 追うしかねェか! 待ってろよ…ガキ共!」




ドゥル 「アハハハハハッ! 燃えろ! 助けを乞うても無駄だ! もうこの世界を救う人間など誰もいない! 死ね人間! この世界は我ら魔王軍の為にあるのだ!」


エリス 『こうして、私たちが護ろうとした煌の時間軸の世界は終わりを迎えた』



Episode of Soldat



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