Eternal last Oath 前編 残された戦士、ヴェリス 【復活の魔王編】
ヴェリス=レグルス (20) ♀
エランドが姿を消して1年。今でも1人で家族で住んでいた小屋で待ち続ける。
冥界の刺客を破って以来戦っておらず、
本人も自覚しているが体がなまりつつある。
だが、エランドが不在の今回、世界の崩壊がかかった戦いの最後の希望として
立ち上がることを決意する。
ルシファー (?) ♂
かつて、シーナに倒された魔王。
冥界の禁足地である絶罪塔に閉じ込められていたが、
1年前の戦いにより冥界の世界のバランスが不安定になっていたところを突き
冥界王のハーデスを殺し、現世に戻ってきた。
そして再び、大量の悪魔を召喚し現世、冥界、天界をも染め上げていく。
復活の触媒にシーナの肉体を選び、これ以上に馴染む体は無いと気に入る。
カーリー (?) ♀
天界の聖牢に捕まっていたが、ルシファーの復活と同時に
牢をぶち破り脱出する。
ルシファーに忠実な僕であり、ただ一人ルシファーを愛する者でもある。
ルシファーには勝らずとも劣らない勢いの強さを秘めている。
ファダム=ギエッタ (20) ♂
ヴェリスと同じ騎士学園の卒業生。
学園時代は戦う様子を見せず、自らも戦いが好かないと
言っていたが、今回エランド不在の危機に奮起し
ヴェリスと共に闘う事を決意する。
レオニス=アードベッグ (22) ♂
4年前にエランドと雌雄を決した。
騎士学園最強の名前に恥じる事のない強さを持つ。
いつも一緒にいたエーベルを失い、
魔王軍を討ち破る事を決意する。
ゾルダート=クロー (27) ♂
別の時間軸からやってきたゾルダート。
1年前の戦いの後、元の時間軸に戻ろうか迷っていたが
しばらくこちらに身を置くことに決めた。
そして今回、魔王軍との戦いでルシファーに敗れる。
アイフィス=ラグナ (23) ♀
ゾルダートと同じく別の時間軸からやってきた。
ゾルダートが残るならと一緒にこちらに居たが、
カーリーと一戦を交え、魔力を吸い取られてしまう。
ヴェリ ♂:
ルシフ ♂:
カーリ ♀:
ファダ ♂:
レオニ ♂:
アイフ ♀:
ゾルダ ♂:
『』…マインド
-----------
ルシフ 「カーリー、さぁ。俺と来い」
カーリ 「………! ルシファー様…………!」
ルシフ 「俺達の知らぬ間に世界はすたれていた様だ。魔族のほとんどが息絶え、力を持たぬ魔族は人間すらを恐れている。再びこの俺が世界を手にするときが来た、力を貸してくれるな? カーリー」
カーリ 「もちろんでございます……。私をずっとそばに置いてくださいませ…ルシファー様…」
レオニ 「あぁぁぁクソっ! どうなってやがンだ!」
ファダ 「これは困ったね…レオニスさん、こっちの道もふさがれちゃってますよ…!」
レオニ 「地上にはほぼ姿を見せなくなったはずの魔獣がどうしてこんなにいやがる!」
ファダ 「それは俺にもわかんないっすけど……まさか、魔王軍が復活したって話…本当なんじゃないですか?」
レオニ 「ああ!? でぇやあぁ゛っ! …ふぅ……魔王軍だと? 魔王軍は俺達が生まれたころかそれより前に壊滅したんじゃ……かぁっ! …なかったのかよ!」(戦いながら話を進める感じ)
ファダ 「そう………っ! らしいっすけど…でも、話が噂されるタイミングと……はぁっ! ……ジャストすぎじゃないですか?」
レオニ 「…落ち着いて…話もできねぇじゃねぇかよ! あぁ、一体一体相手してたら日が暮れちまうぜ! 行くぞオラァァァァァァァ!」
ゾルダ 「なにシケた面してんだ、リス」
ヴェリ 「……いえ……。エランドが居なくなってもうまる1年経つんだな…って話です…」
アイフ 「帰ってこないわね……今頃…どこで何をしているのかしら…?」
ゾルダ 「………眼帯が戻ってきていない以上、死んだわけじゃねぇそいつはわかるだロ? リス」
ヴェリ 「それは……そうです…けど………」
アイフ 「エランド君を信じて待つしかないわ。エランド君は、ヴェリスちゃんを放っておいてどこかに行っちゃうような子じゃないと思うの」
ゾルダ 「どうだかなぁ、女見つけてたぶらかされてるだけかもヨ?」
アイフ 「ゾルダート」
ゾルダ 「へいへい。まぁ、なんだリス。お前の兄貴はきっと帰って来るさ」
ヴェリ 「はい……そうですよね……どこに行くんですか…?」
アイフ 「……ヴェリスちゃん、何があっても出てきちゃだめよ」
ゾルダ 「なんだ……この魔力……体に感じるだけで気が狂っちまいそうだ…」
ヴェリ 「…え…? え?」
アイフ 「家の外に……何か……いる……! 隠れているのよ、絶対に」
ヴェリ 「なら…私も…!」
ゾルダ 「リス。隠れてろ、いいな」
カーリ 「あら…わざわざ歓迎してくれるなんて…ありがたい話だわ」
アイフ 「…………ゾルダート」
ゾルダ 「どうした、漏らしそうってか?」
アイフ 「あら…女としてあまり言いたくはなかったけど…正直……漏らしそうよ」
ゾルダ 「だろうな、俺も今……すぐにでもこの場を去りてェ」
カーリ 「二人でこそこそ話してないで、私も混ぜてくれないかしら?」
アイフ 「そう…ね……本当にお話で済むなら、お話で終わりたいんだけど」
カーリ 「うーん……そうは行かないかしら…? 私がここに来た理由は魔王軍の復活をお知らせするためなのよ」
ヴェリ 『魔王軍の復活!? 魔王軍はお母さんが滅ぼしたって…』
ゾルダ 「ほーう…魔王軍の復活とはそりゃ悲しい報せなことだなァ」
カーリ 「私の元で動いていたことを忘れたとは言わせないわよ? ゾルダート」
ゾルダ 「まぁ確かに、ここの時代の俺はそうだったみたいだなァ…?」
アイフ 「……それで……何よ……お知らせって…もう…いいんじゃないの?」
カーリ 「いえいえ、せっかくだから魔王軍に入らないかって誘いに来たの」
アイフ 「お断りよ」
カーリ 「そう……なら…敵ね……大人しく……死になさい…!」
ゾルダ 「! アイフィス、後ろだ!」
アイフ 「!? 速い…! はあっ!」
カーリ 「結界術なんて使えたのね…? でも……」
ゾルダ 「敵はこいつだけじゃねェんだ! かぁっ! ぐぉぁっ!」
カーリ 「悪いけど、2人がかりなら私を倒せるなんて思ってないでしょうね? フフッ……結界なんて…こうして…あげる……」
ヴェリ 『結界を…手で……破ってる…!?』
アイフ 「そんな…! うそ! 結界を手で…!? 消し飛ばないはずないのに!」
カーリ 「言っておくけど、あなたの結界なんて街で売られてるチーズとなんら変わらない薄さなの…だから…」
アイフ 「…ぇ…? っ…ぐ……ぅぁ……ゲホッ………」
ゾルダ 「アイフィスッー!!」
カーリ 「その魔力……いただくわね………」
アイフ 「ぅ…っ…ぁぁ……くっ……ぁ」
カーリ 「ごちそう様……ゾルダートはどうする? 私と戦う?」
ゾルダ 「…………」
カーリ 「どうやら返事する元気も無いようね…また改めてお話に来るわ」
ヴェリ 「……あの…ゾルダート…さん……」
ゾルダ 「…………あれを見て……何を思った…?」
ヴェリ 「相手の人が…強いんだ…って…思いました……相手が強いから…敵わないんだ…って…」
ゾルダ 「……正確には…敵わなかったんじゃない……何もできなかったんだ……」
ヴェリ 「……え…?」
ゾルダ 「………あいつは………本当にヤベぇ野郎なんだ……」
ヴェリ 「……何者…なんですか…?」
ゾルダ 「あいつの名前は…カーリー。魔界の暴滅の女神だ……」
ヴェリ 「暴滅…の…女神…?」
ゾルダ 「なに……俺が恐れてるのは…カーリーが現れたことじゃねぇ…」
ヴェリ 「…一体…何を…恐れているんですか…?」
ゾルダ 「あいつが……カーリーが現れたという事は……ルシファーが復活したという事だ……!」
レオニ 「冗談キツいぜ…!? こいつら…一体どれだけ沸いてきやがる!」
ファダ 「学園もマジでヤバいっすよ! 生徒の大半がやられてる…!」
レオニ 「引け! 一旦逃げるぞ!」
ルシフ 「帰ったか、カーリー」
カーリ 「はい…ルシファー様! その姿は……?」
ルシフ 「20年ほど前に俺を倒したシーナという女の肉体だ。俺が魔力を使う上でこの上なく触媒としての価値がある」
カーリ 「なるほど……お美しゅうございます、ルシファー様」
ルシフ 「この女が元々美しいのだ。カーリー、お前には敵わないがな」
カーリ 「……! ありがとうございます…!」
アイフ 「こ…ここは…」
ゾルダ 「目ェ覚めたか」
アイフ 「え…ええ…。ヴェリスちゃんは?」
ゾルダ 「当たりに透結界を張らせてる。魔物から見つからない様にってなァ」
アイフ 「そう……。私…どうなったの…?」
ゾルダ 「胸を貫かれて、心核を持ってかれた。間違っても魔力を使おうなんてすんじゃねェ、死ぬぞ」
アイフ 「……私も…もうただの人間と変わらないってわけね」
ゾルダ 「………この時代に来なかったらって、後悔してるか?」
アイフ 「いいえ。確かに、悔やまれることも結構あったけど、あんたやエランド君達に会えたんだもの、得たものの方が大きいわ」
ゾルダ 「そうかよ…。俺は……正直…来ねぇほうが良かったんじゃないかって思ってたりしてらぁ」
アイフ 「それが…普通よ……まさか……ルシファーが復活するなんて誰も考えてなかったんだもの……」
ファダ 「レオニスさん、ありましたよ」
レオニ 「あ? なんだこの野郎」
ファダ 「今回の魔獣の大量発生の事をいろいろ調べたんですよ、学園の資料室で。まぁ、学園も魔獣だらけになっちゃいましたけどね……」
レオニ 「……何がわかったんだ?」
ファダ 「魔獣の眼光の色で親玉が誰かがわかるみたいです。20年前…資料に書いてある内容だとルシファーっていう魔王が世の中を支配してたみたいで、眼光は赤色みたいです」
レオニ 「さっきの魔獣たちの目は赤色だった…ってことは……」
ファダ 「今回の親玉は…ルシファーって事になります……」
レオニ 「待て、さっきも話になったがそもそも俺が2歳かそこらの時にはもうルシファーは死んでたはずだ!」
ファダ 「……レオニスさん、レグルスって名前覚えてますか?」
レオニ 「忘れるわけねぇだろうが」
ファダ 「その…20年くらい前に魔王軍をやぶった人間ってのが…シーナ=レグルスって名前なんですよ」
レオニ 「…!? 何…」
ファダ 「……あいつらに確かめる必要があるんじゃないですか…?」
レオニ 「……仕方ねぇ、行くぞ」
ヴェリ 「はぁっ…はぁっ…………」(走ってる感じで)
アイフ 「どうやって奴を倒すか…」
ヴェリ 「大変です……!」
ゾルダ 「どうしたリス」
ヴェリ 「死んだはずの……私のお母さんが……そこの…山のふもとの町で暴れてるんです……!」
ゾルダ 「はぁ!? 何言ってやがる!」
ヴェリ 「ほ…本当なんです! 見間違いのはずはありません…!」
アイフ 「行ってみるしかないわ…!」
ルシフ 「フフフハハハハハハハハ! 逃げ惑え!」
ヴェリ 「あれです…!」
ゾルダ 「…!? いや……あれは…お前の親じゃねぇ……!」
アイフ 「……まさ…か……ほん…とに……」
ヴェリ 「アイフィスさん…? ゾルダートさん…!? どうしたんですか!」
ルシフ 「おぉ……お前たちか…久しいな? 元気にしていたか? ゾルダート、アイフィス」
ヴェリ 「お母さん……? 何を…言ってるの…?」
ゾルダ 「リス! あれはお前の親じゃねぇって言ってるだろうが! あいつは……ルシファーだ……」
ルシフ 「ほう…すこし会わないうちにえらく態度がデカくなったな?」
ヴェリ 「ルシ…ファー…?」
アイフ 「ヴェリス…ちゃん……逃げなさい………今ここで…全滅したら…本当に……すべてが終わってしまう……!」
ゾルダ 「………リューリルに拘束されてるって…聞いてたんだがなァ……? どうやって抜け出しやがった……!」
ルシフ 「せっかくの再会だ、お前の質問に答えてやろう。俺は確かに20年ほど前に倒された。そして冥界に引き渡され……リューリルに監禁された」
ゾルダ 「…冥界王がお前を逃がすわけねぇだろ……!? どうやって出てきやがった!」
アイフ 「落ち着いてゾルダート…! 変に触発したら余計に危険なのよ…!」
ルシフ 「1年前に冥界と現世で騒動があっただろう? あの時に、冥界自体が時空間とのねじれで爆滅しかけた。あの時に門番がお留守になったんだ、そう……そこの小娘が戦ったあの双子たちが生んだねじれだ」
ヴェリ 「私…!? ヨウとクウ…!?」
ゾルダ 「あのガキ共……そんな面倒なことまで犯してやがったのか…!」
ルシフ 「そして俺は冥界を出ることに成功し、シーナ=レグルスと呼ばれるこの肉体をいただくことにした。まさか墓に綺麗に埋められているとは。ここまで使い勝手の良い肉体は無い」
ヴェリ 「……お母さんの…お母さんの体を返して……返してよ…!」
ゾルダ 「………はっ…認めたくねぇが……やっぱ化け物だ……こいつは……」
ルシフ 「もう一度、この世界を俺のものにする。わかりやすく言ってやろうか? お前たちが住まう場所はもう無い」
アイフ 「………ゾルダート!」
ゾルダ 「わかってらァ! 逃げろ! 全力で! 俺が時間を稼いでやるが10秒も持たねぇ! 速く行け!」
ヴェリ 「え…!? ゾルダートさん!」
ゾルダ 「行けって言ったら行けェェェェェェェェェェェェェッ!」
アイフ 「必ず生きて、倒して…!」
ヴェリ 「……ぐすっ……ごめん…なさい…!」(走りながら)
ルシフ 「10秒も持たない? フフフハハハハハハッ、1秒の間違い…いや? そもそもお前じゃ時間稼ぎでさえ役不足だ」
ゾルダ 「ぐっぅぉっ………かはっ………生き……ろ……リ…………ス……」
アイフ 「久しぶりね…ルシファー……あえて嬉しい……って…言いたいところだけど………ほんと不運だわ……」
ルシフ 「俺に殺さるのが不運なのか? むしろ光栄に思え、じゃあな」
アイフ 「いいえ………不運なのは……あなたの方-」
ヴェリ 『エランド、どこにいるの……? いつもみたいに…助けてよ……』
ゾルダ 「ぅ……っ…ぁ……」
カーリ 「まだ、生きていますよ。ルシファー様」
ルシフ 「そうだな、せっかくだ。お前の魔力を全て貰おう」
カーリ 「人間を殺す度魔力の絶対量が上がる……まさに王に相応しい能力です」
ルシフ 「ゾルダート、お前で俺が殺した人間の数は36億人目だ」
カーリ 「36億の人間の魔力がルシファー様の中に……あぁ……素晴らしい…どこまでもお供させてください…」
ルシフ 「カーリー」
カーリ 「はい、ルシファー様」
ルシフ 「さっきの逃げた小娘を連れてこい、あいつも俺が吸う」
カーリ 「お任せくださいませ、では」
ルシフ 「間違いない、あの小娘は魔族の血を引いた…いや…魔龍族の血を薄くではあるが引いている……。かなり上物の魔力だ」
ヴェリ 「………はぁっ……はぁっ…もう…動け……ない……」
カーリ 「動けないなら好都合ね」
ヴェリ 「う…そ!? 高速で飛んで来たのに………」
カーリ 「ルシファー様があなたの魔力を欲しがっているの、一緒に来てもらえる?」
ヴェリ 「嫌…嫌よ…!」
カーリ 「なら……力ずくで連れて行くまでよ…!」
ヴェリ 『!? 後ろを…とられた! まずい…やられちゃう! 助けて……エランド…!』
カーリ 「…誰? 邪魔をしないでくれるかしら?」
ヴェリ 「あ…れ? 生きて…る……私……え?」
ファダ 「危なかったねー、ヴェリスちゃん」
レオニ 「こっちもバテてるってのに世話焼かしてんじゃねぇ」
ヴェリ 「れ…レオニスさん…? ふぁ…ファダム君!」
ファダ 「いろいろとヤバい事が起こってるみたいだね、俺達も気づいてはいたよ。まぁまさか世界の危機だとは思わなかったけど」
カーリ 「まぁ…かまわないわ。獲物が増えただけだもの」
レオニ 「ファダム、お前…行けるか? 俺は正直魔力が今ので底を着いちまってなぁ」
ファダ 「そっかぁ…やっぱ俺ですよね~…了解っす、時間稼ぐんで」
ヴェリ 「ファダム君! その女の人は強すぎる! 危険だよ!」
レオニ 「お前にはいろいろと聞かなきゃならねぇんだ、逃げるぞヴェリス」
ファダ 「じゃ、レオニスさん。また後で合流ですよね」
レオニ 「あぁ、死ぬんじゃねぇぞ」
ヴェリ 「ファダム君!…………お願い……死なないで…」
カーリ 「あなたのせいで逃がしちゃったじゃない」
ファダ 「んー……。まぁ、ヴェリスちゃんに死んでもらっては困るんだ俺達。何て言っても、魔王軍を倒すための希望だからね」
カーリ 「ふふっ、口が立つのね。もしかして…ルシファー様を倒せるとでも思ってるの?」
ファダ 「さぁね、そんなこと言われても俺にはわかんないかな?」
カーリ 「今そこをどけば、生かしてあげるけど」
ファダ 「なるほど。どかないし、死ぬつもりもない」
カーリ 「そう……残念ね、戦わざるを得ない……か……」
ファダ 「俺も戦うのは本当は嫌なんだよね、だけどまぁ………やるときはやるってこと、見せとかないと。誰も見てないけどさ」
カーリ 「………! 後ろ、空いてるわよ? って…あれ!?」
ファダ 「後ろ、空いてるみたいだけど? オウム返しってこういうことなのかな?」
カーリ 「っ…! あまり…私を怒らせない方がいいわよ…次は……必ずしとめる…! はぁっ!」
ファダ 「あまり怒り過ぎない方がいいよ…? 次は……必ず…俺が反撃するから」
カーリ 「また後ろを!? どういう…こと………あなたの魔力の絶対値は…明らかに私の数倍下………なのに……なぜ動きが……」
ファダ 「俺弱いんだよね、戦うと」
カーリ 「何が……言いたいの?」
ファダ 「だから、動きだけは鍛えてきたんだよ。かけっこならだれにも負けないって話」
カーリ 「……そう…………私も本気を出そうかしら…あまり……この姿は好きじゃないのよ…………人に見せ辛いから……」
ファダ 「腕が……6本…!? ……なるほど……カーリーは腕が複数本あるって…どこかで聞いたな……うぐぅぁっ!」
カーリ 「かわいそうね、本気を出させなければいい勝負になってたのに」
ファダ 「そろそろ………いい頃か………時間稼ぎも……」
カーリ 「時間稼ぎ? この程度で魔力が尽きたあの子達がどこまで移動できると思っているの?」
ファダ 「俺の技の準備だ……! うぉぉぉぉぉァァッ!」
カーリ 「これは……転送魔術!? しまった!」
ファダ 「………行ったか………一応世界の裏側ぐらいまで遠く飛ばしたけど………いつ追いかけてくるか………よし…とりあえずは…合流だ…」
レオニ 「おい、エランドはどうした」
ヴェリ 「エランドは……1年前から行方不明です……」
レオニ 「何だと…!? ………こんな大事な時に…」
ヴェリ 「今……何が起こってるんですか……!?」
ファダ 「世界が…終わろうとしている……」
ヴェリ 「ファダム君! 無事だったの…!?」
ファダ 「あぁ……。よいしょっと………」
レオニ 「俺達も完全に把握してるわけじゃねぇが……魔王軍が復活した。親玉はルシファーって野郎だ」
ファダ 「ヴェリスちゃんのお母さんが昔倒したはずだったんだけど…何が起こったのかわからないけど、復活したみたいだ」
ヴェリ 「……ゾルダートさんが言ってた…冥界のなんとかって所で…閉じ込められてたんだけど……番人を殺して…脱出したとか……」
レオニ 「おいおい…冥界の番人ってまさか…」
ファダ 「…ハーデスで間違いないよ、多分ね」
ヴェリ 「そして…私のお母さんの肉体に入っています……もっとも力を振るいやすいそうです……」
レオニ 「……どう…すんだよ……どうやってそのルシファーを仕留めるんだ…」
ヴェリ 「無理……です……」
ファダ 「……どうして無理なんだ」
ヴェリ 「ルシファーは……魔力をどんどんと吸い取って行きます……世界の人の減り方から見て恐らく……30億はもう殺されました……」
ファダ 「さ…30億!? ちょっと待ってくれ……それって…」
レオニ 「30億の人間の魔力を手に入れてるって事だよな…」
ヴェリ 「…………エランドしか……エランドが居たら…きっと…」
レオニ 「………居ない奴の名前を呼んだって仕方ねぇだろ」
ファダ 「レオニスさん、そんな言い方……」
レオニ 「事実だろうが…! 今もこうしている間にすげぇ数の人間が殺されてるってのに……エランドは姿すら見せねぇじゃねぇか!」
ヴェリ 「そんな…言い方ないじゃないですか……! エランドは来てくれます…! 絶対に…!」
レオニ 「現実を見ろ! いつまでそんな夢見てんだ! 居ないもんは居ない! 来ない救いを待って死にたいってのか!」
ファダ 「レオニスさん! ヴェリスちゃんの身にもなってくださいよ」
ヴェリ 「なんですか……! そんな事を言いに来たんですか……!」
レオニ 「ああ!? 生き残った奴で一丸となってなんとか倒すしかないって話だろうが! 20年前お前の母親がルシファーをぶったおしたんだろ! その血を継いでるお前がそんなでどうするんだ!」
ヴェリ 「いつも…私はエランドに頼ってきて…結局何もできていないんですよ! 守られてばかりで…私にはどうしようもありません!」
レオニ 「いつまでも甘い事言ってんじゃねぇぞ! 誰だか知らねぇが、さっきもお前は誰かが逃がしてくれたから生き延びたんだろうが!」
ヴェリ 「ゾルダートさん……アイフィス………さん…」
レオニ 「どうして俺達もそいつらもお前を逃がしたかわかるか?守ろうと思うかわかるか!?」
ヴェリ 「………」
レオニ 「お前が最後の希望だからだ! 自分が犠牲になってでもお前を活かす価値があったんだろうが! あぁ!?」
ヴェリ 「私が……最後の……希望……」
ファダ 「……ヴェリスちゃん、俺達はさ。君に賭けてるんだよ。知ってるよ、1年前の冥界の双子との戦いも、学園の卒業式の後、魔王軍の復活を目論んだ奴を倒した話も」
レオニ 「なにもできなかったなんて眠い事言うんじゃねぇ」
ファダ 「絶望的な状況でもきっと変えてくれる、そんな力を持ってるんだ」
ヴェリ 「……私が…みんなを……守る……」
レオニ 「そうだ、これ以上犠牲を出したくねぇだろ」
ファダ 「やれるよ、必ず」
ヴェリ 「………エランドはいない……なら…私がみんなを守る…!」
ファダ 「レオニスさん、前会った時より変わってるだろ?」
ヴェリ 「…なにか…あったの?」
ファダ 「エーベルさんっていたじゃん? あの人を目の前で食われてさ」
ヴェリ 「……! そう…だったんだ………」
ファダ 「言い方はキツかったかもしれないけど…気持ちをわかってあげてほしいんだ」
レオニ 「3人がかりで……挑むしかない…」
ファダ 「……勝機は……ほとんどない」
ヴェリ 「…………勝ちましょう…」
レオニ 「勝てる見込みはない、だが。希望はゼロじゃない」
ファダ 「そうですよ、絶対……何かあります」
レオニ 「これを」
ヴェリ 「こ…これって……毒ですか…!?」
レオニ 「……劇薬だ。本当はこんなのを持ち歩きたくはねぇ、だが…」
ファダ 「負けるとき魔力を吸われるぐらいなら自害して、次に繋ぐ」
ヴェリ 「………そ……そんな……」
レオニ 「ヴェリス、お前はもしそうなっても俺とファダムが飲まない限りは絶対に飲むな」
ヴェリ 「………どうして…ですか…!」
レオニ 「俺たち3人の中で仮に誰かが逃げ延びた時、希望が一番大きいのはお前だ」
ファダ 「それにヴェリスちゃん、この薬を飲むときは最悪のパターンの時だけだ」
ヴェリ 「そう………ですよ…ね……」
レオニ 「まずは……カーリーを倒す…!」
ファダ 「行きましょう…! こっちです」
ヴェリ 『わずかながら見えた希望。だけど』
レオニ 「ぐぉぁっ!」
カーリ 「なに? それで本当に私をたおそうなんて考えていたの?」
ファダ 「く…そ………また…強くなっていた…なんて……」
カーリ 「どうする? 貴方が私と来るなら2人は助けてあげる」
ヴェリ 「わ……私は……! わたし……は……」
ファダ 「いいんだ! ヴェリスちゃん! 俺達の事は放っておけ!」
レオニ 「そうだ! 俺達の事は見捨てろ! お前が死んだら本当にすべてが終わるんだ!」
カーリ 「ねぇ……? どうするの? ヴェリスちゃん?」
終