なろう作家 異世界に三勤交代制を導入しようとする
日曜朝8:30頃書いた。
後悔はしていない。
むかしむかし、あるところに、よくあるなろう異世界がありました。
そこには携帯電話を持った骸骨の魔王マイルズがいました。
マイルズは部下の上位高等魔族に言います。
「トヨヒサルスよ。今度私は三勤交代制というのを導入しようと思う」
「マイルズ様。三勤交代制とはなんでございますか?」
部下の上位高等魔族は尋ねます。
「三勤交代制牢屋にいる人間共を効率よく働かせる手段だ。奴隷を朝。貴族を昼。農民を夜働かせる。これにより人間共を24時間フルタイムで休みなく働かせることが出来るようになるのだ」
「素晴らしいアイデアです!我々にような卑賎な者には思いもつきません!!」
トヨヒサルスは魔王マイルズを褒めたたえました。
「ところで従わない人間はどういたいますか?」
「人間の脳味噌を食べるブレインイーター族に食わしてやればいいだろ」
「何一つ無駄のない計画!完璧です!!!」
マイルズの支配する魔の領域から遠く離れた西に人の住まう地がありました。
とある母娘がおりました。母は医者でした。
「ねぇねぇおかあさん。三勤交代制ってなぁーにー?」
「三勤交代制だと?そんなものを考える奴は病原体だ」
母親は厳しく断定しました。明治三十二年に北里柴三郎が神戸でペスト菌を発見したくらいに断定しました。
「富岡製糸工場というのをお前はまだ知らないだろう。だから教えておく。明治五年に設置された官営の紡績工場だ。当時の主力輸出産業である生糸を生産するための施設だ。全国各地の貧しい農村から農家の娘達が集められ、過酷な労働条件で働かせられた。彼女たちは半ば使い捨てで病に倒れればそのまま郷里に返された。問題はその病気だ。それは伝染病の結核だったのだ。結果、日本全国各地に結核が蔓延することになったのだ。明治四十四年に工場法が制定されたが実際に施工されたのは大正五年だ。まぁ経済を優先させるために国民の健康を損ない、つまり兵隊として使役する農村の若者まで結核に感染してしまい、無能な政府も重い腰を上げざる負えなくなったというのが実情だがな。さて」
母親は立ち上がると。
「ちょっと急患が出たの診察してくる」
「誰の?」
「異世界。という名前の患者だ」
「魔王城までよく来たな。だが貴様の命運もここまでだ!!」
女医者の前にトヨヒサルスが立ちふさがります。
女医者は拳銃を抜きました。
「それは拳銃だな?だが残念だったな!その武器の弱点は魔王マイルズ様から教えてもらっているのだ!!」
言うとトヨヒサルスはやかんでお湯を沸かし始めました。
「何をしている」
「みてわからないようだな。まぁ貴様は下等な人間だから無理もない。人間が飲める温度の紅茶を造るためのお湯を用意しているのだ!!フハハハハハハ!!!!!」
「人間が飲める温度の紅茶?」
「そうだ!人間が飲める温度の紅茶をかけると拳銃は熱膨張で爆発するのだ!!つまり貴様はこの私に手も足も出せずに自滅するのだっ!!!」
どうしようか。
無視して先に進もうかと考えましたが後ろから熱湯でもかけられたら面倒です。
「うりゃ」
「ぐああああああああ!!!」
クロコダインのような悲鳴をあげてトヨヒサルスは気絶しました。ロープで縛って廊下の隅に転がしておきます。
「ふ、トヨヒサルスを葬るとはなかなかやるではないか」
玉座に携帯電話を持った骸骨の魔王が座っていました。
「どうだ。私の仲間にならないか?世界の四分の一くらいはやろう」
「貴方は病原体です。除菌しなければなりません」
「所詮は愚かな人間か。まぁ私は優しいからな。戦う前にいい事を教えてやろう。私は某ガンモモ様と同じレベル100のアンデッド魔法使いだ。接近戦スキルはないがその分魔法に特化していてな。さらに斬撃、刺突、冷気に耐性がある。そのかわり火炎、聖、打撃に弱いがそのうち一つを任意で防ぐ特殊な魔法。それに加えあらゆるステータス異常にならな」
「えい」
「あっ」
女医者は足払いをかけました。ダメージのないスタン状態になります。転ぶだけなのですぐに起き上がり。
「ほい」
起き上がりに火炎びんを重ねました。
「え?」
再び転倒しました。
「ほいほいほい」
魔王マイルズが起き上がろうとする度に火炎びんを投げます。
フレーム単位の完璧な調整です。
「えっ?チョッマテヨ?ここRPGの世界でしょ?なんで格ゲー風の起き上がりハメ攻撃なんてしてんの?」
「城下街の闘技場でコンボカウンターなるものを貰ってな。モンスター相手に連続攻撃を続けるとその回数が記録されて最大数に応じて豪華な景品が貰えるそうだ。お前は無駄にHPがありそだし、近接攻撃ができないし、お手軽連続コンボを決めるにはうってつけだ」
そして起き上がる直前に火炎びんを投げ、再び転倒させるという作業ゲーを繰り返します。
「あ、起き攻めやめ、十割もってかれちゃう~~~~」
「やかましい。体術スキルまったくなくて前転で逃げることもリバーサル反撃もできないのが悪い」
「ああああーーー!!!なぁあんんちゃって!!」
突如魔王マイルズの身体が紫の閃光を放ち、垂直に浮かび上がります。体力がゼロになった時に自動的に発動するRE:ゼロ:オートリフレシュです。この魔術は戦闘開始前に使用することで、体力が亡くなった時にHP満タンで復活することができるのです。
「リザレクショ・・・!!」
「とりゃ」
自動復活のタイミングに合わせて追い打ち飛び蹴りを放ちました。
満タンに回復するはずだったライフゲージが一気にゼロに戻ります。
「これで、ゲームクリアだっ!!!」
「えぐぜ、イドオオオオオオオオオオオ!!!!!」
女医者の飛び蹴りを受けた魔王マイルズは大爆発を起こして死んでしましました。
「不正はなかった!プログラムの仕様どおりだっ!!」
「あの赤い服を着た御婦人、魔王マイルズを飛び蹴り一発で倒してしまうとは!!」
「おお、救世主だ・・・」
「あなたこそ真の勇者様だ!!」
「私か?私は単なる町医者だ。専門は産婦人科と小児科だよ」
助けた人々にそう告げると、赤い服を着た女医者は馬に乗って、(英語で言いうとライダー)去っていきました。