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異世界に転移したんだからチートあるよね?

 あぁ、ヤバい。明後日提出のレポートまだ書いてねえのにどうしよう。あの教授、一回でもレポート出さないと単位くれないんだよな、必修なのになぁ。


 異世界に飛ばされてしまった俺が、まず最初に思ったのはそんなことだった。


 今朝使った食器も洗ってないし、絶対にカビ生える。


 おそらく密林の中に放置されている現在そんなことよりも心配すべきことはたくさんある気がしたけど、そういうことが気になった。

 現実逃避以外のなにものでもない。


 でもだ、落ち着いて聞いて欲しい。

 俺はただ美少女とオフパコしたかっただけなのに、なぜか異世界に飛ばされちゃったのだ。

 なぜかっていうか「世界を救ってください」って言われて頷いちゃったからなんだけど、それでも、こんなのってないだろう。ないよね? ひどくない?


 そんなことを考えながら、当てもなくさまよっていた俺は次第に腹が立ってきた。


 だってアレだろ? これって要するに流行の異世界転移モノじゃん? そういうのって大体、ご親切に異世界でもてなされて勇者するんじゃないの? 最近あんまりラノベ読んでないしよくわからないけど、そういう感じじゃないの? チートできるんでしょ?


 なのになんで俺はこんなわけのわからない生き物だらけの密林を歩かされなきゃならんのだ。


 ——ポーン♪


 とか思ってたらスマホが鳴った。TwitterにDMが来たとの通知だ。そして気づく。


「あれ……圏外じゃない? 使える?」


 なんとスマホのアンテナはバリ4、めちゃくちゃ普通にネットが使えた。

 設定画面を開くとwifiも飛んでいる。ロックがかかっているので使えなかったけど。


「もしかして、ここ異世界ではない? 普通に日本? あれ?」


 地図アプリを立ち上げて現在地を確認してみる……が、現在地は表示されるものの周りの地図が表示されなかった。


「うーん?」


 悩む俺の手元でスマホが震えた。またも通知が来て、さっきのDM開いてなかったことを思い出す。


『壮語さん、どこですかー?』

『これ、見えてますかー? 見えてたらリプください』


 nonaさんからのDMだった。


『見えてます。今は密林? にいます』

『よかった、ちゃんとこれたんですね! まわりの写真撮っておくってもらえます?』


 言われたとおりに周囲の写真を適当にとって送る。現在地情報も念のためつけておく。


『把握しました、少々お待ちください!』


 そのDMが届いてから、数分の間が空いた。

 その間に俺はTLを見返す。

 いつも通りのTLがそこにあった。あぁ日常だ。

 いつもはスルーしている寒いギャグをつぶやく人や、仕事の愚痴をつぶやく人、アニメ実況してる人、巨乳画像を上げる人、百合について語る人、学校であったことを話す人、そういった多種多様なつぶやきが、とても心地よく思えた。


 ——ブン。


 隣でそんな音がしたのでスマホから目を上げると、空間が輪状に怪しく揺らめいていた。

 そして、


「お待たせしました!」

「うわっ」


 そこから、ぴょんこん、と彼女——nonaが飛び出した。


「壮語さん、ご無事ですか?」

「え、ああ、無事だけど」

「よかったです〜! 転移はランダムなので、出現場所が運悪く野獣の鼻先だったりすると即死なので、返信ないのでひょっとして死んだかなって思ってました〜」

「マジかよ! そんなの聞いてないよ!?」


 そんなのもなにも、そもそも詳しいことはなにも聞いていないんだが。


「まぁまぁいいじゃないですか、こうして無事に再会できたわけですし」


 まぁまぁまぁまぁといいながらこちらの背中をポンポンと叩いてくる彼女になだめられて俺はあっさりと上機嫌になった。

 女の子に触られただけで嬉しくなるの、我ながらチョロいなと思う。


「改めまして、わたしの世界にようこそ! 壮語さん」

「あ、どうも」


 えへへー、と笑った彼女は「俺と再会できて嬉しい」といわんばかりで俺も嬉しくなる。


「そういえばちゃんと自己紹介してませんでしたね。わたしの名前は、御伽ノーナ、この世界のある意味、女神です」

「ある意味?」

「まぁその辺は追々、お話しますね」


 微笑みにごまかされた気がするけれど、かわいいので許してしまう。


「さて、壮語さんには先ほどの契約の通り、この世界を征服してもらいます!」

「待って、征服ってどういうこと? 救うんじゃないの?」

「そうです、救うために征服するんです!」


 救うために征服する、よくわかりません……。


「今、この世界は危機に瀕しています」

「魔王でも現れた?」

「大正解です! すごいですね壮語さん、さすがわたしが選んだ人!」


 ヨイショされて、簡単に嬉しくなってしまった俺は調子に乗ってキメ顔を作って、彼女の言葉の先を読んでいった。


「なるほど……そして、その魔王を倒すのが俺の最終目標なんだね」

「違いますよー?」


 あっさりと否定され、キメ顔がものすごく恥ずかしい。


「違うの? 俺、人類を救う勇者になるんじゃ?」

「まっさっか!」


 彼女はとても大げさに手でバッテンを作った。


「その逆です逆! あなたには魔王の手足となり、魔族代表として人類を征服していただきます!」



タイトルのところまで話進みませんでした。続きます

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