生産
君との会話、持続性の少ない些細な日常。
空きすぎた行間に、僕は小さな夢を見る。
一月後、三月後、半年、一年、遠くない日常に傍に君を置いて紅茶を飲もう。
会話は途切れたままでいい、代わりに僕を椅子にしてくれて構わない。
規模を持ち出さずに、平穏の中の君を愛する自分を夢見る。
柔らかな陽だまりの、バニラの少し溶けた日常。
微細な変化に曇天を重ね合わせて苛立ちを覚える僕は、世間では弱い人だと言われるだろう。
現に悩まされているなかで、得体の知れないむかつきと確かな不安に消耗しているのだ。
返事は宙に浮かされ、消えてしまいそうな程を微かに知らせている。
何とない喧騒のなかで、他の音に混じり合ってしまったのではないか、そう思うことでしか理由を見つけられず爪を噛む。
二人きりに交わした言葉が、ただの思い出に変わる行間に変わらず僕は夢を見る。
雨音が急ぐ車をさらに急かす午前十一時と三十二分過ぎ、僕達は五階の窓から時を眺めている。
入れなかった予定に感謝しながら、僕達はまだ暖かいベッドに潜り込む。
柔らかい君の肌を、特に君の気にする部分を僕は包み込んでいる。
そして、恥ずかしげもなく大それた事を言うのだ。
恐らく僕は夢想家と体良く呼ばれ、あるいは嫌悪されるのだろう。
算用をいくらこなしたところで、至る術を尽く潰されているのだから。
夢は叶わないからこそ見るのだけれど。
急かすなよ、まだ僕は夢の途中だ、