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魔王様の来訪

ダンジョンよ、俺は帰ってきた。


「ごじゅじんざまー!」


戻ってきていきなりハピが泣きじゃくりながら顔面にひっついてきた。確かに面倒事が起こったからしばらく帰れないかもしれないって言ったけど、心配しすぎなんじゃないか?


てか、きっちりと2つ目の端末を背中にくくりつけている。今更だけど何となくメールは読めたんだな。


「バビばごじゅじんざまをずっどじんばいじてで、いずがえっでぐるのがどぞゔぞゔじだだげでゔぅゔうゔゔゔ!」


何を言ってるか翻訳しておこう。


『ハピはご主人様をずっと心配してて、いつ帰ってくるのかと想像しただげでうぅううううう!』


何で翻訳出来るかは…………1人で何を言ってるんだ。


「はいはい、帰ってきたよ。次からは連れて行くから泣き止んで泣き止んで」


「ぼんどゔでずか?」


ハピの泣き顔が俺の前でアップで映される。こんなに泣いてちゃ連れて行かないとね?


ってそうだ!多分すぐに魔王様が来るんだった!大した物もないし、それ以前に客間が無いぞ!今から間に合うか?


端末を開いて…………


「ご主人様?」


まだ涙のあとは残ってるハピが疑問符を浮かべて問いかけてくる。ああ、説明しなきゃいけないな。


「今から超超VIPなお客様が来るからちょっと準備しなきゃいけないんだ。ハピ、お前は周りをチョロチョロ飛んでるだけでいいから」


「何か嫌な言い方ですね!でも、ハピひちゃんとご主人様の命令に従います!」


よし、ハピは無駄な事をしなくていいだろう。正直な事を言うと、まだハピの性格がよく分かってないんだ。他人と接したら人が変わる奴とかいるからな。


「シュコー…………シュコー…………」


あ、アルの扱いは…………立ってるだけでいいや。


「シュコー…………シュコー…………」


で、客間を作らないとな。ここは奮発して600ポイントを全部使って高いのを購入し


「スライムしか出なくてつまらなかったぞ!ま、宝箱からはまあまあなマントが出たから良しとする」


「来るのが早過ぎるわ!」


「なぜ妾が怒られなければならんのだ!」



〜●〜●〜●〜●〜



「粗茶です」


ただいま、ボス部屋に椅子とテーブルを置いただけの簡易型の場が作られた。机の上には俺が淹れたミルクティーがある。


魔王様はドキドキしてる俺をよそに、ミルクティーをゴクゴクと飲んでいる。緊張感のない魔王様だ。いや、緊張する時がないんだろうな。


「ふむ、甘いな。だが、この紅茶は多くの魔族が好みそうだな。売ってみるか?」


「材料が高いので量産はちょっと難しそうですね」


なんせ、砂糖と牛乳を使っているのだ。この2つの材料は異世界だと貴重な品になってる事が多いからな。


端末だといくらでも出せるが、そんな事したらバランスが崩れるからしない方がいいんだろう。


「まさか、任された事とはダンジョンの主か。これはこれでヌシへの興味がさらに湧くのぅ?誰からダンジョンを任されたのだ?」


んー、そんな事を聞かれても誰に任されたのか知らないな。多分、何かしらの候補の中でランダムで選ばれるんだと思う。


「多分、何かしらの候補の中でランダムに選ばれるんだと思います。実際、任せた人の顔なんて見た事無いですから」


「それは怪しすぎんかのぅ?そもそも、ヌシも怪しい仕事に巻き込まれたって自覚はあるのか?」


「そらゃあ自覚はありますよ。でも…………」


「でも?」


言いたくても言えないのが辛い。母親に就職活動をあらゆる手段を使って妨害されて、働きたくてもずっとニートな生活を送ってたなんて言えない!


そんな中、突然こんな所に飛ばされてダンジョンマスターやれって言われたら俺はやる。やる気満々でやってやるぞ!


「さっきから黙り込んでどうした?腹が痛いのか?」


「いや、何でも無いです。聞かないでください」


「ご主人様はお腹が痛いんですか!?」


「ハピ、ちょっと今はほっといて」


この会話をしてる最中にそこら辺を暇そうに飛んでいたハピが乱入してきた。アルは言われたままずっと部屋の隅で立っているだけだった。


「ハイピクシーか、妾も見るのは久しぶりだな。ま、あの時は通りすがりのハイピクシーだったからじっくりとは見れんかったがのぅ」


「どうでしょうか?ハピの美しさはそこら辺の者に比べては美しいでしょう!」


「おーおー、確かに普通のピクシーに比べたら綺麗だのぅ」


「ありがとうございます!」


この2人(?)は気が合うんじゃないかと思った。地味にさっきから俺そっちのけでハイピクシーの生態とかを話し込んでるし。


あ、魔王様のミルクティーが空っぽになったな。補給しておかなきゃ。


「ふむ、これはいい人材を揃えたダンジョンだ。ハピは間違いなく有能よ。ところで、さっきからそこで立ってるタイタンはどうなのだ?見たところ、ヌシの代わりにダンジョンボスをしてそうな雰囲気だが」


お、魔王様がついにアルに興味を示したか。


「シュコー…………シュコー…………」


でも喋らない。それがアルという生き物だ。


「全く喋らないのぅ?どうした、喋られないのか?」


「シュコー…………シュコー…………」


「ケンゴよ、こやつはどうなのだ?」


「そもそも普通のタイタンは喋る事ができるのか?」


「む、それすら知らずにタイタンを部下に置いてるのか?まぁ、タイタンは喋らないし、知能が低いから簡単な言語しか理解できんがの」


それに比べたらアルはスキルに知能(レベル4)を持ってるからとてつもなく賢いんだろう。どうする、希少種だって事を伝えるか?


いや、それで余計に興味を持たれて俺のダンジョンに押し入られたら困る…………ん?待てよ、考え方によったらこっちの都合のいい方に導けるかもしれない。


よし、いっちょバラしてみるか。


「アルは普通のタイタンじゃないですよ。タイタンの中でも亜種を超す希少種ですから」


「希少種だと!?」


ダンッ!と驚いて立ち上がるが、新しく淹れたミルクティーが溢れそうになったのですぐに座った。でも、ミルクティーはちょっと溢れた。


「力だけはあるタイタンの亜種とは殺り合った事はあるが、希少種がこんな所に…………」


「アルはまだ低レベルですが適当なレベルの亜種よりは強いと思ってます」


「亜種と希少種を比べられるか!ただでさえ通常種と亜種の差を見るだけでも5倍以上あるのに、記録によれば亜種と希少種の差はさらに50倍以上と言われとる!考えたらこのダンジョンはちと理不尽すぎやしないかのぅ?」


そりゃ理不尽だと、そう思ってるよ。1階はスライムしか出ない簡単なダンジョンなのにボスがタイタン希少種とかいう超強い奴だもんな。


普通の奴だったら死にたくないから挑みたくない。


「これだけでも過剰戦力、ますます妾の軍に欲しい!軍人奴隷の件は無しにしてくれ。代わりに正式な幹部の立場で部隊をくれてやる!どうだ?」


「残念ですが、お断りさせていただきます」


「くっ、なら…………」


「ここで1つ、ビジネスをしてみようかなと」


「ビジネス?聞きなれない響き、それは何だ?」


この世界にはビジネスという単語が無いのか。いや、この際そんな事はどうでもいい。


「商売の話、です。このダンジョンの主は俺です。いい話を思いつきましたよ?」


「ほぅ、魔王である妾に直接商売の話を持ち込んでくるとは、一体何の商売だ?」


よし、話に食いついてきたな。ここから先なら何とかできる筈だ。


「ここを、専属とは言いませんが訓練所代わりに使ってもよろしいです。それなら、格上相手に訓練できるし、このダンジョンの攻略回数が増えるとダンジョンも新しく作り変える事も出来る。ある程度の実力はあればアルの所までたどり着けますよね?そこで、アルと死なない程度にやり合えばレベルも上がります。分かりますか?」


「ほぅ、なるほどのぅ。下には着かんが場所なら貸す、と?しかし、ヌシに利は無いのでは…………いや、攻略回数が増えるとダンジョンを新しく作り変える?どういう事だ?」


「そこは企業秘密、いや、秘密という事で」


「食えん奴だのぅ」


ケラケラと笑う魔王様は絵になるな。ここにカメラがあったら写真を撮って飾れるくらいの美しさはあると思うぞ。


「なら、しかないのぅ」


悪い条件じゃない。なんせ、タイタン希少種と戦えるなんて普通に出来る事じゃない。それに、アルに負けたら撃退扱いでポイントもガッポガッポ入ってくる筈!


「でも断る!」


…………………………………………えっ?


「ヌシを下に付けるまで妾は諦めんからな!妾はしつこいぞ?はっはっはっ。キタマチケンゴよ、いつか観念するんだな!」


ドタバタといきなり立ち去った魔王様に対して、俺は硬直しっぱなしだった。


「はっはっはうぎゃぁんっ!?」


あ、階段あたりで自分の豪華な服を踏んづけて転げ落ちてまたボス部屋まで転がり戻ってきた魔王様だ。


「い、今のは見なかった事にしてくれ!」


恥ずかしくて顔をやや赤くした魔王様はそんな事を俺に向かって言い、今度こそドタバタとダンジョンを立ち去ったのだ。


…………………………………えっ、帰っちゃうの?


「ご主人様ー?」


魔王様はいいのそれで?


「シュコー…………シュコー…………」


「ゴーシュージーンーサーマー!」


はっ、ちょっと錯乱してたっぽい。自信があったのに断られるとは思ってなかったな。くっ、ポイントをガッポガッポ儲けるのは夢のまた夢、か。


「さっきからご主人様の箱がなってますけど」


「ん、箱って?ああ、端末の事か。これからこれは端末って言ってくれ」


「はーい!わかりました!」


ぼーっとしすぎてたな。で、端末は俺に何の用だ?



魔王来訪ボーナスで10000ポイント手に入りました

魔王負傷ボーナスで10000ポイント手に入りました

魔王撃退ボーナスで10000ポイント手に入りました 現在のポイントは30600ポイントです』



あちゃー、こりゃガッポガッポ入ったな。もしかして、魔王様が来るたびに10000ポイント入るのか?いやいや、そんなうまい話がある訳ないよな。


つーか、魔王負傷ってさっきの階段で転げ落ちた時のやつか?それでもすり傷程度の怪我で10000ポイントって…………


あ、コレで武器&アクセサリーガチャ引けるじゃん。今引くか?いや、今あるのでダンジョンを新しく作ってから引いてみるか。


「ご主人様、お腹すきました!」


「もうそんな時間か?ああ、確かにもう昼前か」


今日は色々とイベントがあって、もう今日は外に出たくないや。昼飯を食べてからダンジョンを作ろっと。


「ハピはお昼何がいい?」


「花の蜜でお願いします!」


アルはどうする?


「シュコー…………シュコー…………」


…………サンドウィッチでいいよね。


よし、端末から注文して昼飯にするか!

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