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魔王がダンジョンを作るとこうなります


「ふぅむ、これで及第点といったところかの」


「でちちー」


ダンジョンに籠って早三日、外の魔物を狩ってポイントに変えつつダンジョンガチャを回さないで一心にダンジョンのスポーンから生まれた魔物を調教していった。


その結果、ステータスが百倍の差があってもタイマンで善戦できる始末。人より誰かを扱う才能が非常に高かったのだ。


よくよく考えてみれば健五のダンジョンの魔物を調教し、アルをグレードアップさせたのも魔王だ。この時から才能の一部が見えていた。


普通の冒険者だと明らかにオーバーキル前提のダンジョンだが、詳細を書き詰めるとこうなる。



ダンジョン名『魔王のダンジョン』

管理者『ウェーン・ジャルバット???歳女性』

階層数『八階』

ダンジョンボス『ウェーン・ジャルバット』

警戒レベル『1〜10』のうち現在『9』。世界を救った英雄でも苦戦して何度も撤退しながら策を練らないといけないクラス。現在、このダンジョンを攻略するためには人類の最高戦力を集めなければならない。



・階層説明

『一~六階』

 出現する魔物一覧

『スライム』『スライム亜種』『ゴブリン』『ゴブリン亜種』『ウルフ』『ウルフ亜種』『ゴーレム』『ゴーレム亜種』

説明・贅沢にすべてのスポーンを置いた迷宮タイプの階層。一階からこのような厳しさになっているが、このダンジョンに辿り着いた」猛者からするとまあまあな難易度と言える。外が異常に強すぎるだけでこのダンジョンは全ダンジョンの中で最高難易度を誇っている。


率直に馬鹿じゃないのかと言われてもおかしくはない難易度。しかし、その分ダンジョン内にある宝箱の内容が非常に良い。ダンジョンガチャ出例えると、最低でもSRクラスのアイテムが出る。もはや武器&アクセサリーガチャを回す必要がない。


第一層で苦戦するようなら即座に引き返しましょう。


『八階』

 出現する魔物一覧

『ダンジョンボス・魔王』『でち公』

説明・ボス部屋兼生活空間となっており、妙な生活感がある。広さもそれなりにあって大暴れするにはうってつけ。でち公がよくうろちょろしているので足元に注意。


このダンジョンボスに真正面から挑み勝てるパーティーは片手の指で数えるくらいしかいない。だが、魔王から真正面から挑むと思うなかれ。




及第点とは一体何なのか。


外の魔物が強くて収入が非常に良かったため健五のダンジョンよりも補強しやすかったのは間違いない。ただ、世界を作った神もここまでされるとは予想外だろう。


攻略を進ませるつもりはあるのか、と。


「ふふん、これなら少しはぎゃふんと言わせられるの」


「でちち?でちー」


「案ずるな。妾に勝てぬものなどいない!」


「でちー!」


彼女たちは張り切っているがお忘れだろうか、ここが未開拓地だということを。


さらに言うと一般どころか強者すら数日もいられない過酷な環境に誰が来るのだろうか、いや、来ない。


そのことに気づくのは翌日の朝、どこか抜けてる魔王は困ってしまうのだった。


普通は困まるで済まないのだが……………


「全く来ないではないか!」


「でちちー!」


時間的に朝を迎えた魔王は誰も来ないことに憤慨していた。でち公が叫んだのは怒鳴り声に便乗しただけで何も考えていない。


「ぐぬぬ…………こうなったら無理矢理にでも人を呼ぶしか、待てよ、このダンジョンごと移動すればよいではないか!」


「でち?」


妙案が思いついたように指を鳴らす。一応だがダンジョンの場所の変更は可能である。ただし、そのためには超ハードモード化させるよりもダンジョンポイントを大量に消費してしまう。


それこそ魔王が今現在持っている。ポイントが底をつくほどだ。


だが、そんな細かいことは気にしない。繊細だった時期の面影なんてどこかへ行った。


一通り高笑いを終えた後に冷静になって端末を操作する。大き地震が発生するのと同時に魔王とでち公は地上に、とは言っても水晶の洞窟の中だが、転移された。


ダンジョンの入り口はない。しかし、端末はちゃんと手に握っている。どういう原理か知らないが一時的に収納できたようだ。


「そうだのぅ、まずは適当に城に戻るとするか。どうせ爺がうるさいだろうが、妾の知ったことではないわ!」


「でちー!」


失意から復活した魔王は意気揚々と凱旋する。当然お小言をもらったが、ダンジョンを手に入れたことが大きな収入となりそれまでのお小言はなしにしてもらった。


今までいなかった間の業務が溜まっているため、ダンジョンのことは後回しにして業務に励むのだった。


もちろん、千人組手も毎日行ったとさ。







〜●〜●〜●〜●〜








「ええ、計画は順調です。実用段階に入りました。あなたが私に授けてくださった過去の勇者の細胞から造るクローンの知識、いえ、私は感動しているのですよ」


誰かが神の降臨を模した彫刻に祈りを捧げるように語りかける。


「魔物だけでなく人間も選別しなければならない。あのギルドは私とあなたに協力的で助かりました。おかげで試運転をする場も与えてもらいました。今から最終調整に入ります」


とても透き通るような少女の声で、親愛と親交を込めて、濁った眼で彫刻に語り掛ける。


熱心に宗教にはまっていると健五なら茶化して言うだろう。だが、そう言わなければならないほど不気味で狂気的な信仰だった。


最後にしっかりとお祈りをささげて彫刻の前から立ち去る。その顔にはもうすぐ親しい人と会えるような喜びの柔和な笑みを浮かべていた。


「ふふ、ふふふふふふ…………復活の時は、近い」


きょうしんじゃはきょうもげんきにじっけんします。たくさんのひめいとちをあびながらささげます。


ここに、すくうひとは、すくわれるひとはだれもいませんでした。


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