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放置ダンジョン


「ここまで来るのに長くかかったのぅ」


「でち?」


魔王が適当なことを言ったことに気づいていないでち公はさておき、水晶だが見覚えのある入り口に来た。


水晶の洞窟の中とはいえ、これは不自然に下につながっている知しか思えない。こんな不自然な入口なんて魔王が知る中で一つしかない。


そう、ダンジョンである。


「まさかこんなところにあったとは、そもそもこんな所に人なんて来なかろう。あやつが言ってたシステムだと稼げないはずなのだが」


「でちっ」


「やはり、ヌシが言ってることはよく分らん」


何の躊躇もなくダンジョンの中に侵入していくが何一つないただの迷路に過ぎなかった。


こんな奥地にあったのだから健五のところのアルみたいな化け物がいると期待していたが、それは全くの期待外れで落胆した。


どんどんと迷路を攻略し、すぐに第二階層未突入するが…………


「でちちー」


「魔力切れのゴーレムか。ううむ、いささか枯れてやしないかのぅ?」


動かなくなった普通のゴーレムがあるだけで何もない。そのゴーレムも劣化して汚れやヒビだらけで手入れすらされていないと一目でわかる。


魔王はフットワークが軽い。それゆえ興味がわいただけでダンジョン荒らしをしまくったためダンジョンにはそれなりの知識はある。それでもこの状態のダンジョンは見たことがなかった。


まるでダンジョンマスターが亡くなってから後継ぎがおらず放置されたようなダンジョン、ここまできた印象がまさにそれである。


「ふうむ、魔物もいなさそうだのぅ。だったらこのまま進ませておらうかの」


「でちー!」


迷路階層がまだあったがスムーズに進んでいき一番下の階層らしい場所までたどり着いた。


魔王の玉座とは比べ物にならない安物だが少しだけ豪華にしましたよーみたいな椅子に白骨死体が座っていた。スケルトンでもなくただの白骨死体である。


着ていたらしい服も朽ちて丸裸に近いが、白骨化した手に握っているものだけはそのまま残っていた。


「でちちー」


「おや、それはケンゴが持っていたものと一緒か?つまりこやつがダンジョンマスターの成り果てということか。ふむ、どうやらこれだけはまだ動くようだの」


「でちっ」


慣れた手つきで端末を操作しようとする。すると何やら遺書らしい文面が出てきたではないか。



『これを読んでいるということは俺が死んだということだろう。


ここはダンジョン、だれ一人来なかった哀れなダンジョンだ。そこに俺が無理やり配属され頑張って生きようとしたけど無理っぽいから残しておく。


俺はもともとこの世界の住人じゃなかった。ある事情で一回死んで神に特典としてダンジョンを貰いこの世界に転生させてもらった。


しかし、貰ったダンジョンが酷いのなんの、そとはダンジョンの魔物より強いわ俺自身弱いわで何もできなかった。


神にSOSは送ることはできたのだがあっさりと見限られた。


電話だったため小さく聞こえたことも書いておこうと思う。俺が失敗したから誰かのクローンを作って、それを依り代に地上に降臨すると、少なくともろくなことじゃないのはわかった。


そして俺は何も知らないただの実験台だったんだ。情けなさ過ぎて泣けたよ。


一矢報いる事すらできないが、ここにいいことを書いておく。


この世界は俺を転生させた神の管理下ではない、ほかの神の世界を乗っ取ろうと策を弄して行ったらしい。


役に立たなかった俺が言うのもなんだがあんな糞野郎に世界を渡してはいけない。


もし、強い人がこれを見たら何か対策を取ってくれ。子のダンジョンは好きに使っていいから。


ダンジョンポイントを貯めるには強い魔物の指定をダンジョンに持ち込むだけでも勝手にポイント変換してくれるから、一応は何とかなるはずだ。俺は何ともならなかったがな。


恐らくガチャに関しては放置しているらしく、入っているものも把握していないとか言っていたため勝手にガチャを回し続けてもやつは気づかない筈だ。


もし余裕があったら、他に何も知らないダンジョンマスターを助けてやってほしい。


あの様子だとなにも聞かされてないはずだからな』



「…………ほう」


思った以上に重い話だったと目を細める。この文面からダンジョンは神の贈り物というより侵略道具という衝撃の事実だったということが明らかになってしまった。


そして、健五が被害者のうちの一人であることも。


「思った以上に頭を悩ませるな。こいつめ、厄介な事を持ちこみよって」


頭蓋骨を軽く小突くと簡単に壊れてしまった。


しかし、魔王の顔はとてもにやけていた。


「この秘密を知ったケンゴはどうするのだろう?ふふふ、これを知らせたらあやつの中の妾の株もぐんぐん上る!それにダンジョンマスターとなりここをパクッて同業者になれば…………」


「でちちー?」


「ふっふっふっ、どこの神か知らんがずさんな管理だったな!今日からここは童のダンジョンとする!そして貴様の思惑を妾が消し飛ばしてやろう!くはははははー!」


「でち?でちちー!」


でち公は魔王の高笑いに合わせて叫ぶ。なお。でち公本人は何をするのかよくわかっていない。



テロテロテロレン♪



『新たなダンジョンマスターが認識されました。「ウェーン・ジャルバット」


 現在のダンジョンポイントは230です。ダンジョンポイントを補給してください。



      ~補給中~補給中~



 補給が完了しました。現在のダンジョンポイントは1054200です。


 神に見放されているため無償で食料などの支援を得られません。


 ご健闘を祈ります』



「ふっふっふっ、妾の新たな伝説の始まりじゃ!」


「でちー!」


魔王のダンジョン作りが今、幕を開ける。

まだ魔王とでち公のターン!

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