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9割5分の人は忘れてる


改めてダンジョンが開かれて3日が過ぎた。この三日間を簡単にまとめたらマジで忙し過ぎる。


大量に冒険者が来るわ大行列ができるわ順番を巡って喧嘩おっぱじめるわ収めるのがとても大変だった。


ダンジョンボスであるアルをわざわざ威圧のために連れて来なければならないほどの事態で死人までは出なかった。


オープン開始の人気店のオーナーってこんな気分なんかなと思ったぜ。そりゃあ大変だわ。


さて、ここでリニューアルしたダンジョンの説明をしよう。


まず難易度は普通のダンジョンと比べて割とハード、モンスター達にはギリギリ死なせず撤退させるように命じている。


たまーに死人が出るけど、それは自己責任として対処されている。怨まれても仕方ないが自然な摂理ということで他の人たちからも何も言われない。


外に出たら恨み言の一つや二つは覚悟しないとな。


おっと、暗い話は置いといて出現するモンスターに変更は無し。たまにハピみたいな強い魔物が徘徊してるが上手く回避する方法もある。


そして最大の目玉といっていい宝箱は今までより増設した。増刷するとダンジョンポイントの消費が大きいし維持費も増えるが冒険者が大量に来ているため今の所は黒字になっている。


怪我人も結構出るので治癒院という病院の役割をする施設やポーションや武器など消耗品を扱う店も繁盛している。


こっそりモニターで様子見したけど忙しそうだったが嬉しい悲鳴をあげていたみたいだ。


「ご主人様〜!お金持ちの冒険者が財布持ってダンジョンに入ってきたので全部ぶんどってきました!」


「ここ数日で随分とえげつない行為をするようになってきたな」


「この金銭は全財産です!」


「はいはい、後で好きなの買ってやるから」


「わーい!」


とまあ臨時収入を得たりしている。財布やら小物やらをダンジョンポイントに変えたら地上での買い物に使うために貯めている。


そして肝心のダンジョンボスはというと…………


なんていうか、そこまでたどり着く人がいない。とっても暇そうに突っ立ってる。


武器も持たず、ただ突っ立ってるだけ。それでダンジョンを閉めるまでものすごーく暇そうだ。


「シュコー…………シュコー…………」


今日も来なかったな、お疲れ様。


流石に大物は来ないな。勇者とかいうのが来たらまあまあいいとこまで行くんじゃないのか?


「さて、今日の業務は終わりだ。みんなお疲れさん!明日は休みだからゆっくりしろよ」


「外に行きたいですぅ!ご主人様と買い物したいです!」


「…………………………………………」


「ああ、休みがてら行くか。ガチャも当分は回す予定ないしな」


「やったー!」


ハピは嬉しそうに俺の周りを高速で飛んだ。俺くらいの動体視力じゃなきゃ細かい足のもじもじした動きとか見逃しちゃうね。


さて、今日は夜更かしでもするか。生きてる限り眠気と戦うことになるし睡眠不足は体に悪いからな。


肉体的に強い究極生命体だって休みたいもの。







〜●〜●〜●〜●〜








「…………全く、夜の侵入者は今日が初めてだな」


端末から鳴る目覚まし音で強制的に目が覚めた。本来なら朝の起きる時間までならない筈なのだが時計を見てみると深夜の2時、丑三つ時だ。


一応、入り口に硬いシャッターみたいなのを下ろして封鎖したんだが、普通にこじ開けて突破してきたようだ。


ちなみに、入り口は商店や宿屋から見える筈なんだが気づかれずに侵入するとはやりおるな。


「すぴー…………すぴー…………」


ハピや金時は目覚ましが鳴っても夢の世界の住人であることをやめなかった。というか金時は生きてるのか?はぐれなんちゃらみたいに溶けてるけど…………


「…………………………………………」


あ、メジェドさん起きてるんだ。というか枕元に立つのやめてくれませんかね?


アルは休ませて起きたいし、よし、今回のダンジョンボスはメジェドさん、君に決めた!


ふわふわと浮きながらメジェドさんはボス部屋に向かって行く。いい部下をもったなぁ。


さて、侵入者はどんな奴だ?最初の侵入者の盗賊か?


…………違った。若い男1人とその取り巻きっぽい女たち複数が侵入者か。無断で侵入するとは生意気な。


それに見た感じ他の冒険者と違って装備が豪華だが立ち回りがイマイチと感じられる。なんというか、警戒心が薄い?


素人だから俺は強く言えないが、曲がり角くらい警戒しようぜ?狼とかスライムが飛び出て来たら対応しにくいだろう。


しっかし、何処かで見たことあるような気がする。別に会話とか盗み聞きするつもりもないし、口の動きから余裕余裕と言ってるくらいは分かる。


ただ、何かに怯えてるような気がする。罠もそれなりに仕掛けてあるから警戒しているのか?


何か話しているな。相談事のようだ、こそこそと話してたら気になるよなぁ。音声をオンにしてちょっと聞いてみよう。


『階段あたりから注意しないと、また炎のトラップに焼かれる』


『もしかしたら別の罠に変わってるかも?』


『いや、もうないだろうから突撃あるのみ!』


『『『脳筋はちょっと黙って』』』


『……………………』


作戦っぽいのを練ってるのはいいけど騎士の女の子が脳筋すぎる。様々な作品での女騎士って妙に脳筋なところあるよな。もはやテンプレートというかお約束というか。


やっはりこいつら何処かで見たことあるな。んーと、端末で検索できないかな?あ、通知の内容をちゃんと読んでなかった。



『勇者ボルト一行の来訪ボーナスで1000ポイントを手に入りました』



そういえば居たなそんな奴。そうそう思い出した。あれから一向に来ないし弱かったから気にも留めなかったのが覚えてない原因だろう。


さて、もうボス部屋までたどり着くか。メジェドさん相手にどこまで戦えるか見ものだな。


そう思ってた時期が私にもありました。野郎引き返しやがった…………


まあ大事をとって引き返すのもアリだ。入場料は後で徴収させてもらおう。見逃すという形だがどうせ後でボッコボコになる気がする。


「メジェドさん、戻って来ていいぞ。俺はもう寝る」


メジェドさんに帰還命令を出して再び寝室に戻った。あの野郎睡眠時間減らしやがって…………


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