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撃退撤退大問題

「……………………」


今、何が起きたか分からなかった。魔王の顔面をとらえて殴り飛ばしたと思ったらいつの間にか消えていた。


桜の花びらが散るフロアには俺とメジェドさんしかいない。この事を考えると、軽くで俺は勝ったんだ…………


「達成感の欠片もないのは何故だ…………」


「…………………………………………」


こっちをじっと見てるメジェドさんは答えてくれない。そもそも喋ったところを見たことすらない。目からビームの効果音がビームッだったのは覚えてるが、それだけだ。


やっぱビームの効果音がビームッってのはない



ビーーーーーーームッ!



わぁっ!?メジェドさん今当てるつもりでビーム放ったよな!?


「…………………………………………」


こっちを見なさい!ほら、目を合わして話し合おうじゃないか。ダメだ、バリア張ってて近づけねぇ!


…………こんな茶番はやめておこう。今は外に強制転移された魔王の事が気になる。ステータスカンストしてる上に御都合主義まで持ってるはずなのに負ける方がどうかしてる。


俺としては負けて欲しかったが、あんなにあっさり消えるのはおかしい。一度部屋に戻るか。メジェドさんはアルの代わりにボス部屋にいてくれ。


「…………………………………………」


やばい、不服だって雰囲気を出しながらこっち見てくる。しかも雰囲気が感じるものじゃなくて見るものみたいになってる。


エジプトの神に仕える方に言うのもなんだけど後は任せた!俺は監視してた部屋に戻って地上の様子を見てくる!


早足に桜舞う特設ステージを去ってハピ達の元へ戻る。


「ごじゅじゅんざまぁぁぁぁぁぁ!ぬべらっ!?」


「今すごい音がしたぞ!?」


俺が表現するなら「ビュンッ、ベジャッ」という音がした。最高速でハピが突撃してきたんだが勢い余って俺に衝突した音だ。明らかな大事故によりハイピクシーが意識不明の重体となり…………


ふざけてないで地上を見よう。少なくとも女の子らしくない声を出したハピは悶絶してるだけだから大丈夫でしょ。


「えっと、あれ?端末はどこだ?ここに置いたはず…………」


ぷるるんぷるん、ぺっ


「…………金時さんや、何でも飲み込むのはやめような」


ぷるるん!


いや、それ全く反省してないでしょ。顔があったらドヤ顔してるよね君。まさか金時が俺の端末を飲み込んでいたとは。正常に動いてるからまあ金にされなかっただけマシか。


よし、アプリを起動してと、地上の様子はどうなって…………


『魔王様がやられた!原因は…………たぶん心の傷だ!人間の介抱は後回しにしろ!』


『さっきから寝転がってブツブツ言ってて怖い!呪詛でも吐いてるんすか!?』


『嫌い…………キライ…………機雷…………妾を…………嫌い…………』


『メディィィィィック!早く来てくれ!』


…………何この阿鼻叫喚な空間は。明らかに俺が悪いと思えるのもスキルによる修正力か?


まあ、あいつが俺に戦いを挑んでああなったから俺は悪くない。


しかし、やっぱ見たところ魔王に傷一つ見当たらない。割と力強く殴り飛ばしたのに跡すらない。だが、どう見ても心が折られてる。


俺、心を折るようなことしたっけ?心当たりがさっぱり無いんだが…………


「さっぱりって顔してますけど間違いなくご主人様の一言ですからね!」


「何でお前は妙に嬉しそうなんだ」


「心の底からざまぁないと思ってるからです!」


ふんす、と鼻を鳴らして言い放ったハピさん。その顔はまさしく他人の不幸は蜜の味といったところだ。


「ふん、いつもアルとデスを虐めてる天罰が下ったんですよ。まず毎回毎回いちいち来て迷惑かけまくった挙句、何もせずに帰るとか非常識なんですよ…………」


「あーっと、少しでもかわいそうと思ったが、そう言われたらそうだったな。自業自得だ馬鹿め」


そういやこいつにダンジョン的に尋常じゃない被害を与えられたのは確かだ。このままだとロクな魔物がいなくなっていとも簡単に攻略される可能性がかなり高くなる。


あ、端末を置いて行ってたから忘れてたけどダンジョンポイントはどのくらい溜まったんだ?



 (魔王軍の先兵たちのポイントは割愛)

 『ケツァルコアトル』ギルドマスター撃退ボーナスで1000ポイント手に入りました

 『ヴァルキリー』支部長撃退ボーナスで1000ポイント手に入りました

 魔王軍四天王撃退ボーナスで2000ポイント手に入りました

 魔王来訪ボーナスで10000ポイント手に入りました

 魔王完全撃退ボーナスで1000000ポイント手に入りました

 防衛成功によるボーナスにより100000ポイント手に入りました

 現在のポイントは1250800ポイントです』 


「うおっしゃああああああああああああ!元とれたああああああああああああ!」


「主人、ヤカマシイ。セッカク我ノ分体ヲ寝カシツケタノニ」


「あ、ごめん」


とっさに謝ったが、この死神は少しずつお母さんの道を歩んでるような気がするぞ。いや待て、いつの間に寝たんだあの幼女達


まあ興奮は収まらない。なぜなら今回で泣く泣くダンジョンポイントの残高が20万を切るほど使用した為に赤字だろうなと覚悟していたが倍近くのポイントを入手できた!EXモードと特設ステージでアドバンテージを取ろうとした甲斐があった…………


やっべ、達成感がありすぎて嬉し涙出そう。


「とにかく魔王軍も撤退するようだし、みんなお疲れ様!これだけのポイントが入ったししばらくの間はダンジョンを閉めてしばらくゆっくりするか!」


「はぁ~、見てただけで役に立ってませんが緊張しましたぁ~」


「……………………………………………………」


「さらっと職務放棄したメジェドさんは今日の心臓は抜き」



ビーーーーーーームッ!




「不服だからといちいちビーム放つの止めろ!」


メジェドさんによる明らかな職務怠慢に合う罰を提示したのに反逆された。解せぬ。


とりあえずみんなに労いを言って一回寝よう。割と張りつめてたし時間もかなり遅い、向こうはもう攻めてこないってのは分かってるから一休みしても罰は当たらないはずだ。


はぁ、ほんとに疲れた…………魔王にはしばらく来てほしく…………何でしばらくなんだろうか、来訪するだけでポイントを貰えるからか?まあいいや、休もう!




〜●〜●〜●〜●〜




「ブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツ」


「……………この魔王様をどうすればいいんだ」


今まで都合よく何でも手に入っていた魔王にとって最大の挫折かつ『ーー』によるショックが大きすぎてしばらく自室に引き篭る羽目になる。


魔王が再起不能になっている間、魔王城における仕事がかなり減ったということはなんという皮肉だったことか…………

これで第1章は終わり、という感じです。


『ーー』の部分は好きなように思っていてください。別に二文字じゃなくても構いませんよ…………?

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