ゆったりまったり大爆発
ついに10万文字突破したー!
今、一瞬何が起きたか分からなかった。宿屋で寝てたら突然の爆発音で目が覚めた。
飛び起きて音の方向を見ると、俺が泊まってる部屋の一部が消し飛んでいた。
ある一定の場所を境に焦げ目がないところを見るとメジェドさんが守ってくれたのだろう。
外は朝方だから明るくなってるがもう騒めきが起こっている。当然と言えば当然だな。朝っぱらから爆発音が聞こえたら誰も飛び起きる。
アルに喧嘩売った女戦士はグースカ寝ていて騒ぎに大幅に遅刻したのは俺の知らないところの話だったが。
「メジェドさん、ありがとな」
「…………………………………………」
相変わらずメジェドさんは無言でこっち見てる。あれ、今思えばハピと金時とでち公はどこだ?
「すぴー…………すぴー…………」
めっちゃ爆睡してるはいピクシーみっけ。あの爆音でも眠れる精神はすごいぞ。あ、金時はベッドの下でプルプル震えて怖がってた。
でち公は…………あ、手紙置いてるけど『でち』でしか文を構成してないから解読ができない。とゆうか無駄に達筆だなおい。
さて、犯人捜しといくところだが、もうメジェドさんが目星をつけてくれた。後はどこに行こうがメジェドさんの追跡を免れない限り逃げることはできない。
補足しておくと、メジェドさんのスキルに正義というものがある。簡単に言えば悪人を地の果てまで追いかけることができる上に悪人と対峙するとステータスが上がるというスキルだ。
まあ、まずは事態の把握だ。恐らくだけどギルドマスターは叩き起こされて不機嫌な感じで来るだろう。
コンコンコンコンコンコンコン
と、ドアがノックされた。来たのかと思いつつドアを開けようと立ち上がる。ずっとベッドに座ったままだったからな。
コンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコン
「うるさいって!気がついてるから名人張りの連打するな!」
そう怒鳴りながらも怒鳴りながらもドアを優しく開ける。思いっきり開けて相手を吹き飛ばしたら話にならないからな。
「…………喧嘩屋、無事?」
「ああ無事だからその滅茶苦茶不機嫌な顔をやめてくれ」
半目で寝癖付きの天然若作りギルドマスターが俺を見てくる。
そして苛立ちのオーラを隠しもせずにめっちゃばらまいてるのが何となく分かる。
「チッ、死ねば処理が早かったのに」
「それ、あんたの孫に伝えていいんだな?」
「やめて」
たった一言で真顔に立って懇願するギルドマスターはどうかと思うのだが。まあ、両親を失った孫を一人で支えてるんだし、嫌われたら一生立ち直れなくなる、もしくはさらに過保護になるかだ。
罵詈雑言浴びせても、逆に覚醒する親もいるがな。あ、実体験です。
さて、後はのんびりと犯人を見つけ出せばいい話だが、あえてしばらく泳がせておくことにした。
もしかしたら誰が裏にいるかもしれない。それが俺の考えだ。
一応、新人とはいえランク4の猛者を狙うなんてよほど肝が座ってるか、もしくは裏で誰かが糸を引いてるのかくらいでないと考えられない。それ以外ならただの馬鹿だ。
とりあえずメジェドさんには犯人の追跡を頼んで俺はギルドに事情聴取を受けに行った。まあ、どうせすぐに解放されると思うけどな。
ギルドマストーが言っていた話では、俺が自作自演で何かしようとしたんじゃないかという疑いをこの事件をいち早く耳に入れたお偉いさんが喋ったんだとのこと。
しかし俺は魔法が使えない。ハピは種族的に火属性の魔法は相性が非常に悪くて使えない。金時とアル、デスは論外。
メジェドさんは…………どうなんだろう?まあ、不可視だしうちのメンバー以外は知られてないし、なにせ守護者だ、そんなことはしないはず。
まあ、予想通り30分もたたないうちに事情聴取が終わった。俺は寝ていたの一点張りだったが、そこは理解力のあるギルドマスターは特に何もしてないと認めてくれた。
床の焦げ目がきっかりと分けられていたことにも目を瞑ってくれたことに感謝してる。
とは言っても、宿には迷惑をかけたな。修理費等は本当は犯人が見つかるまで宿屋が出すのだが、贔屓にしてる店なので俺が出すことにした。
かなり恐れ多いと拒否されたがいつも泊めてるお礼の一部だと言っておいた。
まあ、魔物を連れてるけど喧嘩屋本人は気前がいい人だという噂も流すためでもある。無駄な喧嘩はしないが、有意義な喧嘩はする。例えば勝てば何か貰えるとか。
今回は犯人を探して、あわよくば黒幕も見つけて一緒にぶっ飛ばすのが目的だ。同情もしてくれる奴らもいるし協力してくれる奴らもいる。
まあ、ギルドマスターも黙っちゃいないだろうから事はすぐに動くだろうけどな。
「よう喧嘩屋。ギルドマスター直々の事情聴取は終わったのか?」
「あー、もう終わったぜゴルドンさん。しばらく見てなかったけど何してたんだ?」
「おう、一週間かけて繁殖期のブルーベアの討伐だ。いやー、流石にキツかった」
「『大傷』のゴルドンが何言ってんだよ」
「はっはっはっ、まあなぁ!」
突然だがこの人は『大傷』のゴルドン、ランク3の冒険者だ。ランク3でも最古参だから俺含むみんなからさん付けで呼ばれている。
ちなみに『大傷』というのは異名でいつも重傷で帰ってくるからそう呼ばれている。とゆうか、俺は包帯を巻いてない彼を見た事がない。
彼は傷つけば傷つくほど強くなる。ドM的な意味ではなく火事場の馬鹿力的な意味でだ。まあ、今はそんな話はどうでもいい。
「しっかし災難だったな。お前さんもとうとう狙われるようになったか!」
「ゴルドンさんは狙われたことがあったのか?」
「この年になったら面倒な奴らに命を狙われる狙われるわ!」
豪快に笑い飛ばしながら言うけど、命を狙われるなんて結構なことだよな。まあ、あの時の俺もよく狙われてたけど。
んー、メジェドさんはまだ黒幕を見つけてないそうだ。感覚的なつながりがある、ような気がするけど勘だと言われても仕方ないが、まだ見つけてないだろうな。
しばらくはのんびり待ちを出歩こうかな。
「ご主人様、ハピは前に買った蜂蜜が欲しいです」
「よし、じゃあ買いに行くか」
犯人が見つかるまでいつも通り、ゆったりまったり過ごしていく。
全て分かったのは明日の朝のことだった。そして、決戦も明日の事でもあるのは、今の俺は知ることではない。
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