賊は儚く無残に散る
『ダンジョンを解放しました。ご健闘を祈ります』
ダンジョンを解放した。後は待つのみ。一階のスライムの数が心配だけど、そんなに早く入る事はないだろう。
よく考えたらさ、ダンジョンマスターって暇じゃないのか?誰かが来るまでぼーっとしておくか遊んでおくか。娯楽品はあるんだろうか?
アプリで探したら『その他日用品等』という項目があった。タップしてみたら下着や洗剤等の日用品や食料、そしてオセロやチェス、トランプといった物、何故か将棋まであった。
何ポイントで買えるんだ……………………ん?0ポイント!?まさか無償でくれるのか?
いや、試しにオセロの購入画面を見たら依怙贔屓アプリ割引と書かれていた。依怙贔屓がここまで来るとは、って誰が依怙贔屓してるんだよ?
あ、端末の画面を横にスライドさせたら依怙贔屓っていうアプリがあった。試しに開いてみたけど画面がブラックアウトしてアプリに入れなかった。置いてあるだけで何か効果が発揮させるだけのアプリなのか?
まずはオセロを買おう。暇だしアルとやってみよう。アルの『知能(レベル3)』はどこまで賢いのかを試すチャンスでもある。
よし、アル?オセロのやり方は分かるか?
「シュコー…………シュコー…………」
分かるのか分からないのかが分からん!ガスマスクのせいで表情も分からないし、ある程度は説明はしておくか。
あ、オセロの購入画面を確認したら説明が載ってあった。これを見せたらやり方を知らなくてもアルは理解するだろう。
アルに端末を渡してみた。大きな手で器用に端末を掴んで食い入るように画面を見ている。いや、ちゃんと見てるかどうかはわからないけども。
「シュコー…………シュコー…………」
どうやら読み終わったようだ。まずはオセロを購入して、椅子があればいいけどここはボス部屋だ。戦闘で壊されてはたまらない。
後でボス部屋の隣に自分の部屋でも作っておくか。とりあえず、地面に置いてオセロをしよう
〜10分経過〜
勝負は俺の勝ちで終わった。アルは思った以上にオセロが弱かった。レベル3とはいえ大した事ないのか?
「シュコー…………シュコー…………」
うーん?もう一回やってみようか。
〜20分経過〜
また俺が勝った。しかも、全盤面が黒、俺の色で染まってしまった。実はあまり考えずにやってるけど偶然にしても出来過ぎだ。
「シュコー…………シュコー…………」
まさか、な?
〜1時間経過〜
何回やっても俺の連勝続きだ。しかも全部盤面は俺の色一色で。こうなったらもうアレしかないだろ。
アル、接待プレイはしなくていいぞ。自分が勝ちに行っていいんだ。
「シュコー…………シュコー…………」
さ、これでアルも多少は勝ちに来るでしょ。
〜さらに1時間経過〜
「参りました!」
「シュコー…………シュコー…………」
今度は盤面がアルの色で埋まった。俺の完敗である。いやー、舐めてたな。よく考えたら接待プレイで全面相手の色にするのって逆に難しいよな。
にしても、まったく来ないな。そう早く来るわけじゃないけどな。待つのも辛いよ。
テロロンテロテロテロロン♪
端末から聞いた事のある着信音が響いた。画面いっぱいには『侵入者を探知』と書かれてる。ついに来たか!
『侵入者のステータスを確認しますか?』
いや、名前とか見たら情が移るかもしれないから職業だけでいい。ステータスなんて見ても俺とアルには絶対に敵わないから。
『盗賊5人・撃退50ポイント、殺害100ポイント獲得可能』
ほう、こんな感じでポイントが手に入るのか。到着予想時間は出せるか?
『到着まで約20分』
なるほど、この端末は優秀だな。敵の強さ、ダンジョンの強さをちゃんと認識したうえに計算してこの時間を出したんだろう。
じゃ、アル?戦闘準備だ、俺は隅っこで見てるからいい経験になるように頑張れよ。
「シュコー…………シュコー…………」
〜20分後〜
「兄貴!スライムしか出ないと思ったらもう最下層っぽいですぜ」
「フンッ、やはり雑魚しかいないダンジョンだったな!宝箱の中身も良かったし、気前よく守護者を潰すか!」
ちょうど20分きっかりで盗賊共はこの部屋まで辿り着いた。確かに5人組だな。一人はリーダーで後はお零れを貰う子分ってトコだな。
それにしても守護者ね、ダンジョンの一番下にいる奴はそう呼ばれてるのか。じゃあ、俺がアルって事だな。
つーか、宝箱から何か手に入れたのか。事が終わったら貰っておくか。
「あ、兄貴!なんかデカイのがいやす!」
「シュコー…………シュコー…………」
「あれはタイタン!Bランクの魔物だ、いや、俺達ならBランクくらいやれますよ!」
「タイタン風情が妙なコートとカッコイイ仮面つけやがって!」
「オマエラ、一応気を抜くなよ。鎧を着てるわけじゃねぇから、舐めてたら一撃で潰されるからな!」
「「「「ウィッス!」」」」
ほう、リーダーはある程度の経験を積んでるな。てか、息を潜めてるとはいえ俺はまだバレてない。俺には隠しステータスで隠密スキルでもあるのかね?
「しゃあ、まずは足か」
ら、と言いたかったんだろうな。残念、下っ端の二人は高速移動したアルの一撃でミンチになった。アルの素早さは6850あるから普通の人間より早いんだろうな。
そういや飛び散った盗賊の肉片を見ても何も思わないな。それよりも、無償で日用品が貰えるとはいえ掃除が大変だな。
「なっ!?アッバースとインカがやられた!」
「メソポタミア!タイタンに魔法を打て!」
ぶっ!アッバースとインカ、メソポタミアって何処の文明だよ!まさかこんなトコでネタが入るとは思わなかったよ。あいつらにして見れば本気で言ってるんだろうけど。
「ファイヤーボール!兄貴、今です!」
「おおおっ!喰らいやがれ!秘技瓦割り」
メソポタミアが放った炎の玉がアルの顔面に命中し、リーダーがオーラを放つロングソードを振りかざしてアルの頭にぶち込んだ。
アルは無事だろうけど、ガスマスクの損傷が心配だ。
「よし、やった!」
「流石はモンゴルの兄貴!一撃でタイタンを仕留めるなんて!」
モンゴルって!中国系っぽい顔つきだなーと思ってたらモンゴルって名前なのかよ!
勝ち誇ってるトコ悪いけど、アルはただのタイタンじゃないぜ。タイタンの横に(希少種)がつくからな。
「シュコー…………シュコー…………」
「にゃにゃにー!?仮面に傷の一つもついてない!」
「逃げるべきですぜ兄貴!こいつは亜種だ!」
騒がしい奴らだ。もういい、アルの相手にもならなかったな。終わらせていいよ。
その後のアルの動きはさっきよりテキパキと効率よく、さらに速かった。あっという間もなくリーダーとメソポタミアの頭はアルのパンチで吹き飛んだ。今度は頭だけミンチにしたからそこまで飛び散ってない。
「ひひっ、あぁあ…………っ!」
残った下っ端は完全に腰が抜け、失禁しながら後ずさりをしていたが、アルはそんなのを命乞いと見ない。そもそも命乞いを知ってるかどうかすら分からない。
「シュコー…………シュコー…………」
「ヒギヤァァァァァァァァィァァィァア!」
下っ端の断末魔と共に、肉がグシャリと潰れる音がした。
これで全て終了だ。さて、全滅させたから100ポイントゲッチュ!
『侵入者を全滅させましたので100ポイントが手に入りました。
侵入者の装備を全て換金して1200ポイント手に入りました。
初日全滅ボーナスで10000ポイント手に入りました。
現在のポイントは11800ポイントです』
……………………んんっ!?またポイントがさらに増えたぁ!?つーか、勝手に換金しないでくれませんかね!?
結構気になってたロングソードも無くなったという事で締まりが悪く俺のダンジョンの初防衛が終わった。
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