文字だけのテイマー
北町健五、かつて昔の地球にあったヨーロッパあたりにありそうな城に入ります。
マジでこんなに大きいの?ねぇ、ギルドマスター、俺こんな大層なトコに呼ばれる程の男じゃないよ?ランク4だからってここまで…………
「おっきいお城ですね!」
「…………………………………………」
ハピとメジェドさんは興奮している。ハピは目に見えて興奮してますというのが分かるが、メジェドさんは多分興奮してるのだろうと思う。
普段、歩くとき以外直立不動のメジェドさんの足がわさわさせわしなく動いているからそう思った。
はっきり言おう。その足の動きは結構キモい。だけど俺は大人、口には出さない。
「喧嘩屋、そのままだと失礼」
「え、そのままってなんだよ」
「せめて、ローブは外して」
ああ、そういう事か。今まで一張羅の派手な着物を着てるからそれを隠すためのローブを外せって言ってるのか。
ここは素直に従おう。猛者だらけの会食で舐められたくないしな。
「ほい」
「ほほう」
ローブを脱いだ途端、ギルドマスターの目つきが変わる。俺の着物に注目してるようだ。派手な着物だし、何より効果が凄いからな。
「派手な服。見たことない」
「まあ、そうだろうな」
そんな会話を少しした後にハピを再び肩に、こら、メジェドさん、大きな門の前に立ってる門番の前をぐるぐる回るんじゃない。これ見えてたら引っ捕えられるぞ。
そんな中、ギルドマスターが門番の前に立つ。
「はい」
「分かりました。お連れの方、ギルドカードを」
「はい」
なんとなく予想出来ていたのでギルドカードを門番に見せる。
「…………通ってください」
大きな門についてる門番が入る扉を開けてくれたので俺たちはその扉を通った。
城の中はやはりというか、豪華だった。全体的にピカピカ光ってて、多分大理石か何かで作られている。ギルドマスターについていくように廊下を歩いていると高そうな壺も幾つか見られた。
金持ち感半端ないぜ。流石はこの国でトップの王族が住む城だ、一般庶民には全くわからねぇぜ。
「ここだよ。多分」
「おい今、小声で多分つったよな?」
「言ってない。さ、行こう、文字だけのテイマー」
「何か怒ってるか?」
「事実だから。多分」
また多分つったぞ。このギルドマスターは俺を舐めてんのか?ちょっとシバきたいぞ。
あと、テイマーってさ…………
「そもそもテイマーというのは従える魔物より、少なくとも潜在能力含めて強いからこそ従わせるのじゃないのか?仲間にした魔物にサポートを任せて戦うのがテイマーじゃないのか?」
「…………………………………………」
「…………………………………………」
「…………………………………………」
え、何この沈黙は?俺、何か間違ったこと言った?
「うん、文字だけのテイマー」
「ええ、文字だけのテイマーですね」
「…………………………………………」
「み、みんなして何でそんなに俺を責めるんだよ!」
この発言をした直後にギルドマスターが可哀想な子を見る目で、ハピが優しい目で俺を見ていた。メジェドさんの目は知らん。
みんなに馬鹿にされたように感じる。俺はふて腐れるぞこの野郎。いや、ここに野郎は俺しかいないじゃん。たまにすれ違うのもメイドさんだけだから本当に野郎って俺だけじゃん。
もしかして、今回の会食に来る人らも全員女性とかじゃいだろうな?そうなったら俺はひとりぼっちになるぞ。
いや、そんな後ろ向きな妄想はダメだ。もっと前向きに考えよう。そもそも新人とはいえ何人も来るはずなんだ。男の一人や二人はいるに決まってる。
テロレロレン♪
ん?端末から音が聞こえたぞ。確認しよう。
*突然のフラグが立ちました
…………は?画面にそう表示されてるけどフラグとか俺は知りませーん。フラグって何?美味しいの?そんなのバッキバキのボッキボキに折ればいいんだよ。
それに、上位陣が集まるって事だからそれなりの礼儀を持つ人達が来てるんだろうな。流石に異世界とはいえ全員が全員、馬鹿みたいに荒れてる奴らじゃないよな。
テロレロレン♪
…………また端末から音が聞こえたので確認する。
*フラグ2が立ちました
そんなの知らない!俺知らない!普通にいい人達がそれなりにいて平和に会食するんだ!そして友人を一人や二人は作りたいんだ!
向こうの世界にいた時は高校時代の友人が数人いただけだもん!べ、別にぼっちじゃなかったから!
「喧嘩屋?」
ギルドマスターが俺の様子が変だと思ったらしく少し心配してくれたが、俺は大丈夫だと伝えた。
「ここだ」
少し歩いてようやく会食が行われる会場(?)に着いた。よし、ここから俺の上位冒険者としてデビューだ!
ギルドマスターが扉を開けて、俺が目にした光景はーーーー
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