プロローグ
時刻は朝の08:00。
早川成一はブラウンの色をしたコタツテーブルでトーストをかじっている。勿論今の季節は春なのでコタツ布団は外してある。作りは8人ぐらい入れる大きめの作りだ。
だが、両親の姿はない。成一の父と母は、海外に住んでいて、成一は1人暮らし同然の状態だ。
成一は現在高校1年生で学校に行く支度を終えて朝食のトーストを食べて居る。バターを塗ったトーストだ。
成一はブラックコーヒーを飲みながらそれを食べ終えた。
「そろそろあいつが来るな。行くか」
成一が1人呟くと同時に。
「成一そろそろ行こう!」
玄関から高くて明るい声が聞こえた。
声の主は幼なじみの深谷美鈴だ。
成一にとって、美鈴はずっと昔からの幼なじみだ。初めて会ったのがいつかわからない程の付き合いでそれは今も続いている。
現に、幼なじみの美鈴とは高校生になった今も毎朝一緒に登校している。
「あぁ」
成一は美鈴に一言返事を返すと、玄関に向かった。
外は晴天と言えるぐらい良い天気だ。春の香りもする。気温も暖かい陽気だ。成一と美鈴が歩いている所には桜が既に満開に咲いている。
「早いもんだなもう桜か」
成一は桜を見て時間の早さを感じた。
ついこの間まで寒かったはずがあっという間だ。
「そうだね、この間まで寒かったのに」
美鈴も同じ事を思ったのか成一に同意した。
学校に着き成一は席に座り美鈴はその隣に座った。
美鈴とは幼稚園から小学校・中学校共にずっと一緒だ。何故かクラスが別になることが無い。今は席も隣同士だ。成一と美鈴の席は窓際で後ろから2番目だ。
「そう言えば今日テストあったな。美鈴はちゃんと勉強したか?」
成一はふと思い出して言う。美鈴の事なので忘れて居る事は無いだろう。
「うん、問題無いよ」
思った通り、美鈴は笑顔で言った。
因みに成一と美鈴はクラスの中では結構成績が良い方だ。
「何話してるんだ?」
美鈴とそんな会話をしていると、クラスメイトの関山優人が話しかけて来た。彼とは中学1年生の時、同じクラスになり、話すようになった。今では親友といった事柄だ。
「テストの話だよ」
「そういや今日テストか…」
優人の反応を見る限り忘れていたと言う様子だ
「お前の事だからあんまり勉強してないだろ?」
「優人君あんまり勉強得意じゃないもんね」
成一と美鈴のストレートな言葉に優人は苦笑いした。
現に彼のノートには授業の内容がほとんど書かれていない。
時々何しに来てるんだって思う程だ。
「それより放課後二人とも暇か?」
「うん私は暇だけど」
「俺も特に予定は無いな]
「じゃあ学校終わったらちょっと付き合ってくれねーか?、相談が有るんだ」
「あぁわかった」
「放課後だね」
「あぁ、サンキュー!」
授業開始のチャイムが鳴り、優人は成一と美鈴に礼を言って席に着いた。
成一と美鈴は特に気にも止めず、授業の用意をした。1時限目は確か国語だったなと思い机から国語の教科書を取り出した。