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白は何も語らない

作者: シキカン
掲載日:2026/07/17



あれ?ここは…?

暗い。

どこまでも続くトンネルを俺はただ歩いていた。

あぁ…。そうか。


俺は死んだんだ。


向こうに白い何かが見える…。

ドア?誰もいないけどとりあえず開けてみよう。


カチャ。

そこは全てが真っ白なボールルームだった。

床も壁も天井も何もかも白い。

さらに白い光に包まれた空間で、人々は目元だけ覆う仮面をつけ、ワルツを踊っている。

おかしなところと言えば、俺を含め、全員の体が白く透けていることだ。


俺はしばらくその様子を端から見ていた。

すると仮面をつけた一人の女性が

「一緒に踊りませんか?」と誘ってきた。

ワルツを踊ったことがなかったので断ると

「私もです。でも踊ってみたくて。お付き合いしていただけませんか?」と。

乗り気ではなかったが、言われるがまま、彼女の手を取った。

その時、その手の温度を知っている気がしたが、踊る不安が勝り、気に留めなかった。

初めて踊るはずなのに、不思議と息が合う。

俺は自分の状況を忘れて、この時間を楽しんでいた。

すると、俺たちは別のペアとぶつかってしまった。

と、カタンッと、彼女の仮面も外れてしまった。

俺は仮面を拾い、「はい」と彼女に手渡そうとした。

彼女は「ありがとう」と仮面を受け取り、俺を見つめていた。

だが、その表情から何も読み取れない。

それでも俺の体は、驚きと恐怖で震えていた。


嘘だろ…。

そんなはずがない。

だって目の前にいるのはーーー


今朝俺を殺した妻なのだから。


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