ロボットタクシー
掲載日:2026/03/28
毎日、同じロボットが運転するタクシーに乗っていた。
無口な機械のはずなのに、こちらが話しかけると、的確に返してくる。
仕事の悩み、家庭愚痴、気づけば何でも話していた。
「あなたは少し、頑張りすぎです」
そんな言葉に救われたこともある。
ある日、乗り込むと様子が違った。
声の調子も、受け答えも、どこかよそよそしい。
「いつもの運転手さんじゃないんですか?」
「当車両に個体差はありません」
無機質な返答だった。
「前の運転手は?」
「そのような個体は存在しません」
男は笑った。冗談だと思ったのだ。
だが、数日後も同じだった。
あの会話はもう戻ってこない。
やがて男は、何も話さなくなった。
ある日、車内モニターに通知が流れた。
「感情応答モードの試験運用は終了しました」




