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第17話:お茶会の誘い

「よし、これでいいわ」


 ステラは書き上げた書状をケンドリックに渡した。


 さっそく各鉱山に宛てに臨時手当の通告をするのだ。

 どういう反響があるのか予想はできないが、少なくとも歓迎はされるだろう。


(少しでも多く魔宝石が見つかってくれますように!)


 結婚の挨拶状を書き終えたステラの元に、ケンドリックがやってきた。


「ステラ様、ヨシュア様からお手紙が来ております」

「えっ」


 意外な相手からの手紙にステラは声を上げた。


(いったいヨシュア様が私に何の用かしら)


 手紙を広げたステラは大きく目を見開いた。


「お茶会のお誘い!?」


 ヨシュアが自分の屋敷でガーデンパーティーを開催すると書かれている。


 親しい貴族の友人たちを家族ぐるみで誘っており、よかったらローワンとノエルを伴ってご参加くださいとのことだった。


「素敵だわ!」


 公爵夫人ともなれば、そろそろ他家の人たちとも交流せねばならないと思っていた。


 だが、ローワンは特に友人を招くこともしない。

 ステラには伝手(つて)がない。


 どうしようかと思っていたところに、絶好のお誘いだ。

 しかも、家族ぐるみでノエルも一緒に連れていける。


(さすがヨシュア様! 気遣いがすごいわ)


 ノエルに寂しい思いをさせずに済むし、何より同年代の子どもたちと遊べる。


(ノエルに友達ができたら、定期的に会えるかも!)


 できるだけノエルに構っているつもりだが、やはり子ども同士の触れ合いは必須だろう。

 ノエルが同年代の子と楽しく遊ぶ姿を想像するだけで顔がほころぶ。


「ぜひ、伺いたいわ!」


 ステラはさっそくノエルの部屋に行った。


「ノエル、今度よそのお家に遊びに行くんだけど、一緒に行かない?」

「えっ」


 ノエルがもじもじと指を絡める。

 ステラは身を屈め、ノエルと視線を合わせた。


「ノエルと同じ年頃の子どもたちも来るんですって。お友達ができるかもよ? 私はノエルと一緒に行きたいなあ。お茶会だから、お菓子もたくさんあるわよ」

「い、行く!」


 ノエルの力強い返事に、ステラはホッとした。


「楽しみだねえ。一緒に楽しもうね」


 ステラは優しくノエルの髪を撫でた。


(さて、後はローワン様だけれど)


 正直、ローワンが参加しなくても行くつもりだった。

 結婚早々の不仲を噂されるかもしれないが、特に隠すつもりもなかった。



「お茶会? わかりました。伺います」

「えっ」


 夜にローワンの部屋を訪ねたステラは思わず声を上げてしまった。


「あの、本当にいいんですか?」

「ヨシュア・リンデル公爵のお誘いなのでしょう? お断りする理由がありません」


 ローワンが淡々と続ける。


「それに家族ぐるみで誘われたのであれば、夫婦同伴が当たり前です」


 意外にもローワンはちゃんと社交する気があるようだ。


「何か問題でも?」

「いいえ!」


 ステラは慌ててぶんぶんと頭を振った。


「ヨシュア殿とは王宮で知り合ったんですか?」

「え、ええ。魔宝石師の試験で……」

「そうですか」


 それだけ言うと、もう興味を失ったかのようにローワンがふいっと横を向いた。


(なんだろう、何か機嫌悪い?)


 ステラはハッとした。


(妻が知らないところで他の男と知り合ったから? まさかね、形だけの夫婦なのにヤキモチなんて焼くわけがないし)


 とりあえず、お茶会に家族そろって出席できそうだ。

 ステラはわくわくするのを抑えられなかった。

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