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銀色の風  作者: 紫音
~第1章~
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96.シルフィーナの心配事と望み

お茶会が終わり、ラナダ王国の自室に引き取ったシルフィーナとガイだが、何も話をしなかった。

ただシルフィーナが両手を広げガイを懐に迎え入れようとすると、ガイはかなり躊躇したのはいつもと違う光景だった。

おずおずとシルフィーナの胸に頬を寄せて腰に腕を回すと頭と背中を抱きしめてくれた。

罰をきちんとこなしたのか?アレクシウスには何か言われたのか?神族たちはどういう反応をしたのか?など聞かれると思ったが、シルフィーナは何も聞かず、ただ静かに抱きしめてくれた。

正直アレクシウスとその親族に接吻などしたくもなかったが、シルフィーナの命令なので従った。

シルフィーナに歯を立てたのは確かに自分が悪いとわかっている。

それをフローリアの所為にしたのはただの無責任な言い訳だった。

ただただ、シルフィーナと一緒に居たいだけだ。

多分そんなことは、すでにシルフィーナにはばれているであろうこともわかっている。

あの罰は、正直自尊心を押し殺して行った。

今も心の中が苦々しいが、シルフィーナの腕の中でほろほろと心がほどけて行くのが分かった。

「シルフィーナ様、歯を立てて申し訳ございませんでした」

「ええ、痛かったわ」

「フローリア様に悋気を抱き、申し訳ございませんでした」

「そうよ、女神ですよ」

「アレクシウス様にも歯を立てたことはお叱りを受けました」

「話したの?」

「歯を立てたことだけで理由は申し上げませんでした。それなのに罰の相手をしてくださいました」

「そう」

「アレクシウス様と神族の協力のおかげでシルフィーナ様に抱きしめて頂けております」

「そうね」

シルフィーナが少し腕を緩めるとガイが上にずり上がって抱き着いて来た。

顔の横に顔がある高さなので、接吻されるのかと思ったが、してこなかった。

まだガイの中でシルフィーナを怒らせた遠慮があるようだったので背中をさすってやった。

暫くすると落ち着いてきたようで、聞きもしないのにフローリアの神従と話した内容を打ち明けだした。

「カイルが、女神に歯を立てたのは神帝に知られれば消滅されるくらいの罰だ、と教えてくれました。セムスが、シルフィーナ様は痛かったと仰せだったがそれよりも心配なことがあるのでこのような罰を与えた、と教えてくれました。シルフィーナ様のご心配な事とはお教えいただくことは可能でしょうか?」

体を少し放しシルフィーナはガイの顔を見ながら顔や頭を撫でてあげた。

「お前だ」

「え?」

「来年11月にお姉様がスタニスラガ王国にお妃教育のためにお越しになる。私はお姉様が来られたらお姉様の手によってモリエール侯爵夫人の腹に定着をする予定だわ。まだアベルとルーカスはさほど自由に連絡を取り合うことはできないでしょう。そうするとお前は一柱になる。定着に入ったら私はお前を抱きしめられない。接吻もしてあげれない。話をすることも出来ない。今はこんなにべったりと私に寄り添っているのに、それをしてあげれない。お前は孤独を感じるでしょう。お前の孤独を打ち明ける、話を聞いてくれる、たとえ抱きしめてもらえなくても話を聞いてくれる者が必要になるでしょう。そう思っています。時にはお兄様とお姉様の指示を仰ぎ、神族に手を借りることがあるかもしれない。だが、お前はその親族を避けている。普段から避けているお前に誰が手を貸してくれるというの?あと1年半ある。その間にお兄様とお姉様の神族と打ち解けて欲しい。今回は荒療治になったが、それが私の心配ごとであり望みです。分かりますか?」

ガイの顔がシルフィーナの話を聞いている間にみるみる悲しみの表情に変わっていった。


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