93.お仕置き
「はぁ、さあ、ガイ」
ため息交じりに呼びかけても胸に食いついて離れない。
「起こし方は、まあ、いいです。でも、私の胸に歯を立てたのは許しません」
まだ離れない。
「ガイ!離れなさい!」
少しきつめに言ったら、少し間をおいて、チュプンっと音と立ててガイが胸から離れた。
反省をしているのか、拗ねているのか、俯いたままシルフィーナの顔を見ようとしない。
「さあ、どうして私の胸に歯を立てたの?言ってみなさい」
「・・・嬉しそうに、行くって、おっしゃるから・・・」
俯いたままポツポツと言い訳をする。
「私がお姉様のお茶会に喜んでいくのはガイも知っているでしょ?」
「・・・はい・・・」
「じゃあ、何が気に入らないの?」
しばらく沈黙したが、シルフィーナは待った。
「・・・私と・・・いえ、・・・私の・・・時間が・・・減ると思って・・・」
要するにフローリアの所に行ったら、ガイがシルフィーナに甘える時間が減るのが気に食わない、と言うことか。
「女神に悋気を抱くとはなんと厚かましい!お前は何と度量の狭い神使だ!」
「申し訳ございません」
「お前には罰を与える。完了するまで私に触れることは許さん。早々に実行に移せ!」
「お兄様、こんにちは」
シルフィーナとガイはすぐにアレクシウスの執務室に向かった。
「どうした、今日は早いじゃないか?」
「ええ、これからお姉様の所にお茶会に行ってきます」
「おお!いいな、楽しんで来い」
「はい、ありがとうございます。ところで、私のガイなのですが、私に無礼を働いたので罰を与えることにしました」
アレクシウスの執務室にはアレクシウスの他、神従二柱グイドとダーレンと神使ジーンも集まっていた。
「つきましては、皆様にご協力いただきとうございます」
当のガイを見るとシルフィーナの斜め後ろに控えるのはいつものことだが、俯いている。
「協力?」
「はい、お兄様と神族の皆様にガイから接吻を、1回15秒の5周を言いつけました」
「「「ええ?」」」
と当然の如く、アレクシウスの神族からの声が上がり、シルフィーナを見たが、アレクシウスは
「分かった、引き受けよう」
とサラッと言ってのけた。
「「「ええ!」」」
と、またもや神族から上がりアレクシウスを見たが、神二柱の話はまとまったのだ。
「では、お兄様、あとはよろしくお願いします。私は一足先にお姉様のお茶会に参加してきます。罰が終わったらガイには追ってくるように言いつけておりますので解放してあげてください。それでは」
と、軽やかに女神は消えた。
「ガイ、お前一体シルフィーナに何をしたんだ?」




