90.恥ずかしがり屋のガイ
アベルとルーカスが誕生して、早1か月。
神従達の邸宅が寝静まってから会いに行くので、相変わらず夜行性の生活をシルフィーナとガイは送っていた。
いつものようにガイに抱っこされながら眠って、起きたらまだ宵の口だった。
「お目覚めですか?」
「ガイィ」
目が覚めるとガイの首筋に何度も接吻を落とすいつもの目覚めのパターンだ。
「あの、シルフィーナ様、私は女神の愛が欲しいです」
ガイはシルフィーナが起きるのを今か今かと待っていたのだろう。
「まあ、悪戯をと言うのかと思ったわ、うふふ」
ガイが真っ赤になったが、それが楽しいシルフィーナなのだ。
女神の愛と悪戯だったら普通の神族は断然女神の愛をとると思うが、ガイの場合半々だ。
よっぽど悪い癖をつけてしまったのだと若干の後悔をする女神だった。
「もちろんよ、ガイ。その前に私にたくさんの接吻をするのよ」
「はい、シルフィーナ様。お慕いしています」
5時間ほどかけて、ガイに女神の愛を授けた後、自室にいるアレクシウスに夜の挨拶に行った。
「お兄様、こんばんは」
「おお、シルフィーナ、やっと起きたか」
「うふふ、宵の口には目覚めていましたが、ガイと」
そのあとは、処分を受けた兄に気を使って口をつぐんだが、言わなくても兄にはわかった。
「そうか、俺たちのことは気にするな。これから神従のところに行くのか?」
「ええ!アベルが産まれて1か月なのでそろそろ神霊体に会えるかも?って思っていますの」
嬉しそうに話をするシルフィーナの後ろには、先ほど女神の愛に十二分に満たされたガイが無表情で立っている。
「なんだ、ガイは女神の愛を授けてもらっても無表情なのか?それともアベルに悋気をいだいているのか?」
アレクシウスにからかわれても無表情のガイが
「滅相もございません」
とだけ答えた。
「お兄様、ガイをからかわないで。今は無表情でもさっきまでのぼせてとっても可愛い顔をして私にしがみ付いていたのよ。そういう顔は私以外には見せてはいけない、と言い聞かせているわ。だって、私の可愛いガイだもの」
女神はニコニコしながら話をするが、アレクシウスは呆れるし、ガイは俯いた。
「ああ、ああ、わかった、わかった。惚気はそのくらいにしてさっさと神従の様子を見てこい」
「はぁい、では、行ってまいります。お兄様、おやすみなさいませ」
優雅にお辞儀をしてシルフィーナとガイが消えた。
「シルフィーナ様、先ほどのお話は、は、恥ずかしいです」
スザリオ伯爵邸の上空まで来たら、ガイが赤い顔をして言った。
シルフィーナは繋いでいたガイの手をそっと引き寄せガイを抱きしめた。
赤くなった顔に接吻をして、頬を寄せた。
「うふふ、分かっているわ。いつもお兄様の前で無表情だからちょっとからかっただけよ。ガイが我慢をしている顔って大好きよ。私、意地悪な女神なのかもしれないわ。そんな私でもガイは私のこと好き?」
「もちろんです、私にはシルフィーナ様しかいません。お慕いしております。いつもシルフィーナ様のお手を待っています」




