86.ラナダ王国での楽しみ
その後、シルフィーナとガイは、ラナダ王国での生活を中心にし、とても楽しく過ごした。
ある日、キアが以前にシルフィーナが気に入った絵画の景色の場所を発見した。
「シルフィーナ様、あの景色を見つけましたよ!行ってみませんか?」
「行く!行くわ!ガイ、良いでしょ?」
「はい、もちろんです」
ガイが二つ返事で返してくれたので、今すぐに行くつもりだった。
「いいわね~、あなた達」
フローリアが恨めしそうに言ったが、
「フローリア様はダメです。この国の王女殿下なんですから」
とカイルに一刀両断され、セムスに当たり散らした。
キアによると湖を探して目星をつけたが、雪が積もっていなかったので積もるのを待っていたそうだ。
翌日、天気が良かったので行ってみることにした。
場所はラナダ王国の北の山岳地帯に点在する村々からもっと山の中に入った標高の高い場所にある湖だった。
晩秋の季節で、キアの言う通り高い山の頂に雪が積もっており、絵画と同様に湖に映った山の景色は素晴らしい物がった。
「うわぁ!とっても綺麗。ガイ、絵画と一緒よ」
「ええ、本当に素晴らしい景色ですね」
ガイもこの風景は気に入ったようだ。
「キア、見つけてくれてありがとう。こんなに綺麗だなんて想像以上よ」
「シルフィーナ様、お気に召しましたか?実はですね、夕方がもっと素敵なんですよ。ちょっと時間をつぶして夕方を待ってみませんか?」
こんな綺麗な景色を見つけたキアなので、夕方が楽しみになって待った。
キアの言葉は本当だった。
赤い夕焼けが、山頂に積もった雪をバラ色に染め、その染まったバラ色の山が湖に映りこんで何とも幻想的な風景だった。
その景色は、山に夕日が当たっている間のほんのわずかな時間だけしか見れない貴重な体験だった。
11月になるとフローリアの14歳の誕生日だ。
誕生日前から王城はバタバタと準備に忙しく動く女官たち、市井ではあちらこちらで誕生日を祝う幟が立ち、記念品が売り出され、どの飲食店でもお祝い限定メニューを開発しているぐらい、皆が喜んでいた。
誕生日当日には盛大な宴が催され、空には花火も上がった。
フローリアは今までで一番華やかなドレスを見に纏い、国王主催の舞踏会に出向く。
エスコートは何とスタニスラガ王国からこの日のためにアレクシウスがやってきた。
「本当にお兄様とお姉様が婚約しているのですね」
とシルフィーナは思わず確認してしまった。
「まだ疑っていたの?神同士でしかも兄妹で結婚するのよ。笑っちゃうわね。うふふ」
とフローリアが華やかに笑った。
「さあさあ、王女殿下、私の手を取っていただけますか?本日の主役をエスコートする名誉を賜り光栄でございます」
と言ってアレクシウスとフローリアが会場に向かった。
ちゃっかり会場に紛れ込んだシルフィーナは、兄と姉のダンスのすばらしさに感動したのだった。
そして、フローリアの両親をこの日初めて見た。
この国の王は、さすが王、威厳が漂っていたし、王妃は知的そうな顔をしていた。
ラナダ王国でのシルフィーナの生活は、日々発見があり、とても充実したものであった。




