84.知らされた処分
真夜中に、ガイと手を繋いで、スタニスラガ王国のスザリオ伯爵邸にやってきた。
伯爵と伯爵夫人は同じベッドですでに眠っていた。
シルフィーナは夫人の腹に手を当ててアベルの様子をうかがう。
順調のようで心配はないが、念のために神力で女神の加護を付与しておく。
ジャシス伯爵と伯爵夫人は、相変わらず夜更かし体質のようだが、この日は寝落ちしたばかりのようだった。
こちらの夫人の腹にも手を当ててルーカスの様子をうかがうと順調だった。
アベル同様に女神の加護を与えた。
「早く生まれないかしらね、そろそろ二柱の顔を見たいわ」
「そうですね」
折角スタニスラガ王国にやってきたのでアレクシウスの元へ向かう。
ガイが不満そうな雰囲気を若干出していたが、シルフィーナの決めたことに反対をすることは無い。
ジーンが兄のリビングに居たので、ガイを預けた。
アレクシウスの部屋に入ると兄はすでに眠っていたが、ベッドに潜り込むと気が付いた兄が抱きしめてくれた。
「起こしちゃった?」
「ああ、構わないよ、いつ目覚めた?」
「今日、あ、もう昨日かしら?昨日の朝に起きました」
「そうか、早速来てくれて嬉しいよ」
「ふふ」
可愛い妹の笑顔にドキリとした。
「シルフィーナ、あまり挑発はしないでくれよ」
「挑発?なぁに?それ?」
無邪気な表情の美しい女神はクスクスと笑った。
「神帝からの処分の話は聞いてないのか?俺と俺の神族の話だ」
首をかしげて本当に何も知らない様子だった。
「俺と俺の神族は今回のお前の神力枯渇の原因を作ったと言うことで神帝に処分を言い渡された。俺は1000年、神族は今後一切お前から女神の愛を授かることを禁止されたんだ」
紫色の目が大きく見開かれた。
「・・・うそ・・・」
「本当だ。フローリアもガイも知っている。俺と俺の神族はその処分を受け入れている」
アレクシウスと一緒に横になっていたシルフィーナがガバッと起き上がり叫んだ。
「ガイ!ガイ来て!ジーンも来て!」
瞬時にガイとジーンが飛んできた。
「シルフィーナ様、如何なさいましたか?」
シルフィーナはガイに飛びつくとガイの腕の中で声を上げて泣いた。
「私の所為だわ!私が神力漏れを起こさなければ、私が、私が女神をちゃんと出来ていないから!お兄様、ジーンごめんなさい。私の所為で、ごめんなさい。処分だなんて、処分だなんて!こんな不名誉なことを、ごめんなさい」
神帝の決定は覆ることは無い、それは神の娘には分かり切っていることだった。
ガイとジーンはシルフィーナが何を知ったのかが分かった。
処分の件については、いずれ分かるとは思ったがガイはシルフィーナにまだ知らせるつもりは無かったのだった。




