82.まさかの婚約者
大笑いも一段落して、前から気になっていたことをシルフィーナは切り出した。
「お姉様、お姉様の御婚約者様ってどんな方?」
そう聞いた途端、フローリアとキアがまた笑い出した。
「あはは!あなたまだ気が付いていないの?あはは!」
フローリアはさっきより大笑いをしているし、キアに至っては笑い転げている。
「何で二柱とも笑っているの?どんな方か興味があっただけなのに」
まだ大笑いの波がやってきた。
ふくれっ面になったシルフィーナは、もうあきらめてモンブランに取り掛かることにした。
「シ、シルフィーナ様、ぐふふ、姫様の御婚約者様は、ぐひひひ」
「私から言うわ、あははは、スタニスラガ王国のぉ、第二王子よぉ、あははは」
「スタニスラガ王国の?第二王子様?・・・え?ええ!」
シルフィーナは驚きいっぱいだったが、フローリアとキアはもう笑いが止まらなかった。
そこへカイルとセムスが帰ってきた。
「いったいどうなさったんですか?」
とカイルが笑っていないシルフィーナに聞いて来た。
「お姉様の御婚約者様を知らなくてお聞きしたら、お兄様だって、私、びっくりしちゃった」
「ああ、それで。そうなんですよ、人間の考えることは意図せぬ偶然を生むものですね」
とセムスが不思議なことを言った気がした。
「人間の考えること?」
「はい、政略結婚です。国と国の利益を考えて王族同士を娶わせるのですよ」
「それがたまたま神同士だったということです」
「ふ~ん、そんなこともあるのね」
大笑いしてたフローリアが、カイルとセムスが帰ってきたのに気が付き聞いた。
「ガイは、どうだった」
「は、確かにシルフィーナ様のお言葉通り、沈没しておりました」
(まだ沈没しているのか)とシルフィーナは思った。
「その沈没って、一体どういうことなの?」
フローリアが聞くが、こればっかりは答えにくい。
「え~っと、喜びに打ち震えて動けない状態、という所でしょうか?」
とシルフィーナが答えるとカイルとセムスの視線が痛かった。
「だって、ガイのリクエストなんだもん。お代わりもガイのリクエストだったんだもん」
「え?2回も行かせたんですか?」
カイルの言葉に
「はい」
と小さい声で答えた。
「シルフィーナ様、それはかなり羨ま、いえ」
とセムスが微妙な発言をしたが、フローリアとキアに睨まれた。
「だって、ガイに女神の愛を満足に与えてあげれなかったから、何とかしないとって、焦ってたの。ガイは元々接吻が大好きなんだけど、それを体中にしたら、もう大喜びで、前に2度も沈没したのにまたリクエストがあって。でも2回連続は今回だけよ。・・・私、ガイに変な癖をつけてしまったのかしら?」
カイルの大きなため息が場を支配したのだった。




